第7回 暑い夏に飲むならコレがおすすめ!①

鈴木留美
スペインワイン専門輸入販売の株式会社エスタリコ・ジャパン(https://www.estarico-japan.com/)のセールスマネージャー。
都内ホテル勤務中の出会いに導かれ、スペインワイン輸入販売の世界へ関わることとなる。「笑顔は幸せを呼ぶ」と「明日は明日の風が吹く」がモットーです。
好きが原動力で、いつかスペインで暮らすことを目標に現在日本語教師の資格取得に向け奮闘中。

ビールも捨てがたい!

毎日暑い日が続きますね!みなさま、暑中お見舞い申し上げます!
こうなると、かき氷を食べたり、キンキンに冷えた冷た~いビールを飲んだりしたいっ!と思うのはきっと私だけではないですよね?ステイホームで好きなドリンクを片手にテレビで東京オリンピックの観戦をされている方も多いかと思います。すっかり話がそれておりますが開催中の今も色々と物議をかもしている今大会ですが、アスリートのみなさまの勇姿に感動と感謝の気持ちを感じております。
今回のテーマに入る前に、せっかく話が出たのでスペインビールについて少しお話させてください。

ワインはVino(ヴィノ)というのはよくご存じではないかと思いますが、ではビールってスペイン語で何というのでしょう?
英語でBeer、ドイツ語でBier、イタリア語ならBirraです。みんなBから始まる単語です。イタリア語とは似ているのでやはりBから始まるかと思いきや、“Cerveza”(セルベサ)と言います。まったく被りません(笑)
スペイン語を勉強し始めて何年?と思ってしまいますが語源を知りません。

ここを少し掘ってみました。仲間を探してみるとポルトガル語はCervejaでした!
調べてみると、この単語はケルトのガリア語Cerevisĭaに起源があるという説と、ローマ神話に登場する豊穣神であり大地の地母神であるCeres(ケレース)の名前から来ているとの説がありました。確かにどちらもCervezaに似ていますね。

ケルトとかガリアって、何となく歴史の授業で出てきたような・・・くらいの感覚なのですが、ケルト民族の音楽は今でもスペイン北西部でよく耳にしますし、音楽というジャンルであれば個人的には心地よくて好きです。スコットランド、アイルランド、ウェールズというイメージをお持ちの方が多いかもしれませんね。いろいろな民族の支配を受けてきたイベリア半島だからこそ、言葉にもラテン語以外の由来が存在するのでしょうね。

一方、このCeres(ケレース)、スペイン語読みすると“セレス”となります。しかしながらCeres+Vis(強さを意味する)が合体してビールを意味していた言葉はフランス語でした。結論としてはどうやら単語自体はフランスから渡ってきた言葉のようです。
日本語の中にもたくさん実は外国由来でしたという言葉が多くあり興味深いですが、陸続きである国々の方がさらに複雑に絡み合っているように感じます。なぜならフランス語でビールはBièreだからです(笑)。

暑い夏に飲むならコレがおすすめ!

さて、本日のお題である夏に飲むなら・・・ワインを使った爽やかな飲み物と言えばサングリアもその1つですよね。お店によって使っているフルーツが違うので、自家製だとそのお味もバラエティ豊かです。恐らく地方ごとの個性のあるドリンクが存在するはず!ご当地名物ですね。サングリアもご紹介しますが、まずは私のイチオシのシンプルなドリンクのご紹介をいたします。最近では提供しているお店もありますね。名前はTinto de verano(ティントデベラノ)です。第2回でお話をしたTintoです。ここでは“夏の赤ワイン”というのが訳としていいように思います。

スペインにお住まいだった、もしくは夏場に留学やご旅行された方はこの名前をバルでお聞きになったことがあるかもしれません。でも、スペイン人にとってこの飲み物はアルコール飲料のカテゴリーに入っていないと思っています。もしそう思っていたら子供たちには勧めないでしょうから(笑)。

では何で出来ているどんなものかご説明します。
とってもシンプルで簡単です。誰でも作れます!材料は2つだけです。赤ワインと炭酸水、以上です。
そうなんです。赤ワインの炭酸割、これがTinto de veranoの正体です。でも私は好きな飲み物の一つです。それゆえに以前お仕事をしていたお店で夏のドリンク新メニューの際に提案をしたほどでした。しかしながら、それでは日本ではウケないと言われレシピを変えて名前だけ残りました。当時はまだ“映える”という言葉はありませんでしたが、商品としては何らかのインパクトが必要なので仕方のないことだったと思います。

それでもなお、この場を借りてこのシンプル極まりない飲み物をご紹介するのは、飲むとその美味しさを知ってもらえるからです。余計なものは要らない、と今も思っているからです。スペインにはコカ・コーラもファンタももちろんありますが、ペプシが出しているKas(カス)や、たしかCasera(カセラ)という名前の炭酸飲料で割るのが一般的でした。

ワインの量もお好みで構いません。子供達には色付け程度で飲ませていたと思います。メニューに載ってなくてもお願いすれば作ってくれます。
日本に帰ってからは、炭酸水(甘くないもの)で割って飲むようになりました。個人的にあまり甘いワインが好きではないのでこの方がさっぱりしてお食事に合わせやすいです。ワインはお安いものでかまいません。おいしいワインをわざわざ割る必要はありません(笑) リーズナブルで気軽なものでぜひぜひお試ししてみてほしいワインを使った夏のお薦めドリンクです!

