温かい気持ち

スレスフルな社会生活に果敢に立ち向かっている現代人は誰もがメゲたり、凹んだりします。その理由もメカニズムもさまざまです。 「エゴ・レジリエンス」とは、日々のストレスをうまく調整して元気な自分を維持する力、誰もが持っているパーソナリティの弾力的な力です。「エゴ・レジリエンス」を高めることで自我のバランスをとる力が強化され、メゲても凹んでも、すぐに立ち直ることができるのです。
エゴレジ研究所の小野寺と畑が、「エゴ・レジリエンス」関連のお役立ち情報を提供し、あなたの元気をサポートします。

あなたの周りに一緒にいると「温かい気持ち」になる人はいますか。最近あなたが人の温かさを感じたのはいつでしょう。私たちの感じる「温かい気持ち」は、身近な人々や日々の出来事に対する深い感謝と愛情の表れであり、その感情は日常生活の多くの美しい瞬間に密接に結びついています。そこで今回は、「温かい気持ち」についてのお話です。

温かさを感じる時の3つの感情

温かい気持ちは特に家族、友人、そして恋愛、仕事など、人間関係や達成感に強く結びついています。誰かに親切にされたときなどに、ぽっと心が温まることを表現する「温かい気持ち」。

「KNPコミュニケーションズ」の共同創設者ジョン・ネフィンジャーとマシュー・コフート両氏は、その著書『人の心は一瞬でつかめる』(あさひ出版)の中で、次のように述べています。(以下、一部を抜粋・編集)

「温かさ」という言葉は親近感や愛情を表すのによく使われます。こうした感覚を覚えたとき、本当に体温が上がったような気がするのは、万人共通の現象です。

研究によれば、世界中のどの言語も「温かい」という言葉は「愛情」を表すのに使われるのだそうです。これは、乳児期の親子の絆――両親の胸に抱かれたときの肌の温もり――から生じたものと思われます。
このように、「温かさ」と「愛情」は人々の心の中で分かちがたく結びついています。温かい飲み物を手にするだけで、人は普段よりも他人に優しく接するようになるという実験結果が出ているほどです。
その反対に、仲間からのけ者にされたときには、体がすーっと冷えていくような感覚を味わうことがあります。
相手が自分と同じような関心や不安を抱いていることがわかったとき、私たちはその人に「温かさ」を感じます。親近感を覚えるからです。
人に温かさを感じさせる感情は、主に「共感」、「親しみ」、「愛」の3つです。

1 共感

「共感を示す」とは、その人の身になって考えることです。これは必ずしも楽しいことだとは限りません。激しい怒りや悲しみ、失望、嫌悪感にとらわれている人を前にして、いつの間にかこちらまで同じような気持ちになってしまうのも、一種の共感だからです。しかし、多くの場合、共感は心のやすらぎをもたらし「自分は決して独りぼっちではない」と感じさせてくれます。
かつてビル・マーレイ(アメリカの俳優・映画監督・脚本家)はこう語っていました。
「誰かと痛みを分かち合い、相手の身になって考えるたびに、人はより人間らしくなれる」と。この言葉は、共感の必要性をうまく言い表わしています。

「情緒的共感」という言葉があります。誰かがあくびをするのを見ると、ついこっちまであくびをしてしまう、という類いのものです。
「笑う」「泣く」「歓声を上げる」といった一見自発的な行動も、こうした伝染力をもっています。また、二人の人間が話に熱中しているときに、無意識に互いの姿勢やジェスチャー、口調の真似をし始めることがありますが、これも共感の一種です。

これに対して「認知的共感」という言葉があります。「頭で理解しようとすること」によって生じる共感です。これは相手の視点に立って積極的に感情移入することを指します。
しかし、実際に背景や価値観の異なる人同士が、相手の目に映る世界がどのようなものかを想像するには、相当な努力が求められます。
同じ言語を話す人間同士ですら、職業や住んでいる地域が違うだけで、価値観は全く異なるのです。互いの背景が違えば違うほど、共感するには大きな努力が必要です。だからこそ共感し合えたときにはより大きな連帯感を感じるのです。

