光のメンタル効果

スレスフルな社会生活に果敢に立ち向かっている現代人は誰もがメゲたり、凹んだりします。その理由もメカニズムもさまざまです。 「エゴ・レジリエンス」とは、日々のストレスをうまく調整して元気な自分を維持する力、誰もが持っているパーソナリティの弾力的な力です。「エゴ・レジリエンス」を高めることで自我のバランスをとる力が強化され、メゲても凹んでも、すぐに立ち直ることができるのです。
エゴレジ研究所の小野寺と畑が、「エゴ・レジリエンス」関連のお役立ち情報を提供し、あなたの元気をサポートします。

空間の光は、その光源、明るさ、色温度、照らし方などによって様々な雰囲気をかもしだします。そして光は目に刺激を与えるだけでなく、心にまで響き、心のありようにも影響するようです。ある光空間に身を置くことによって、その光にほっとしたり、気分が高揚したりまたは気分が落ち着いたりした経験は誰にでもあるのではないでしょうか。そこで今回は、光のメンタル効果についてのお話です。

日常生活での光の影響

心身の健康状態の維持には、日光が重要な役割を果たしていることが様々な研究で明らかになっています。
人体には、紫外線を浴びることでビタミンDを生成する機能が備わっています。ビタミンDは、骨や歯の形成にとても重要な役割を果たしており、摂取することで骨粗しょう症や、自己免疫疾患を防ぐことにつながります。
また、日光を網膜で感じることにより、体内時計の調整を行うという機能があります。実は人の生活リズムは24時間ではないという研究結果も発表されており、環境によっては毎日1時間ずつ起床と就寝の時間がずれていくことになります。
これを防いでいるのが網膜からの日光の受信です。日光を受けることで脳が昼夜を認識し、私たちの生活リズムを外的環境に合わせた24時間に調整しているのです。

私たちは日常生活において光の影響を受けています。心が弱くなっていて折れそうで辛い時、蛍光灯で一面に照らされた青白っぽい光空間では、心も冷えてしまうような索漠感をより感じてしまいます。一方、間接照明のやわらかく、色温度の低い光に満ちた空間に入ると、その温かい雰囲気に包まれて心が温められたように感じて癒されます。
また、光は単に物を認識させるだけでなく、人の心のありようをコントロールすることができるようです。

感情や思考への影響

光は私たちが思っているよりも人の感情や思考に大きな影響を与えるようです。

カナダのトロント・スカボロ大学と米ノースウェスタン大学で行われた「光が持つ人の感情への影響力についての共同研究」が、「Journal of Consumer Psychology」誌に掲載されました。 (http://www.medicalnewstoday.com/articles/273064.php

この研究では、照明の明るさを変えて、参加者たちに以下の項目について判定を行ってもらいました。

  1. チキンウィングのソースの辛さ
  2. 架空の登場人物の攻撃性
  3. 言葉から連想される感情
  4. 2種類のジュースの味
  5. 人の魅力度

その結果、明るい部屋ではより辛いソースを好み、架空の人物のキャラも攻撃的になり、人はより魅力的に見え、ポジティブな言葉はより良い判定を、ネガティブな言葉への反応はより強く表れることがわかりました。
さらに、明るい照明のもとでは2種類のジュースのうち“好きな方の味”をより多く飲み、“嫌いな方”の味は少ししか飲まなかったという結果も出ています。

つまり、明るい環境では人の感情が高ぶり、あらゆる感覚が強く働く可能性があるということです。
共同研究者の一人トロント大学のAlison Jing Xu準教授によると、以前の研究で、人は天気が良い日には株取引についてより楽観的になり、幸福感を感じるということがわかっているそうです。一方、うっとうしい天気が長く続くと抑うつ的な気分になります。
ところが現在、うつ状態にある人は、天気の良い日だとよりうつ症状がひどくなるようです。明るい環境だとより感情を強く経験するということです。
これは光が熱として知覚されるため、それが人の感情を高まらせているのではないかと言われています。

そのため、部屋の明かりを落としたほうが感情に左右されないため、客観的な思考が働きやすく、また商談などの場でも合理的な決断ができるのではないかということです。

脳は光を感じる「第三の目」

日光のエネルギーは生理学的な活動や気分に影響を与えるだけにとどまらず、すべての生命維持機能を安定させ体を健康にさせます。人体は日光に当たると、活動していない時の心拍数、血圧、呼吸速度、血糖値、また運動後の乳酸は下がり、精力、筋力、忍耐力、耐ストレス性、血液の酸素吸入量、運搬量は上がります。

反対に日光に当たる機会が少なくなると、気分が優れず、いら立ち、攻撃性が増し、疲労感、不眠症、うつ病、アルコール依存症、自殺生殖力の減退、多種多様な病気や症状が増えてきます。

身体のバランス ホルモンのバランス 心のバランス
自律神経の病気 エネルギーのバランス ストレスの緩和
自律神経の安定 各種ホルモンのバランス 情緒の安定・集中力と記憶力
各器官を調節・統制 各臓器のバランス 精神・感情の安定

また近年、光線が人間の情緒に深く関係し、精神的、肉体的に大変大きな影響を与えている事実が一層明らかになり、光線の有益性はますます高くなりました。

チリ大学(チリ)サンティアゴ校のJaviera Morales-Bravo氏と英シェフィールド大学のPablo Navarrete-Hernandez氏は、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によるロックダウン中に多くの人が自宅で過ごし、それに付随して不安や抑うつの症例も増加した」ことで、「住宅の室内空間に差し込む自然光と感情的ウェルビーイングとの関係を調べることにした」のです。

研究の結果、室内に差し込む自然光の量が増えるほど、参加者はより強い幸福を感じることが明らかになりました。参加者は、冬よりもたとえ曇りであろうと夏の方が、また北向きの窓のある部屋に対して、より強い幸福を感じていた。窓が壁に占める割合も重要な要素であり、20%超を占める場合には寂しさが減り幸福感が増していたようです。

検討したあらゆる条件の中で感情的なウェルビーイングが最も高かったのは、窓が壁に対して40%超を占める場合であったそうです。この他、自然光のこのような有益な影響は、30歳未満の若年者と女性の間でより強いことも分かったそうです。
※研究結果の詳細は、「Building and Environment」2020年9月号に掲載されました。

以上、エゴレジ研究所から、光のメンタル効果についてご紹介しました。自然光には、自律神経を整えて心をポジティブにする「セロトニン」というホルモンを活性化する効果があります。不安や憂うつを晴らし、気持ちを安定させたいなら、なるべく朝型の生活パターンにし、自然光の恩恵を受けて生活するのがいちばんのようです。続けていくと、憂うつ気分や不安が解消しやすくなり、抑うつのエスカレートを防ぐことができるでしょう。

 

エゴレジ研究所は,生涯発達心理学,パーソナリティ心理学,ポジティブ心理学の領域からの調査研究の成果を活かし,「エゴ・レジリエンス」をキー・コンセプトとして,いきいきと人生を楽しむことができる社会の実現に貢献することを目指しています。

あなたの元気のアドバイザー「エゴレジ研究所」
https://egoresilabo.com/

<プロフィール>

代表 小野寺敦子/ 心理学博士

目白大学 人間学部心理カウンセリング学科教授
・・・・同校 心理学研究科大学院修士課程教授
・・・・同校 心理学研究科博士後期課程教授
臨床発達心理士・三越伊勢丹アポセカリー顧問
NPO法人フレンズスクエア 代表理事

GM 畑 潮/心理学博士
GCDFキャリアカウンセラー
健康リズムカウンセラー

 

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