泉質でも変わる?!快眠旅のための温泉の選び方

はじめに

今年の夏休みはカグジョの皆様はどこかへ旅に出かけますか?久しぶりにゆっくり温泉にでも浸かりたい。そんな方もいるでしょう。アクティブに活動するのも楽しいけれど、ぐっすり眠って疲れを癒すのんびり&リフレッシュ快眠旅。そんなテーマで温泉を選ぶのもたまには良いかもしれません。そこで今回は、温泉と睡眠の関係のお話です。

温泉の睡眠に対する効果

家もお風呂。お風呂が目的で旅をする。ここまで毎日暖かいお湯に浸かる入浴が大好きな国は日本ぐらいかもしれません。
環境とその文化から見ても、多くの日本人にとって温泉は、清潔にすることが目的な風呂と言う事だけでなく、病気治癒やリラックス効果などの効能効果を含めてピッタリなツールです。もちろん、快眠効果も立証されています。

昔から、入浴すると、寝つきが良くなる・ぐっすり眠れるということは経験則的な面からも分かっていました。
例えば、単純泉などの泉質の温泉には効能に不眠症と記載があるものもあります。

秋田大学の研究では、「未入浴」「普通浴」「塩化物泉」「人口炭酸泉」で(40℃、22時から15分間、0時~7時の間睡眠)脳波や体温とアンケートで睡眠への効果を見たところ、

◇入浴により、深部体温は優位に上昇し、就寝時までに顕著に低下した。
⇒スムーズな入眠には深部体温の低下がカギ。つまり外からの刺激で眠りにつきやすい状態を作る(上げて下げる)ことが出来るのが入浴。

◇塩化物泉が、最も平均深部体温を高くした。

◇入浴群で、最初の睡眠周期でのデルタパワー/分量(睡眠の深さを測る指標)は有甥に増加した。
⇒ノンレム睡眠のうちδ波を示す深い睡眠が増加、つまり脳が休息できている状態。グッスリ感にもつながる深い眠りを摂れた。

◇デルタパワー/分量の最高値は、1位人口炭酸泉の入浴で記録。2位塩化物泉、3位普通浴、4位未入浴。

◇これらの睡眠の変化は、上昇した深部体温の大幅な低下(放熱)と関連していた。
⇒つまり、体内に籠った熱をしっかり放熱できるかどうかが、ぐっすり深く眠れるかのポイントの一つ。

◇塩化物泉では、入浴後に疲労感が強く出た。

これらの結果から、ぐっすり眠って疲労回復したかったら、入浴しないよりする方が効高いと言えます。温泉成分を含むとより効果的です。

この結果や他の研究結果も含め、注意すること、考えられること、私のオススメは、

◆温度には注意。42℃以上になると交感神経の働きがより強くなるため、興奮してしまう。結果、入眠時刻が遅くなることもある。また、熱すぎて短時間しか浸からない場合、表面温度のみの上昇で、深部体温はそれほど上がっていない場合もある。
夜の入浴は温めの長めが基本。

◆深部体温を上げるには、烏の行水ではダメで、温度にもよりますが5~20分ある程度の浸かる時間を確保する。

◆季節やその人の体質(冷え性だったり、血流良かったりなど)によって入浴時刻は検討の余地がある。早すぎて冷え切ってしまったりするのも勿体ないし、寝る直前では体温を下げきらず、中々入眠出来なかったりします。

◆水道水の普通浴と温泉浴で効果に差があったことから、たまには温泉成分と似たような成分を期待する入浴剤を使うのも良い。好みの香りなどのリラックス効果もプラスできる。

◆塩化物泉では体温上昇効率が強い反面、疲労感も出ていました。別の研究でも似たような結果が出ています。体温上昇と、冷めにくさ、疲労感が出にくい、という面から、高齢者や疲れを感じている人には、「炭酸泉」が最も睡眠に効果的と考えられます。

