Withコロナ 年の初めの「正月病」

代表 小野寺敦子/ 心理学博士

目白大学 人間学部心理カウンセリング学科教授
同校 心理学研究科大学院修士課程
スレスフルな社会生活に果敢に立ち向かっている現代人は誰もがメゲたり、凹んだりします。その理由もメカニズムもさまざまです。 「エゴ・レジリエンス」とは、日々のストレスをうまく調整して元気な自分を維持する力、誰もが持っているパーソナリティの弾力的な力です。「エゴ・レジリエンス」を高めることで自我のバランスをとる力が強化され、メゲても凹んでも、すぐに立ち直ることができるのです。
エゴレジ研究所の小野寺と畑が、「エゴ・レジリエンス」関連のお役立ち情報を提供し、あなたの元気をサポートします。

GM 畑 潮/心理学博士

年が改まり、気分を一新して「頑張らなくては…」と思っているのに、どうにも体や心がなかなかついていかない…。年末年始の休み明け、「眠い」「だるくて疲れやすい」「やる気が出ない」「身体が重い」などの心身の不調のことを「正月病」と名付けたことが始まりとか。今回は、その正月病についてのお話です。

 正月病は誰にでもある!

「正月病」の症状は人によってさまざまで、やる気や集中力の低下、不安、倦怠感、食欲不振、胃もたれ、腹痛、不眠などがあります。これらは冬季うつ病にもつがなりやすい症状です。ウーマンウェルネス研究会が20代~50代の男女895人を対象に2016年にインターネットで実施した「連休明けに感じる体調変化の実態調査」結果では、年末年始・お盆休み・ゴールデンウィーク、シルバーウィークなど1年の連休の中で、最も体調変化を感じる時期はいつか尋ねたところ、54.2%が「年末年始」と回答しています。
正月病の症状について聞くと、最も多い回答は「だるい」(78.5%)だった。次いで、「疲れる」(59.9%)、「身体が重い」(57.2%)、「やる気がしない」(49.6%)、「眠い・眠さがとれない」(45.2%)と続いている。いずれの症状も約半数以上が感じていることがわかったようでうす。また、20~50代のマイナビニュース会員274名に年始休暇についての2019年のアンケートでも、年末年始連休後に仕事に行くのが憂鬱で、「体がだるい」などさまざまな症状が出る正月病について、心当たりがあると答えた人は81.1%もいました。
とりわけWithコロナで過ごした年末年始は、何をするにも制約があって、これまでのお正月以上に誰もがストレスの多い休みを経験されたのではないでしょうか。

正月病の3大要因

医学博士・健康アドバイザーの福田千晶先生によると、正月病の要因として、だらだら食いが多くなる「食生活の乱れ」、「生活リズムの乱れ」、就寝時間や起床時間が遅くなる「睡眠リズムの乱れ」といった3つの乱れが短期間で重なりやすいことが考えられるそうです。また、この時期は室内外の寒暖差が大きくなるために体力も消耗しやすいのです。
3大要因に加え、寒暖差の影響もあり、年末年始は気分の落ち込みや体調を崩しやすいと言われています。

心の正月病にも要注意

仕事が始まっても、やる気のない状態が続くのが心の「正月病」です。日照時間が短くなることでセロトニン【脳内の神経伝達物質のひとつで、ドパミン・ノルアドレナリンを制御し精神を安定させる働き】というホルモンの分泌が減少しやすいのです。さらに、年末年始の生活のリズムの乱れもあり、季節性のうつ症状が出やすくなります。
正月病の場合は、元の生活に戻って数日もすればほとんど回復します。そうした生活の変化が「ちょっとした疲れ」で済むのか、本格的なケアが必要になるのかは個人差があります。2週間ほど経っても症状が回復しない場合は、正月病ではなく季節性うつ病の可能性があるため、メンタルクリニックを受診するようにしましょう。

生活リズムを取り戻そう!

正月病対策として、ずれてしまった体内時計は、どのように再調整すればいいのでしょう。生活リズムを戻す方法としては、朝陽を浴びて、1日の体内リズムのスイッチをオンにすることが挙げられます。

●朝の食事と日光浴の習慣がリズムを作る
朝起きてすぐに日光を浴びることは、生活リズムの改善に重要な働きをします。 セロトニンの分泌にも日光を浴びることが欠かせません。起床後に日光を浴びることが、体内時計をリセットするスイッチとなり、 昼の活動モードに体が切り替わるため、効果的に生活リズムを改善することができます。
同時にしっかりと朝食をとることも体内時計のリセットには重要です。朝日を浴びることと朝食を食べることの2点をセットで行うことが、 生活リズムの改善には大いに役立ちます。

●夜にブルーライトを目に入れない
寝つけない、目覚めが悪い、昼間の眠気がひどい…。これらの理由のひとつに、夜のスマホ操作によるブルーライトの影響があげられます。ブルーライトは人の体内時計を狂わせます。ブルーライトが含まれている「太陽」の光を浴びていると、人の目は冴え、目覚めの時間と勘違いしてしまいます。夕食後はブルーライトをカットする眼鏡やサングラスをかけて、照明や電子機器のブルーライトを目に入れないようにしましょう。そうすることで、睡眠の質が維持され夜の時間帯に分泌されるべきホルモンが、体内できちんと産生されるようになります。

●外の明るい陽ざしを感じる
朝の散歩や日中の買い物、通勤時や昼休みにはなるべく外の明るい日差しを感じるようにします。1~2週間続ければ、かなり体調は戻ってくると思います。

●プラス適度な運動
明治薬科大学 リベラルアーツ 准教授 駒田陽子先生は、睡眠リズムの改善について「よい眠りのためには有酸素性運動、持久性運動が有効です。有酸素性運動をすることで体温調節機能が高まります。汗をかいて、少し息があがるようなジョギング、ウォーキング、水泳が効果的です。また、運動することでストレスが解消されたり、バランスのよい食事をきちんと摂れるようになったりと、いろいろな要素が健康的な体づくりに役立つでしょう」とアドバイスされています。

以上、エゴレジ研究所から正月病について、原因や対処法をご紹介しました。年の初めということで、ついつい張り切ってしまいがちですが、休み明けは小さな負担でできる仕事から取り組み、徐々にエンジンをかけていく気持ちで無理なく調子を戻していきましょう。
まずは身だしなみを整え、気持ちの良い、心のこもった挨拶で一年をスタートさせたいものです。今年もよろしくお願いします。

エゴレジ研究所は,生涯発達心理学,パーソナリティ心理学,ポジティブ心理学の領域からの調査研究の成果を活かし,「エゴ・レジリエンス」をキー・コンセプトとして,いきいきと人生を楽しむことができる社会の実現に貢献することを目指しています。

あなたの元気のアドバイザー「エゴレジ研究所」
https://egoresilabo.com/

<プロフィール>

代表 小野寺敦子/ 心理学博士
目白大学 人間学部心理カウンセリング学科教授
・・・・同校 心理学研究科大学院修士課程教授
・・・・同校 心理学研究科博士後期課程教授
臨床発達心理士・三越伊勢丹アポセカリー顧問
NPO法人フレンズスクエア 代表理事

GM 畑 潮/心理学博士
GCDFキャリアカウンセラー
健康リズムカウンセラー

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