《和文化》美術鑑賞はむずかしい?

こんにちは!
笛の福原百麗(ふくはら ひゃくれい・藤本博子)です。

皆様、この連休はいかがお過ごしでしたか?
台風の被害で不自由な思いをされていた方もいらっしゃったことと思います。
早い復旧を祈るばかりです。

関東では日曜夜に降られたものの、ようやく秋晴れのお休みとなりました。
朝晩ぐっと冷え込むようになってきましたが、体調管理も万全にして年末まで頑張りたいですね。

先週は京都国立博物館で開催中の「佐竹本三十六歌仙絵」について書きました。
NHK、民放ともいくつかの番組で特集が組まれていました。
これだけアート関係で特番が組まれるのはかなり異例なことです。
なかなか関西まで足が伸ばせず悔しい思いをしておりますが、この連休中はレポート作成もあって、すみだ北斎美術館、太田記念美術館、根津美術館、東京国立博物館と4館を巡ってきました。(無謀ですね!)
近世の日本絵画を中心としたコレクション、特に浮世絵が充実している美術館だけあって外国人の姿も多く、東京国立博物館では入口のチケット売場から「正倉院展」目当ての人ですごい行列でした。
私は東博では常設が目当てでしたので、チケット購入後は並ぶことなくじっくり鑑賞することができました。こちらの常設は時々展示替えがあり、ホームーページでも情報が得られるので、目的を持って行くことができて絶対ハズレがない穴場です。

特に今回は与謝蕪村、呉春の師弟の圧巻の屏風が並んで展示されていたほか、池大雅、広重、国芳、鈴木春信など、素晴らしい作品の数々を堪能でき、京都の三十六歌仙絵に負けないほどの力作揃いでした。

蕪村、呉春については、今月17日まで東京の大倉集古館でリニューアル特別展として「桃源郷展~蕪村・呉春が夢見たもの~」が開催中ですのでご興味お有りの方はそちらもぜひどうぞ。呉春の初公開の屏風が必見です。

よく質問されたり、美術館でも耳にするのが、「知識がないからよく分からないのよね」「どうやって観ていいのか分からない」といった美術の知識がないと理解できない、もっというと、知識がなかったら理解しちゃいけない、という思い込みです。
例えば、呉春という作家、一般的には知っている人はほとんどいないと思います。
作家の名前を知らないから見たって理解もできないのか?
そんなことはありません!

美術館には色々な人が訪れますので、基本的にディスクリプション(説明書き)は知識がない人が読んでも分かるよう配慮はされています。
私が毎月レポートを作成し、大学の先生に加わって頂き仲間と講評し合う勉強会は近世日本絵画のディスクリプションを書くというものなのですが、その勉強をするようになってから美術館での説明書きを意識的に読んだり、それが事実なのか検証したりもするようになりました。

そのように意識するようになって始めて知ったのですが、実は美術館のプロが書いた説明書きにも間違いがあったりするのです!
実際私も2度ほど間違いを発見しましたし、勉強仲間も同じように時々発見しています。
発見したことは大学の先生にお尋ねしたり、自ら検証して間違いだと確認を取っているので間違いない事実です。

また最近は様々な分かりやすい入門書や参考書籍が出ていますが、そんな書籍の中にも間違いや疑わしい記述を発見することも多々あります。
研究途上のことも多いですし、研究者でない方が書かれたものはいくら有名人であっても不確かなことが沢山あります。
もしかすると中途半端に知識があるのが一番厄介かもしれません。

知識があれば、より深い見方はできますけれど、研究者じゃありませんので、どうぞ安心してください。
まずは、まっさらな、知識のない状態で、「自分がどう感じるか」という感覚で作品を観る(感じる)。
それは音楽も同じことです。
「わかる・わからない」でなく、五感を使って「何を感じるか?」と向き合ってみる。
それが本当の鑑賞の第一歩です。
なんの道具も知識も使わないで向き合った時に感じること。
それは人によって千差万別。正解も間違いもない世界です。

この連休で終了した展覧会も多かったですが、まだまだ面白い展覧会や音楽会は沢山企画されています。ぜひ台風に負けず、芸術の秋を堪能してみてくださいね!

●ストアカ(Street Academy)では「篠笛体験講座」をリクエストベースで開設しております。

https://www.street-academy.com/myclass/38288?

●個別にお稽古のご希望、ご相談等ございましたら、こちらまでどうぞ!

ワード・スピリット 藤本博子
word spirit.curation@gmail.com

藤本博子(福原百麗)

伊藤忠商事を皮切りに、転職8回、事務職から営業、大道芸人まで20の職種を経験。16年間、人材派遣・紹介会社にて営業、転職コンサルタントとして勤務後、独立。

これまでのべ1万人以上の就業・転職サポートを行い、2013年には人材大手転職サイト主催のスカウトコンテストにて1位(部門別)獲得。

現在、民間委託の求職者支援訓練指定校(セラピスト養成)にて就職支援講座(自己分析、就活実技、顧客サービス等)及びキャリアカウンセリングを担当。現在、京都造形芸術大学で芸術学を学びながら、アートを取り入れた「じぶん分解ワークショップ」を開発。訓練校やセミナー等で広く活用している。

一方、長唄囃子福原流笛方として演奏活動の他、洋楽(フルート)との比較やビジネスの視点から見た指導は非常にユニーク。

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

CAPTCHA


PAGE TOP