第5回 一人旅① 小さな町に大きな遺産 セゴビア

鈴木留美
スペインワイン専門輸入販売の株式会社エスタリコ・ジャパン(https://www.estarico-japan.com/)のセールスマネージャー。
都内ホテル勤務中の出会いに導かれ、スペインワイン輸入販売の世界へ関わることとなる。「笑顔は幸せを呼ぶ」と「明日は明日の風が吹く」がモットーです。
好きが原動力で、いつかスペインで暮らすことを目標に現在日本語教師の資格取得に向け奮闘中。

小さな町に大きな遺産 セゴビア

今回は少しワインを離れて、スペインの中のお薦めの場所をご紹介しようと思います。
スペインの北西に位置するCastilla y Leonにあるセゴビアをご存じでしょうか?
小さな町ですが、たくさんの思い出があります。
今回はこのセゴビアについてご紹介します。

この町は、2つの川に挟まれており、グアダラマ山脈の麓にあります。何と標高は1000mです。
歴史的にも、カスティーリャ王国の中心地であったそうです。
私の住んでいたValladolidの町から111kmですが、早朝と夕方にバスがあるので日帰り旅行を楽しむことができました。

セゴビアに到着してまず最初に出迎えてくれるのが、文化遺産の水道橋です。1985年に登録されました。
初めてこれを見たときの感動は今も忘れられません。
一番高いところで約29m。その全長は約728mです!圧巻ですよ!!しかもローマ時代の1世紀に建設され、花崗岩のみを積み上げて造られているのです。信じられない技術だと思いませんか? さらに驚くのは、1884年まで実際に使われていました!

散策してみよう!

まずはこの水道橋を見上げ、その壮大さに暫し感嘆。そして、この水道橋、横からも見られるようになっております!
端っこに上ることができる場所があり、横からもその長さをじっくりと見ることができます。私の場合、ここにそのまま座って時間を過ごすのも贅沢だと考えております。
スペインの中で他にも比較的きれいに残っている水道橋はありますが、これほど美しいものはないだろうと思っています。

水道橋のすぐ近くに大変有名なレストランがあるのも見逃せないところです。
日本人にとっては残酷?とも思われがちですが、子豚の丸焼きCochinilloがセゴビアの名物です。
柔らかいことをアピールするため、お皿で切り分けるというパフォーマンスがされているのが、こちらのお店です。一生のうちに何回ものことではないので、ぜひ豪快に召し上がってみてはいかがでしょうか?もちろん、美味しいスペインワインをお忘れなく!

少し町の中へ進んでいきましょう!
小径に並ぶお土産屋さん、カワイイ看板やショーウインドーを見ているだけで幸せになります!
少し上っていきながら、アルカサルを目指してみましょう!

ディズニーの白雪姫のモデルになったお城

どんどん進んでいくと、何かで見たことのあるようなお城が見えてきます。
町のはずれの崖のところに聳えるお城、正式名称はアルカサル デ セゴビア(Alcázar de Segovia)です。
こちらは鉄壁の要塞だったと言われています。切り立った断崖に3方を囲まれ、お城の入り口にはつり上げ橋がありましたから、それを上げてしまえば、完全に要塞です!
ロマンを感じます。

12世紀にイスラム教から奪還をしたのち、歴代の王により改修・増築されてきました。
火災にも見舞われているのですが、その美しい姿は健在です。
3回訪れましたが、毎回感動していました。

さてこのお城、たくさんの方々の気持ちをつかんで離さない、ウォルト ディズニーの白雪姫のお城のモデルと言われていますが、ご存じでしたか?
要塞としての鉄壁さのみならず、美しい外観、夢の国にピッタリと考えられたのかもしれませんね。
さらには、外観のみならず、中も世界遺産に認定されていますから、ぜひぜひ見学なさってみてくださいね!

カテドラルの貴婦人

次にぜひ立ち寄ってほしいところがあります。
少しずつ旧市街の中心へ戻っていきましょう!
何とも優雅なカテドラルが見えてきます。16世紀から18世紀に建造されたものですが、レコンキスタ(国土回復)を完成させたのちのスペイン黄金時代に建築されています。

見た目が、優雅にスカートを広げている貴婦人の様だと表現されており、カテドラルの貴婦人と呼ばれています。
栄華を極めたカスティーリャ王国のゴシック様式のカテドラルです。私は他のヨーロッパ諸国をほとんど存じ上げませんが、スペインで各地のカテドラルに行くと、涙があふれ出ることが良くあります。カトリック教徒でもないのにおかしいのですが、厳かな、そしてその時代にこんな素晴らしい建造物を作っていた人々のすごさに感動するのかもしれません。

先にお話をした子豚の丸焼きもですが、スペイン各地には土地で愛され続けるおいしいお料理がたくさんあります。
私は甘党ですので、その土地のお菓子も必ずチェックします。
今後も時々ワインを離れて番外編的に旅やお料理をご紹介していきたいと考えています。もちろん、ここセゴビアにもその土地のお菓子があります。
その名もポンチョデセゴビア!なんともかわいい名前ですよね。マジパンを使うお菓子も多いスペイン。ぜひ、インターネットやハッシュタグで検索なさってみてくださいね。

実際に行かれないこんな時代だからこそ、歴史やロマンに思いを馳せて読書をするのもまた新しい発見があるのではないかと考えています。スペインを題材にした小説も数多くあります。スペインにこだわらず、アフターコロナにはここへ行くんだ!と目標を定めて下調べをしたり、ネット上の地図で旅をしたり。
自分だけの、楽しい旅を探してみてはいかがでしょうか?

〈プロフィール〉

都立高校卒業/東神開発株式会社へ入社、玉川高島屋S.Cにて受付業務/その後株式会社ミキインターナショナルにてイタリアンレストラン勤務をしながら、2回のスペインへ留学、スペインバル草分けの恵比寿Tio Danjo勤務/生花店勤/病院勤務(医療事務資格取得)/某メガバンクコールセンターSSV/製パン/日本初出店マヨルカ勤務を経て現在はホテル勤務とワインの仕事の二足の草鞋を履いております。てんぷら(スペイン語豆知識)

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