あなたは柔軟性がありますか?

スレスフルな社会生活に果敢に立ち向かっている現代人は誰もがメゲたり、凹んだりします。その理由もメカニズムもさまざまです。 「エゴ・レジリエンス」とは、日々のストレスをうまく調整して元気な自分を維持する力、誰もが持っているパーソナリティの弾力的な力です。「エゴ・レジリエンス」を高めることで自我のバランスをとる力が強化され、メゲても凹んでも、すぐに立ち直ることができるのです。
エゴレジ研究所の小野寺と畑が、「エゴ・レジリエンス」関連のお役立ち情報を提供し、あなたの元気をサポートします。

人はどんなところで柔軟性のあるなしを意識するのでしょうか。日常生活の中でそれを意識することはあまりないかもしれません。しかし「柔軟性」ほど人間が生きていく上で大切なものはありません。仕事でもプライベートでも人間関係でも柔軟性は注目されています。そこで今回は、「柔軟性」についてのお話です。

柔軟性のある人

柔軟性は、日々変化する環境や、意見の異なる人に対して柔軟に臨機応変に対応する力で、社会人基礎力の中では、「意見の違いや立場の違いを理解する力」と定義されています。

社会人基礎力は、2006年に経済産業省が「職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力」として提唱したものです。

柔軟性のある人(あるいは柔軟性のある人になる)には、以下のような特徴(ポイント)があります。

1.先入観を持たない: 事前情報だけに頼らず、その場で得た情報や感覚を活用して対応すします。古くからの常識や一般的な思考パターンに縛られず、常に新しい視点で物事に取り組みます。
また、予想外のことが起こっても機転をきかせた対処ができたり、臨機応変に動けるなど、しなやかな身のこなしができます。

2.自分自身をオープンに保つ: 想定外の意見やアイデアに対して開かれた態度を持つことができます。他の意見を否定せず、どんな意見であっても受け入れてその事について話してみて、必要ならばその意見を取り入れます。自分の考えだけでなく他人の意見や価値観をしっかり聞き入れ、ものごとを良い方向に向かわせようとします。
一つの視点や考え方にとらわれず、多角的な観点から物事を捉えるので、多様性を受け入れることができます。

3.好奇心を持つ: 新しいことや多様な価値に興味を持ちます。それ故、新たな視点や知識を得るために様々な情報を積極的に収集します。例えば、自身の専門分野だけでなく、他の分野の情報も吸収し、自分の考え方や視点を広げる努力をします。

情報源 情報の種類
新聞・書籍 広範な知識、最新のトピック
SNS/ブログ 個々の考え方、体験
専門誌 専門的な知識、最新の研究
セミナー・ワークショップ 直接の学び、実践的なスキル

4.失敗を怖がらない: 失敗を試行錯誤(次につながる学び)と捉えることができます。失敗は成功への第一歩であり、そこから得る経験や教訓が新たな視点や思考の広がりを生み出すと考えているからです。

5.コミュニケーション能力が高い:適応力が高く、機転がきくので気配り上手です。その場を和ませたり、困っている人がいたら手助けしたりします。癖のある人でも上手く対応できます。視野を広く持つことの大切さを理解しているため、周囲とのコミュニケーションを大切にします。

じゃない人の傾向

では柔軟性がない人というのはどんな傾向があるのでしょうか。

■面倒くさがり
1つは、基本面倒くさがりということです。柔軟性のない人は自分へのメリットを一番に考え、興味のないことに関してや利益のないことに関して行動を移すことを面倒くさいと思ってしまう傾向があります。

■意見や変化を拒否しがち
2つ目は、他人の意見や変化を拒否しがちということです。柔軟性のない人は自分の意見を一番だと考え、人の意見をあまり聞き入れません。一度自分で決めたことはなにがなんでも貫き通そうとするため、周囲の人が変化に応じて行動しようとしても頑なに自分の考えを実行しようとしてしまいます。その結果、周囲の人や家族の人に迷惑をかけてしまうことも多くなってしまいます。

■人間関係が狭い
3つ目は、人間関係が狭いということです。面倒くさがりで、何に対しても自分は悪くないと思いがち、そういったところが裏目にでて関わりにくいという印象をもたれます。それで徐々に人は離れて行ってしまい、結果的に人間関係も狭くなるのです。