2 親しみ

人は何であれ、未知のものを恐れます。何度か出会いを重ね、害を及ぼすものではないことがわかって初めて、安心して相手に近づくことができるようになります。
見慣れない人やものに出会ったとき、たいていの人は、最初、防御態勢を取ろうとするものです。無害な相手であることがわかって初めて、その警戒心を解くのです。
反対に、なじみ深い物事は私たちをリラックスさせてくれます。
「親しみ」が好ましい感情を抱かせることを示す、象徴的な現象があります。
人は自分と似た人物に出会ったとき、親近感を覚え、自ずと惹きつけられるということが心理学で立証されています。似ている=見慣れている、と錯覚するからです。
「類は友を呼ぶ」ということわざの通り、この現象は非常に根深いものがあり、研究によれば、母親は自分と容姿が一番よく似た娘を可愛がる傾向があるそうです。「似ていること」は本質的に人と人を結びつける働きをもっているのです。

3 愛

誰かにあふれんばかりの温かい感情を抱いたとき、私たちはそれを「愛」と呼びます。しかし、「愛」という言葉がつくものの中には「温かさ」以外の要素を含んだものもあります。
「恋愛」「性愛」「愛着」――この三つは、一つひとつが全く別のホルモンを生成し、全く異なった感覚を生み出していると、研究者は言います。
とはいうものの、「恋愛」や「性愛」と「温かさ」は親戚のような関係で、恋愛対象として魅力的な人や、セックスアピールにあふれた人を見つけるだけで気分が良くなるものです。場合によっては実際に血流が増え、体温が上がったように感じるかもしれません。
しかし、私たちの言う「温かさ」の概念に最もふさわしいのは、もう一つの感覚、家族や親友などに対する「愛着」です。

そして、笑顔の力・・・

笑顔そのものにパワーがある

「温かさを感じさせる視覚要素」の中で、最優先すべきなのは「顔の表情」です。そして「温かさ」を生み出す方法として「笑顔」に勝るものはありません。笑顔は人類共通の行動に深く根差した、究極の非言語コミュニケーション手段です。

笑顔に関する文化規範はさまざまに異なるかもしれませんが、世界共通の表情であることは確かです。人の笑顔は「幸福」「魅力」「社交性」「成功」といったさまざまなプラス要素を物語っています。

さらに、笑顔には伝染力があります。誰かに微笑みかけられたとき、私たちは自分が笑顔を浮かべているときの感覚を思い出し、自然に微笑み返そうとします。こうした相互作用は全く無意識のうちに生じています。つまり、私たちは微笑みかけてくる人物に対して好感を抱く傾向があるのです。

「君が微笑めば、世界中が一緒に微笑む」――ルイ・アームストロングの歌に出てくるこの言葉は、ただの歌詞ではありません。実際に、私たちの脳は瞬時に他人の笑顔を察知し、幸せな気分をつくり出しているのです。

このように「温かい気持ち」は心に深い影響を与えます。「温かい気持ち」になる瞬間は、日常の忙しさの中での小さな休息や、人間関係の中での絆の深まりを感じさせるものだからです。

以上、エゴレジ研究所から日常生活の美しい瞬間に結びついている「温かい気持ち」についてご紹介しました。親友との長い会話の後の心が満たされる感覚や、困っている人を助けた後の心地よい感覚、家族からの愛情あふれる行動を受けたときの感謝、あるいは、自然の景色を見て心が和む瞬間などがあります。これらの「温かい気持ち」は、私たちの心に穏やかさと安心感をもたらし、日々のストレスや悩みを忘れさせてくれます。

エゴレジ研究所は,生涯発達心理学,パーソナリティ心理学,ポジティブ心理学の領域からの調査研究の成果を活かし,「エゴ・レジリエンス」をキー・コンセプトとして,いきいきと人生を楽しむことができる社会の実現に貢献することを目指しています。

あなたの元気のアドバイザー「エゴレジ研究所」
https://egoresilabo.com/

<プロフィール>

代表 小野寺敦子/ 心理学博士

目白大学 人間学部心理カウンセリング学科教授
・・・・同校 心理学研究科大学院修士課程教授
・・・・同校 心理学研究科博士後期課程教授
臨床発達心理士・三越伊勢丹アポセカリー顧問
NPO法人フレンズスクエア 代表理事

GM 畑 潮/心理学博士
GCDFキャリアカウンセラー
健康リズムカウンセラー

 

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