第6回 基本の基本 スペインワインのラベルとブドウ品種のお話

鈴木留美
スペインワイン専門輸入販売の株式会社エスタリコ・ジャパン(https://www.estarico-japan.com/)のセールスマネージャー。
都内ホテル勤務中の出会いに導かれ、スペインワイン輸入販売の世界へ関わることとなる。「笑顔は幸せを呼ぶ」と「明日は明日の風が吹く」がモットーです。
好きが原動力で、いつかスペインで暮らすことを目標に現在日本語教師の資格取得に向け奮闘中。

基本の基本 スペインワインのラベルとブドウ品種のお話

すっかり蒸し暑くなり、ザ・日本の夏到来ですね。
近年は梅雨明け間近になると決まって雨による災害が起こって、被害にあわれた方々、そして大切な方の安否が不明でいらっしゃる皆様へこころよりお見舞い申し上げます。
私たち人類が作り出している地球温暖化は、深刻ですよね。
ワインのブドウ栽培や製法もなるべく自然に、そして植物性のものを使う方向へ動いています。最近よく耳にするサスティナビリティですね。

さて、今回はスペインワインに欠かせないスペインのブドウ品種とラベルの見方についてお話しようと思います。
みなさんはジェケ買い派ですか?それとも品種やお国で決めていますか?
ラベルで損しているなぁと思ってしまうワインもありまして、そういうアドバイスをなさっている方もいるんですよ。やはりラベルはボトルの顔なのですね。

もし、ラベルに書いてある内容が分かったらまた違う探し方ができますよね!
ワインを選ぶ楽しみを増やしていただける回になればいいなと思います。
一口にラベルといっても本当に様々な形、大きさ、デザインがありますね。
昔ながらのお城の絵だったり、ラベル自体がないというのでしょうか、直書き的なものだったり・・・・
まずはラベルに記載される品種が分からないと始まりませんよね。
品種の紹介からお話します。

基本のスペインブドウ品種

第2回目でご紹介した“テンプラ”tempranilloはスペインのワインに使われる最もポピュラーな黒ブドウですが、今回はこれ以外の品種のご紹介をしていきますね。
まずはスペインのブドウの生産量はご存じでしょうか?
国際ぶどう ワイン機構(O.I.V)のデータによると2019年のスペインのブドウ栽培面積は96万9000ha。これは世界最大です。EUの中の30%にあたる面積です。
フランス・イタリアよりも広いんです!

ただし生産量となると世界第3位。1位のイタリアは4950万hl(ヘクトリットル)、2位のフランスが4740万hlで、スペインは3700万hlです。スペインはとても乾いた大地のためこのような結果になります。ご存じかもしれませんが、年によってイタリアとフランスの1位2位は入れ替わることもあります。
余談ですが、最近よく目に入るニューワールドのワイン。日本ではチリや南アフリカなどが有名ですね。でも、実はこれらの国よりもお近くの中国の方がたくさんのワインを生産しています。少し驚きですよね。

お話をぶどうに戻しましょう。
フランスワインがお好きな方はグルナッシュって聞いたことありませんか?
この品種はスペイン原産でスペイン語でガルナッチャ(Garnacha)と呼ばれています。地方によっては中の果肉まで真っ赤なガルナッチャ・ティントレラ(Garnacha tintorera)
という品種や突然変異と言われているガルナッチャ・ブランカ(Garnacha blanca)という白い皮のものも存在します。

原産地はスペイン北部のアラゴン州ですが、カタルーニャや地中海地方、内陸トレド、アメリカやオーストラリア、南アフリカでも広く栽培されています。以前はあまり評価されない品種で、シラーへのブレンドのような補助品種としての使用も少なくありませんでした。
しかしながら現在では研究が進みガルナッチャ品種100%で醸造される素晴らしいワインたちもたくさん存在しています。

こちらはテンプラよりも収穫は2週間ほど遅くなります。
しっかりと色づいて完熟すると非常に糖度が高く、果実味の高いブドウとなります。
糖度が高いのでワインはアルコール度も高いものになりますが、ワインをあまり飲まないという方にも親しみやすいやわらかな果実味で、プルーンのような香りやチョコレートを連想させる香りを楽しめます。
また、しっかりとした濃い色のワインに仕上がるのもこの品種の特徴です。この綺麗な色こそが名前の由来で、Garnachaは宝石のガーネットの意味を持つブドウ品種です。