■頑固
4つ目は、頑固な一面があるということです。柔軟性のない人は自分が一番で、自分の意見を曲げず頑に意地を張り、押し通してしまう傾向があります。そのせいで周囲の人は関わりにくい、何を言っても無駄と察知してしまいます。そうすると、誰かがいいアイデアを持っていても教えてもらえない状況になってしまうかもしません。

■怒りっぽい
5つ目は、他人に対してすぐ怒りをぶつけてしまうところがあるということです。柔軟性のない人はいつでも自分は悪くない、相手がすべて悪いと思ってしまう心理があるため、すぐに相手に対して怒りの感情をぶつけてしまいます。そのため、「理不尽な人」と周囲に思われてしまい、敬遠されてしまうことも少なくありません。

児童書『なぜ僕らは働くのか』にみる柔軟性

2020年に発売された池上彰氏監修の『なぜ僕らは働くのか』は、今や定番のベストセラーになっています。中高生向けの児童書でありながら、大人の読者も多いようです。
特に、大人に反響があったのは、スタンフォード大学のクランボルツ教授が提唱された“Planned Happenstance Theoryプランドハップンスタンス(計画的偶発性)理論”について記述したページとのこと。
キャリアコンサルタントや人事系の仕事をしている人たちの間ではちょっと知られた理論なのですが、この本ではじめて知ったという大人の読者も多かったようです。

ここで紹介されているは、
「自分らしい素敵なキャリアを構築している人というのは、よい偶然を掴んでいることが多い。そして、よい偶然を掴める人、つまり仕事がうまくいく人には、5つの特長がある」ということで、その5つというのは『好奇心・持続性・柔軟性・楽観性・冒険心』で、ここでも柔軟性がとりあげられています。

好奇心:新しい学びの機会を模索する(Curiosity)
持続性:たとえ失敗しても努力し続ける(Persistence)
柔軟性:姿勢や状況を変えることを進んで取り入れる(Flexibility)
楽観性:新しい機会は実行でき達成できるものと考える(Optimism)
冒険心:結果がどうなる分からない場合でも行動することを恐れない(Risk-taking)

いろいろなことに好奇心を持ち、興味を強くそそられたことに対しては持続的に取り組む。ときには自分の意見も変えるような柔軟性を持つ。挑戦に対して不安になりすぎず楽観的に、思い切って冒険をしてみる。そんな人が自分のキャリアを好転させる偶然を掴めるという理論です。

現代は様々な出来事や変化が起きています。自然災害や世界規模の感染症などは、私たちにはコントロールすることができません。キャリアにおいても、「自分の適性が活かせるキャリアを考え目標を立てて仕事をしていたのに、自分の希望ではない部署への異動が決まってしまった」ということがあるのではないでしょうか。

計画通りでない出来事が起こったときに、「思い通りに行かなかった」と落ち込んで行動を止めてしまったり、「自分には無理だ」と避けてしまっていると、先に進むことはできなくなってしまいます。想定外の出来事が起こっても、それを「機会」だと捉え、積極的に行動をすることでキャリアの可能性が広がる、というのが「プランドハップンスタンス理論」で、柔軟な姿勢、柔軟な思考が求められていると言えるでしょう。

以上、エゴレジ研究所から柔軟性についてご紹介しました。柔軟性のある人は、新しい状況や変化に対して迅速に適応できる力を持っています。現代の社会は急速に変化し続けており、私たちが直面する様々な課題や問題も同様です。今、柔軟性が注目されている理由もそこにあると言えるでしょう。

エゴレジ研究所は,生涯発達心理学,パーソナリティ心理学,ポジティブ心理学の領域からの調査研究の成果を活かし,「エゴ・レジリエンス」をキー・コンセプトとして,いきいきと人生を楽しむことができる社会の実現に貢献することを目指しています。

 

 

あなたの元気のアドバイザー「エゴレジ研究所」
https://egoresilabo.com/

<プロフィール>

代表 小野寺敦子/ 心理学博士

目白大学 人間学部心理カウンセリング学科教授
・・・・同校 心理学研究科大学院修士課程教授
・・・・同校 心理学研究科博士後期課程教授
臨床発達心理士・三越伊勢丹アポセカリー顧問
NPO法人フレンズスクエア 代表理事

GM 畑 潮/心理学博士
GCDFキャリアカウンセラー
健康リズムカウンセラー

 

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