風邪が治りづらい更年期

スレスフルな社会生活に果敢に立ち向かっている現代人は誰もがメゲたり、凹んだりします。その理由もメカニズムもさまざまです。 「エゴ・レジリエンス」とは、日々のストレスをうまく調整して元気な自分を維持する力、誰もが持っているパーソナリティの弾力的な力です。「エゴ・レジリエンス」を高めることで自我のバランスをとる力が強化され、メゲても凹んでも、すぐに立ち直ることができるのです。
エゴレジ研究所の小野寺と畑が、「エゴ・レジリエンス」関連のお役立ち情報を提供し、あなたの元気をサポートします。

乾燥した冬に風邪がはやるのは、ウイルスが乾燥した環境を好むことと、乾燥や低温によって体の防衛機能が低下することの2つが主な原因と考えられています。とりわけ更年期には風邪をひきやすく、症状が長引くことがあります。原因は、ホルモンバランスの乱れからくる免疫力の低下です。そこで今回は、更年期女性の風邪と免疫力についてのお話です。

40代からは免疫力注意年齢

少し前までは一晩寝たら疲れが取れ、風邪もすぐに治ったものが、年齢を重ねるにつれなかなか治まらない、などということはありませんか。

東京医科歯科大学名誉教授の廣川勝昱先生の指摘では、
「加齢に伴う免疫機能の低下は、40代が曲がり角といっていいでしょう。この頃から免疫の主役的存在であるT細胞の機能が弱くなる人が少しずつ増えてきます」とのこと。また

「感染症に関する免疫系の主役はT細胞ですが、残念なことに、免疫系の中で最も老化が進むのがこのT細胞の免疫系なのです。獲得免疫系の働きは思春期にピークを迎え、40代で半分に、70代で20%ほどに低下します。個人差はありますが、T細胞を教育する器官である胸腺が衰えるためだと考えられます(図表1)」(廣川先生)

更年期女性と免疫力の関係

免疫システムは、体温が36.5度あたりで活発的に働くことができます。そのため、体温が低い状態(冷え)が続くと免疫力が低下して、体調を崩しやすくなります。そして、体温を保つためには「筋肉」が重要です(熱を産生させるため)。
50代以降の女性の場合では、筋力が低下しやすいため、体が冷えやすく、免疫力の低下に繋がる可能性があります。

さらに更年期には、様々な不調からストレスを感じやすくなることがあります。過剰なストレスは、免疫細胞の機能を低下させます。
ストレスが続くと「コルチゾール」というホルモンの分泌が促進されます。主な役割が一時的なストレスから身を守り、体の正常な状態を維持することです。しかし、慢性的なストレスにより過剰なコルチゾールが分泌され続けると、免疫力低下を招くと考えられています。したがって、更年期には外部から侵入してくる細菌やウイルスに弱い体になってしまいます。ウイルス感染症に分類されるのは、風邪やインフルエンザ、ノロウイルスです。

免疫力を高めるポイント

免疫力を高めるには、以下のようなことがポイントになります。

✔適度な運動(体力向上・筋力の向上のため)
✔ストレス解消(入浴・ヨガ・リラクゼーションなど)
✔食物繊維をしっかり摂る(高血糖の予防)
✔良質な油を摂る(オメガ-3脂肪酸など)
✔抗酸化物質を摂る(体内の老化を抑制する)
✔タンパク質をしっかり摂る(食事誘発性熱産生といって熱の産生を促進する) など

更年期の風邪予防

一般的な予防策としては、室内の湿度を保つことや水分をこまめに摂ることが効果的ですが、更年期では以下のアプローチがお勧めです。

風呂で体を温める

免疫力アップのため体温を調節するのに、毎日のお風呂は欠かせません。特に寒くなってくる秋から冬は、入浴前に浴室の壁や床にシャワーのお湯をかけると、空間の温度がすぐに上昇して体が冷えにくくなります。

体を芯から温めたいからといって、熱過ぎるお風呂に入るのは控えたほうが賢明です。人間の体は体温を一定に保つ働きがあるので、いきなり体温が上がると、体温を下げるために大量の汗をかいてしまい、それが冷えの原因になります。目安としては、40度のお風呂に15分程度浸かると、体が芯から温まります。42度以上の熱いお風呂は逆効果になるので気をつけましょう。

