集中力は43歳! 意外な能力ごとのピーク年齢

代表 小野寺敦子/ 心理学博士

目白大学 人間学部心理カウンセリング学科教授
同校 心理学研究科大学院修士課程
スレスフルな社会生活に果敢に立ち向かっている現代人は誰もがメゲたり、凹んだりします。その理由もメカニズムもさまざまです。 「エゴ・レジリエンス」とは、日々のストレスをうまく調整して元気な自分を維持する力、誰もが持っているパーソナリティの弾力的な力です。「エゴ・レジリエンス」を高めることで自我のバランスをとる力が強化され、メゲても凹んでも、すぐに立ち直ることができるのです。
エゴレジ研究所の小野寺と畑が、「エゴ・レジリエンス」関連のお役立ち情報を提供し、あなたの元気をサポートします。

GM 畑 潮/心理学博士

人生100年時代の到来と言われ、これまで以上に学びの必要性は高まっています。学ぶ能力というと一般的には年齢が若い時にピークを迎えると思われています。例えばIT業界では「エンジニア35歳定年説」というのがまことしやかに言われています。35歳を過ぎると日進月歩のテクノロジーを覚えていくのが難しくなるからというのがその理由です。しかし、脳というのは年齢に関係なくいつも何らかの能力でピークがある、ということが判明しました。今回は『サイコロジカル・サイエンス』誌に掲載され、Business Insider で紹介された意外な能力ごとのピーク年齢についてのお話です(出典: Here are the ages your brain peaks at everything throughout life)。

年齢ごとに異なる能力のピーク

自分の能力のピークはもう過ぎた —— 。ほんとうにそうでしょうか?知能に限って言えば、今後、新たな能力のピークを迎えられる可能性があります。他人の感情を推し量る能力、あるいは基本的な計算能力のように、中年期もしくはそれ以降までピークに達しないものもあるようです。

マサチューセッツ工科大学(MIT)の認知科学研究者で、加齢に伴う知能の変化に関する研究を率いるジョシュア・ハーツホーン(Joshua Hartshorne)氏は、Business Insiderに対し、ほぼどの年齢においても、ある能力については向上が、ある能力については低下が見られる」と語っています。

彼の研究チームは、10歳から90歳までの数千人を対象に、単語の暗記、顔の識別、名前の記憶、計算といった能力について調査しました。結果、年齢に関係なく、ほぼすべての年齢で、常になんらかの能力のピークが来ることがわかったのです。

◆18歳前後:総合的な情報処理能力と記憶力

認知症から脳障害まで、科学者たちは脳の機能を測定するために、DSSTと呼ばれる認知機能テストを使用しました。この検査では、情報処理スピード、注意力の持続性、視覚認知など、一度にさまざまな認知能力が必要とされます。知能を測る指標として広く使われている「ウェクスラー成人知能検査」の一部で、通常、数字と記号のペアを作らせるといった問題で構成されます。

ハーツホーン氏は、加齢とともに知能がどのように変化するかを調査し、一般的に情報処理能力や記憶力は、10代後半にピークを迎えることを見出しました。

◆22歳:名前を記憶する能力

ある人物を思い浮かべたとき、「その人の職業がパン屋(baker)というところまで思い出せるのに、ベイカーという名前が思い出せない」という心理現象があります。神経科学者はこれを「ベイカーベイカーパラドクス」と呼びます。ベイカーというその人の名前よりも、パン屋(ベイカー)という、その人が就いている職業の方が記憶しやすいという説です。人物と名前をリンクさせる文脈がないため、記憶に残すことができないのです。

2011年の調査によると、新しい名前を覚えるには、20代前半が最適だとわかりました。

◆32歳前後:顔認識能力

人間の脳は、顔を認識、識別する特別な能力を持っており、新しい顔を覚える能力は、平均して30歳になった直後にピークに達するようです(Where cognitive development and aging meet: Face learning ability peaks after age 30)。