次に、いわゆる温泉・温泉療法の効果と睡眠について考えてみます。

温熱効果:すぐに温まって冷めにくい。

疼痛緩和効果:痛みを感じる閾値が上昇するため。循環が良くなり発痛物質(痛みを引き起こす物質)が除去されやすい。

筋・関節拘縮の改善:筋肉などの緊張が取れる。コリもほぐれやすくなる。

血行促進効果:①➁だけでなく、老廃物の除去や、修復が促進で疲労回復や傷なのど治りが進む。

免疫増強効果:熱刺激から回復しようと免疫細胞の働きが活性化する。

タンパク質修復:HSP70(ヒートショックプロテイン70)の上昇で修復が速まり、疲労回復後のリフレッシュや健康増進に期待できる。

水圧等による効果:圧によるマッサージ効果、浮腫み改善など。

成分による効果:代表的なものは、酸性泉による殺菌効果や、アルカリ性泉による美肌効果など。

温泉場の環境も含めた心のリラックス効果:家のお風呂でも良いが、非日常が作り出す空気は追加効果になる。

このように、水道水の入浴でも十分に得られる効果もあるけれど、温泉だとより効果が高かったり、その泉質特有で得られる効果もあります。上手に使い分け出来ると良いかもしれません。

では最後に参考資料として、温泉ランキングとその泉質と主な効能効果をご紹介します。

1位 熱海温泉
泉質:塩化物泉と硫黄塩泉が9割
効能:神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、関節のこわばり、うちみ、くじき、慢性消化器病、痔疾、冷え性、病後回復期、健康増進、きりきず、やけど、慢性皮膚病、虚弱児童、慢性婦人病、動脈硬化症、肥満症、糖尿病、痛風など

2位 別府温泉
泉質:約1300種ある!硫黄泉・塩化物泉・炭酸水素塩泉・含鉄泉・酸性泉など
効能:神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、関節のこわばり、うちみ、く
じき、慢性消化器病、痔疾、冷え性、病後回復期、疲労回復、健康増進、慢性皮膚病、動脈硬化症、きりきず、やけど、虚弱児童、慢性婦人病、糖尿病、高血圧症、など

3位 草津温泉
泉質:酸性泉、硫黄泉(硫化水素型)、含アルミニウム泉、硫酸塩泉、塩化物泉が主
効能:神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、関節の強張り、打ち身、挫き、慢性消化器病、痔疾、冷え性、病後回復、疲労回復、健康増進、慢性皮膚病、動脈硬化症、切り傷、火傷、虚弱児童、慢性婦人病、糖尿病・高血圧症など

ま、とにかく、精神的・身体的ストレス解消!ぐっすり眠れて最高のリフレッシュ&疲労回復。温泉は万病に効く!と言えるかもしれませんね。

まとめ

娯楽や感動を求めてアクティブに動く旅も良いけど、たまにはちょっと自分を癒す旅。ぐっすり眠って心と体に栄養を行きわたらせる。明日からまた頑張る!カグジョ世代はそんな旅の過ごし方もありかもしれません。

それでは、今夜も良い眠りを・・・☆

プロフィール

Sleep Performance Company (スリープ パフォーマンス カンパニー)
代表:小林 瑞穂 (こばやし みずほ)
薬剤師/睡眠改善インストラクター(H29年現在)薬科大学卒業後、営業職に従事。その後メンタル専門の薬剤師となり、延べ5万人以上の「眠りの悩み」に関わる。2011年独立。睡眠活用の専門家として、社会人が今よりもっと輝くための『ハイパフォーマンス睡眠法』や『生産性向上のためのセルフリーダーシップ睡眠研修』など、セミナーや講演、企業研修を実施。体感型ワークを多く取り入れた講座は、「すぐに実践できる」「スッキリ起きられるようになった」「仕事の効率化が計れた」「働き方改革に繋がった」など、好評を博している。
スリープ・パフォーマンス カンパニー https://sleep-perform.com/
快眠サロン水月~mizuki~   https://mizuki-kaimin.com/
新聞コラム連載・各種メディアでのコラム執筆や、TV出演等も行っている。
*著書:『できる大人の9割がやっている 得する睡眠法』(宝島社)

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