スペイン白ブドウの代表格といえばアルバリーニョ(Albariño)でしょうか。
個人的にはヴェルデホ(Verdejo)推しですが、これはまたの機会に。
アルバリーニョといえばD.O. リアス・バイシャスです。とても海に近い地域で多湿の中で栽培されています。
また、このD.O.で認められている品種は12種ありますが、約90%はアルバリーニョの生産という重要品種でもあります。
第3回でガリシアのお話を少しいたしましたが、その地方の原産の白ブドウです。

ガリシア地方は雨が多く、多湿で一緒に学んでいたタイ人の女性は「内陸は乾燥していてとてもじゃないけどわたしのお肌がもたない!」と言って、ガリシア地方のサンティアゴ デ コンポステーラへ引っ越してしまったという逸話があります(笑)やはり女子にはうるおいが大切ですかね。

さて、このブドウで造られたワインは少々お高めです。というのもこの品種はスペインの白ブドウで一番高貴であると言われ取引価格もお高いのです。もちろん、品種そのものの房が小さ目とかそういうこともあると思います。
熟成の度合いで香りが変化していく、本当に香り高い素晴らしいワインを造り出す品種です。20代の時にずっとイタリアンレストランでお仕事をしていましたが、当時の支配人に連れて行っていただいたFOODEXという大きな見本市で初めて買ったワインがまさにリアスバイシャスのアルバリーニョだったのを今でも覚えています。でもこのワインを飲む日は訪れませんでした😢もし理由にご興味あればコメントくださいませ(笑)

素晴らしい香りに土壌を反映したミネラル感、酸味も特徴の一つです。とくれば、魚介類との相性が抜群です。やはり土地の物には土地のワインが合うというのは理にかなっているのかもしれませんね。
ご自分へのご褒美白ワインに一度選んでみてはいかがでしょうか?

実際のラベルって何が書いてあるの?

ついにラベルの見方へ突入です!
しかしながら、よくよく見ると書き方が様々で自由でどのように説明するのが良いのかわかりません!
表と裏を合わせて完了するようなタイプもたくさんあります。また、輸入業者さんのシールの貼り位置によっては、現地の物はすっかり見えなかったりするものもあります。
でも、せっかくですから大体ですがご説明させていただこうと思っています。

下に何種類かの写真を載せたのですが、ワイナリー名を入れるところもあるし、ワイン名のみの物もあります。でも、やはり原産地呼称を表に載せているものが多いと思います。写真の場合はBIERZO, Ribera del Duero, TOROがそれにあたります。また、ブドウの種類や、収穫年、熟成ワインの分類を表に記載することが多いです。これはCrianza, Reserva, Gran Reservaという分類です。

裏に行くと、ワインの説明やアルコール度数(数字+%VOL)、表同様にブドウ品種(Tinta deToro,PETIT VERDOT,Mencía)や収穫年(2015,2017,2019,2020)に加え、内容量(750ML)、もし取得していればBioのマークやQRコード、スペイン産(Product Of Spain)といったことが記載されています。
必ずどこかに品種名は入っていますので、ぜひ今回ご紹介した品種も見つけて試してみていただけたら嬉しいです!!

最近のスペインワインのラベルは本当に可愛いもの、おしゃれなもの、スタイリッシュなものがたくさんあります。お気に入りを見つけて試してみるのもいいと思います。
また、同じブドウ品種でも産地や熟成、造り手さんなどでまったく別物になります。同じ品種の違うワインを色々試してみるのも楽しい経験です。
再度の緊急事態宣言中ですが、ゆっくりお家で好きなお料理と合わせて飲み比べも楽しいと思います。ぜひ挑戦してみてください!!

あなどれないスクリューキャップ

最後になりますが、ワイン開けるのって苦手という方へ朗報です。
一見安物のワインかと思ってしまいがちなスクリューキャップのワインについてです。
完全主観ですが素晴らしいと思っています!
① 簡単に開けられる
② 飲み残してもすぐ閉められる
③ コルクより衛生的
④ 折ってしまうってことがない(失敗がない)
どんな時もワインを楽しく飲んでいただけますように!

〈プロフィール〉

都立高校卒業/東神開発株式会社へ入社、玉川高島屋S.Cにて受付業務/その後株式会社ミキインターナショナルにてイタリアンレストラン勤務をしながら、2回のスペインへ留学、スペインバル草分けの恵比寿Tio Danjo勤務/生花店勤/病院勤務(医療事務資格取得)/某メガバンクコールセンターSSV/製パン/日本初出店マヨルカ勤務を経て現在はホテル勤務とワインの仕事の二足の草鞋を履いております。てんぷら(スペイン語豆知識)

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