現在、顔を認識する能力と年齢の関係を研究している科学者たちは、「スーパー・レコグナイザー」と呼ばれる、顔認識において類まれな能力を発揮する人々について調査していますが、そのスーパー・レコグナイザーの多くは30代なのです。

◆43歳前後:集中力

2015年、ハーバード大学とBoston Attention and Learning Laboratoryの研究者らが行った研究によると、集中力は年齢とともに向上し、43歳前後にピークを迎えることが判明しました(Sustained Attention Across the Life Span in a Sample of 10,000: Dissociating Ability and Strategy)。

同研究を率いる科学者の1人、ジョー・デグティス氏は声明の中で、「若者が情報処理の速さと柔軟性に優れている一方で、集中力は中年になるにつれピークへ向かうようだ」と述べています。

◆48歳:感情認知能力

他人の感情を読み取ることが苦手という人がいます。ハーツホーン氏はその研究の一部として、数千人の目元のみの写真を見せて、被験者に写真の人物が何を感じているか、説明するよう求めました。結果、48歳前後の人が最も良いパフォーマンスを見せました(When Does Cognitive Functioning Peak? The Asynchronous Rise and Fall of Different Cognitive Abilities Across the Life Span)。

◆50歳:基本的な計算能力

多くの人は、学校を離れ、勉強をやめたら、数学の能力が低下すると考えているようです。しかし、引き算と割り算の計算能力のピークは、50歳だそうです。

◆67歳前後:語彙力

スクラブル(バラバラのアルファベットを組み合わせ、作った単語の得点を競うボードゲーム)でいつも負けてしまう人に、良いニュースがあります。同研究によると、複数の選択肢の中から答えを選ぶ、多肢選択式の語彙テストの結果、我々の語彙力がピークに達するのは、60代後半から70代初めなのです。

学びのピークはこれから

この研究を行ったハーツホーン氏は、「全ての能力がピークにある年齢というものは、存在しないのかもしれない」と言っています。

この研究では、情報処理の理論速度は18~19歳付近でピークに達し、それ以降すぐに低下が始まっています。一方、短期記憶は25歳付近まで向上し、しばらく安定した後に35歳前後で衰え始めます。他人の感情を読み取る能力については、そのピークは40~50代とずっと後になってから訪れます。ちなみに60~70代でピークを迎えるという結晶性知能とは、学校で受けた教育や仕事、社会生活の中で得た経験に基づく知能のことだそうです。

もう自分は学ぶには遅すぎる……などとあきらめないでください。これから様々な学びのピークがやってきます。新しい情報が皆さんのこれまでの経験や知識と統合されることで深い学びになっていくと思います。

以上、エゴレジ研究所から意外な能力ごとのピーク年齢についてご紹介しました。大人になったからといって、脳の成長が止まったとか脳が衰えてしまっているというわけではありません。大切なのは「知りたい、学びたい」という知的好奇心を高く持つことでしょう。脳には、好きなことや知的好奇心を持てることは記憶に残りやすいという性質があります。この性質を利用して、好きだ、楽しいと思える気持ちと知的好奇心を刺激しながら学ぶことが重要なのです。生涯学びを続ければ、脳の老化は抑えられるそうです。

エゴレジ研究所は,生涯発達心理学,パーソナリティ心理学,ポジティブ心理学の領域からの調査研究の成果を活かし,「エゴ・レジリエンス」をキー・コンセプトとして,いきいきと人生を楽しむことができる社会の実現に貢献することを目指しています。

あなたの元気のアドバイザー「エゴレジ研究所」
https://egoresilabo.com/

<プロフィール>

代表 小野寺敦子/ 心理学博士
目白大学 人間学部心理カウンセリング学科教授
・・・・同校 心理学研究科大学院修士課程教授
・・・・同校 心理学研究科博士後期課程教授
臨床発達心理士・三越伊勢丹アポセカリー顧問
NPO法人フレンズスクエア 代表理事

GM 畑 潮/心理学博士
GCDFキャリアカウンセラー
健康リズムカウンセラー

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