第2回 これぞ王道① リベラ デル ドゥエロの赤ワイン

鈴木留美
スペインワイン専門輸入販売の株式会社エスタリコ・ジャパン(https://www.estarico-japan.com/)のセールスマネージャー。
都内ホテル勤務中の出会いに導かれ、スペインワイン輸入販売の世界へ関わることとなる。「笑顔は幸せを呼ぶ」と「明日は明日の風が吹く」がモットーです。
好きが原動力で、いつかスペインで暮らすことを目標に現在日本語教師の資格取得に向け奮闘中。

これぞ王道① リベラ デル ドゥエロの赤ワイン

D.O. Ribera del Dueroって知っていますか?
個人的には一番馴染みのある原産地呼称(Denominación de Origen)です。
お国によって呼び方も違います。ワインと言えばフランス!という方が多い日本では、AOPやIGPの方が馴染みのある方が多いかもしれませんね。それのスペイン版です。

今回は世界的に有名なUnicoというワインを輩出したリベラ デル デュエロをご紹介したいと思います。Unicoはスペイン語で“唯一の”という意味です。このワインがリベラ デル デュエロを銘醸地に押し上げたといっても過言ではないと思います。安くても6万円以上すると思います。リーズナブル!コスパ!と言われるスペインワインに10万円とかの値がつくわけですから見る目が変わっちゃう方もいるかもですね。
のちほど完全主観のお手頃おすすめワインもご紹介予定です!

D.O. Ribera del Dueroってどんなところ?

では、そんなワインを造り出すリベラ デル デュエロとはどんなところでしょう。
首都マドリッドから北西へ約170Km、カスティーリャイレオンのデュエロ川両岸に広がるワインの産地です。メセタと呼ばれる乾いた大陸性気候の大地で、年間降水量も400~600mmほど。2020年の日本のそれは1590mmですから、カラッカラです!!
朝晩の気温差や日照時間の長さが果実味たっぷりで酸味のバランスの良いブドウを生み出しています。
スペインではRiojaやPrioratに負けない銘醸地です。

せっかくなので少し歴史にも触れてみます。
この地域のワイン造りの歴史は非常に古く、2500年前くらいからではないかと言われています。東部が古代ギリシャ人やフェニキア人に支配されていた頃、彼らが自国から持ち込んで根付いたと言われています。のちにイスラム教徒の支配もありましたが、キリスト教の布教活動がワインをスペイン中に広げました。日本では縄文時代の終わりのころのようですから驚きますよね!私たちの祖先が竪穴式住居で暮らしていた時代、すでにワイン造りが始まっていた訳です。

てんぷら(スペイン語豆知識)

スペインワインのブドウ品種と言って思い浮かぶものはありますか?
“テンプラ”(揚げ物ではないです)って言葉耳に入ってきたことありませんか?
スペインの代表格ブドウTempranillo(テンプラニーリョ)の愛称?です。

実はこの“テンプラ”、スペイン各地で生産されています。スペイン北部の原産で、とにかくたくさんの名前を持っています!
何と!少なくとも15!“テンプラ”は15の顔を持つブドウです。
ご興味のある方、お名前調べてみるのも面白いかもしれませんよ!ワインを飲んだ時裏ラベルのブドウ名見てみてくださいね。

ここで、スペイン語豆知識!
一般的に知られる名前Tempranilloとはスペイン語で「早熟」を意味します。
成熟が早いブドウ、つまり早生品種です。
また、Vino(ワイン)はご存じの方も多いと思いますが、赤はスペイン語でrojo(ロホ)です。
では、赤ワインはvino + rojoでしょうか?
残念!スペイン語で赤ワインはvino tinto(ティント)と呼ばれています。
この理由は17世紀まで遡ります。

この言葉“tinto”(ティント)はラテン語tinctusに由来するものですが、tintoは“teñido”(染められた)から来ています。
当時は白ワインの生産の方が多かったようです。一説によるとイギリスで白ワインを少量の赤ワインで“染めて”飲むのが17世紀の流行りだったとか。
そこで、赤く染められたワイン=vino tintoと呼ばれ、名前のみ残っているということの様です。

Denominación de Origenって何でしょう?

これはスペインの食料品に対して与えられる原産地呼称制度のことです。
ワインだけと思いがちですが実はチーズやオリーブオイル、はちみつなどにも同様の制度があるんです。
スペインワインに関して言えば、おおよそ7つのカテゴリーに分けられています。
今お話をしたDenominación de Origenは上から3つ目のカテゴリーです。

スペインにおける最初の規制が始まったのは18世紀の頃です。安かろう悪かろうのワインの輸入や混入を防ぎ、ワインの品質を保つためでした。
そこにだんだんと特定ワイン産地の指定制度が加わったりしつつ現在に至っています。

こんなに古い歴史を持つスペインワインですが、スペインにおいて原産地呼称(DO:Denominación de Origen)を名乗るために満たすべき条件が定められるための条件や法令が定まったのが1970年というのは最近過ぎる気もしますね。

おすすめの1本 POMAR

今回みなさまにおすすめしたい1本、
それはポマール3兄弟が手掛けるPOMAR de Burgos 2017です。
先ほどお話した“テンプラ”の別名のひとつ、Tinta del país 100%で作られた赤ワインです。
“染められた”ワインではなく(笑)、黒ブドウから醸造されています。

Pomar Viñedos(ポマール ヴィニェドス)は本日のお題であるD. O. Ribera del Dueroのど真ん中に位置するワイナリーです。
すべて自社所有の畑から手摘みで収穫しますが、畑の標高は840メートル!!!
典型的な大陸性気候で昼夜の寒暖差が厳しく日照時間が長いため、ふんだんにお日様を浴びてブドウは育ちます。
果実味と酸のバランスの良いワインの原料となる最良の立地です。
14.5%というアルコール度の高さが、いかに果実が甘かったかの証でもあります。

見た目もピンク色が印象的なPOMAR de Burgos2017、フルーティーさに加えフレンチオークの小樽で6ヶ月の熟成によるバニラなどの香りが食欲にも火をつけますよ!
お肉料理はもちろんのこと、個人的にはMorcilla(血入りソーセージ)やレンズ豆の煮込みとのペアリングもおススメします!
日本一古いスペイン料理店、青山のEl Castellanoさんや、神楽坂のお肉が美味しいスパニッシュEl BUEYさんでお試しいただけます。
お家飲みならhttps://www.estarico-japan.com/ でもご購入いただけます。
ご興味あれば覗いてみてください!

〈プロフィール〉

都立高校卒業/東神開発株式会社へ入社、玉川高島屋S.Cにて受付業務/その後株式会社ミキインターナショナルにてイタリアンレストラン勤務をしながら、2回のスペインへ留学、スペインバル草分けの恵比寿Tio Danjo勤務/生花店勤/病院勤務(医療事務資格取得)/某メガバンクコールセンターSSV/製パン/日本初出店マヨルカ勤務を経て現在はホテル勤務とワインの仕事の二足の草鞋を履いております。てんぷら(スペイン語豆知識)

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