サングリアはどんなもの?

では女子に人気のあるSangria(サングリア)ってどんなものなのでしょうか?
フレッシュフルーツがたっぷり入ったワインカクテルと言ったところでしょうか?
『私はあまりお酒も強くないから…サングリアにする!』って会話が耳に入ってくることがありますが、ちょっと待ってくだい!!サングリアの中身ご存じですか?と割って入りたくなることがありますが、大きなお世話と思いとどまっています(笑)

サングリアの色はワインの色ですが、中にはブランデーが入っています。ということは??お分かりですよね?アルコール度数だけで考えればワインよりも強いお酒です。しかしながらフレッシュなフルーツ、シナモンの風味とお砂糖で口当たり良く甘く出来ていますから、何倍も飲むと大変なことになるかもしれませんね。さらに仕上げにお好みで炭酸飲料を加え爽やかさをプラスされていたら、ゴクゴクいってしまいそうです。
お気を付けください!!

しかし、もしホームパーティーをする時などはとても華やかでフォトジェニックなウェルカムドリンクになることも間違いなしの1品です!どんなお酒にも言える事でしょうけれど、楽しむための飲み物であってほしいなと思っています。
簡単なレシピはインターネットでたくさん検索できると思いますので、一度お好きなフルーツで自家製サングリアを楽しんでみていただきたいです。

オルチャタって何?

Horchata(オルチャタ)という飲み物ご存じですか?
(スペイン語一口メモ:単語の頭文字にHがつく場合、このHは読みません。)
この飲み物はValencia(バレンシア)では夏の栄養補給に飲まれています。しかも専門店があるほどポピュラーなのです。
初めて見たときは『何じゃこりゃ?!』と思いました(笑)。好き嫌いがはっきり分かれそうです。見た目の色もベージュ?豆乳?そそられる色ではありません(栽培されている方すみません💦)。

飲んでみると、私は好きなお味でした。どんな?と言われると説明しにくいのですが、最近でいうならアーモンドで作るミルクありますよね?あれに少し似ているかな・・・と思います。この色や味わいは原料である球根からくるもので、Chufa(チュファ)という名前です。日本語では“カヤツリグサ”ですが、日本語で聞いても私にはどんなものかさっぱり想像ができません(笑)。でも案外よく飲んでいました。この“カヤツリグサ”を調べてみると古代エジプト時代の紙の原料パピルスの仲間だそうです。日本で飲めるところがあるかわかりませんが、夏バテ防止に威力を発揮しますので、見かけた際はぜひチャレンジなさってみてください!

よくレストランで見かける可愛いピッチャー

陶器が素晴らしい国でもあるスペインですから、美味しいドリンクを目で見ても楽しみたいですよね。

スペイン料理レストランで見かけるガラスや陶器のピッチャーを見たことありますか?

ニワトリの形で口が注ぎ口になっていたり、伝統的な模様の陶器だったりするのですが、可愛いものがとても多いです。個人的にはグラナダ地方の伝統の文様ザクロの絵の入った陶器が大好きですが、名前はJarra(ハラ)といいます。

瓶のままでいいでしょ!と考える方もいるはず。ハウスワインのハーフボトルなどでも使われますが、素焼きや陶器に入れると温度の上がるのを遅らせられるという理にかなった入れ物なので、可愛いだけではない先人の知恵なのかもしれません。

さて、今回いくつかの夏らしいドリンクをご紹介しましたが、若者ののアルコール離れは日本だけではなくヨーロッパでも深刻です。ここ数年ですが、アルコール度数の低い微発砲のFrizzanteというドリンクもありスペインの老舗ワイナリーでも取り扱っていますので、ご興味ある方はぜひチェックなさってくさだい。

暑い夏、美味しく涼を取って夏バテ知らずでお過ごしくださいね!

〈プロフィール〉

都立高校卒業/東神開発株式会社へ入社、玉川高島屋S.Cにて受付業務/その後株式会社ミキインターナショナルにてイタリアンレストラン勤務をしながら、2回のスペインへ留学、スペインバル草分けの恵比寿Tio Danjo勤務/生花店勤/病院勤務(医療事務資格取得)/某メガバンクコールセンターSSV/製パン/日本初出店マヨルカ勤務を経て現在はホテル勤務とワインの仕事の二足の草鞋を履いております。てんぷら(スペイン語豆知識)

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