睡眠

アメリカで行われている研究では、睡眠時間と免疫力には深い関係があると結論が出ています。
■ 睡眠時間が7時間未満の人は風邪をひきやすい
■ 眠りが中断すると免疫力が低下する

私たちの免疫力は、睡眠中に強化されています。そのため、睡眠時間が短い人や眠りが細切れになってしまう人は免疫のパワーが落ちて、細菌やウィルスに感染しやすくなってしまうのです。さらに睡眠中には、傷んだ細胞を修復したり疲労回復を助ける「成長ホルモン」が分泌されるので、睡眠時間が短いと体のメンテナンスが充分に行われません。睡眠の時間や質を見直すことも免疫力をアップさせることに繋がります。

こまめにエクササイズ

女性の体は男性と比べると筋肉量が少なく、冷えを感じやすいといわれています。体を動かして血流を上げることで、代謝をよくして免疫力を上げていきましょう。
ウォーキング、ジョギングといった習慣的に行えるものもOK。激しめの運動でなくても大丈夫です。もちろん、筋トレなどの強度の強い運動は筋肉量を増やすことができるので、可能であればとりいれてみてください。また、
■ かかとの上げ下げ運動を5分行う
■ テレビを見ながら踏み台昇降を5分行う
■ 通勤や買い物ついでに30分余分に歩く
など手軽に行えて継続しやすいもの、「ながらエクササイズ」としてひと工夫することで、運動の代わりになります。仕事の合間のストレッチもお勧めです。

食生活で予防

食生活で風邪に罹りにくい体を作りましょう。バランスがよく、体を温めるメニューが基本です。

  • 大豆製品
    大豆に含まれるタンパク質は免疫力を高め、体力をつけてくれます。また、大豆に含まれる大豆イソフラボンは、エストロゲンに似た働きをするので、不足した女性ホルモンを補ってくれます。
  • 緑黄色野菜
    ニンジン、ブロッコリー、カボチャはビタミンA、C、Eという風邪予防に最適で免疫力アップに最適なものが含まれています。病原体から体を守り、口や鼻など粘膜の状態を整えてくれます。
  • ネギ味噌湯
    風邪で鼻水が気になるという方に最適です。消炎、解熱の作用もあり、初期であれば風邪の症状を和らげることにも役立ちます。味噌自体にも体を温め、疲労回復効果もあり、合わせるとおいしさも格別です。
    また免疫細胞の約70%は、腸の周辺に存在します。多くの免疫細胞は腸内細菌によって強化されるので、腸内環境を整えることは免疫力アップに直結します。腸内細菌を増やすためには、ヨーグルトや乳酸菌飲料、みそや納豆などの発酵食品、オリゴ糖などが知られています。

以上、エゴレジ研究所から更年期女性の風邪と免疫力についてご紹介しました。更年期の長引く風邪は、毎日の心がけで症状を抑え、治りを早めることができます。最近は新型コロナウイルスばかりが注目されていますが、風邪やインフルエンザも健康の大敵です。これからは空気が乾燥し、さらに感染しやすくなる季節です。免疫力維持に気をつけましょう。

 

エゴレジ研究所は,生涯発達心理学,パーソナリティ心理学,ポジティブ心理学の領域からの調査研究の成果を活かし,「エゴ・レジリエンス」をキー・コンセプトとして,いきいきと人生を楽しむことができる社会の実現に貢献することを目指しています。

 

 

あなたの元気のアドバイザー「エゴレジ研究所」
https://egoresilabo.com/

<プロフィール>

代表 小野寺敦子/ 心理学博士

目白大学 人間学部心理カウンセリング学科教授
・・・・同校 心理学研究科大学院修士課程教授
・・・・同校 心理学研究科博士後期課程教授
臨床発達心理士・三越伊勢丹アポセカリー顧問
NPO法人フレンズスクエア 代表理事

GM 畑 潮/心理学博士
GCDFキャリアカウンセラー
健康リズムカウンセラー

 

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

CAPTCHA


PAGE TOP