ストレスは耳にも影響!

代表 小野寺敦子/ 心理学博士

目白大学 人間学部心理カウンセリング学科教授
同校 心理学研究科大学院修士課程
スレスフルな社会生活に果敢に立ち向かっている現代人は誰もがメゲたり、凹んだりします。その理由もメカニズムもさまざまです。 「エゴ・レジリエンス」とは、日々のストレスをうまく調整して元気な自分を維持する力、誰もが持っているパーソナリティの弾力的な力です。「エゴ・レジリエンス」を高めることで自我のバランスをとる力が強化され、メゲても凹んでも、すぐに立ち直ることができるのです。
エゴレジ研究所の小野寺と畑が、「エゴ・レジリエンス」関連のお役立ち情報を提供し、あなたの元気をサポートします。

GM 畑 潮/心理学博士

「耳が痛い」「耳が詰まっている感じがする」などの症状がでた場合は、ストレスが原因かもしれません。ストレス下で突然起こることが多い耳の障害ですが、放置し改善を怠るとさらなる疾患や難聴の原因となることもあります。そこで今回は、ストレスと耳の病気についてのお話です。

3大要因=寝不足・疲れ・ストレス

耳の構造は複雑で機能も繊細なため、耳の病気の詳しい発生機序は分かっていませんが、JCHO東京新宿メディカルセンター耳鼻咽喉科の石井正則診療部長によれば、
「背景に寝不足、疲れ、ストレスがあるのは間違いない。これらが脳の自律神経の働きに影響を与え、発症に関わっていることが研究で明らかになってきた」ということです。

疲れやストレスを感じると、自律神経は戦闘モードの交感神経が優位に。常にストレスを感じているとリラックスモードの副交感神経への切り替えがうまくいかず、交感神経の緊張が続いてしまいます。それによって脳全体も興奮し、心臓の動悸が激しくなるなど臓器にも負荷をかけることになります。本来ならこれは異常な事態ですが、ストレスが日常化している人にとってはこの異常が当たり前として恒常性を保とうとします。「それを『アロスターシス』というが、いつかは体に無理がくるため、その状態が破綻する。突発性難聴、低音部型難聴、メニエール病も、アロスターシスの破綻によって引き起こされる」と石井診療部長は指摘されています。

また、難聴に伴う「耳鳴り」は、聞こえが悪くなったために、脳が聞こえの感度を上げることで生じる、いわば脳の過剰反応によって作りだされる音で「そのため、脳の興奮が続き、脳が疲れたときに耳鳴りも増悪しやすい」そうです。

ストレスの影響で発症する耳の病気

◆突発性難聴

突発性難聴は、これまで特に異常を感じなかった耳が急に聞こえなくなる病気です。主に50~60歳代の方に発症しやすい病気です。症状はその言葉通り、何の前触れもなく「突然」「急に」“片耳”が聞こえなくなる(難聴)のが特徴です。あまりにも急な変化のため、症状が現れた日時やシチュエーション(テレビを見ていた・電話をしていた)などを明確に記憶している人が多い病気とも言われています。
突発性難聴はその他に音がこもる、耳が詰まった感じがする、自分の声が響くなどの症状があります。
ほとんどの場合は片耳のみの発症ですが、まれに両耳ともに症状がみられる場合もあります。
投薬や安静にすることで治療となり聴力が戻ることもありますが、個人差は大きく完全に戻ったという方もいれば、聴力が以前の半分ぐらいになってしまったという方もいます。必要に応じて難聴の治療の他にカウンセリングを行なうことで、少しずつ改善されるという方もいます。突発性難聴は、発症一か月までの治療で回復が決まるという考えがあるくらい初期の処置が重要です。

◆低音難聴

低音難聴とは、正しくは「急性低音障害型感音難聴」というもので、内耳のリンパ液が急に過剰に溜まり、むくむことが原因で、音をうまく振動させることができなくなってしまった状態です。蝸牛は低音を感じる部分から影響を受けやすい構造になっているため、低い音が聞こえにくくなります。20代から30代の若い女性に多い難聴です。
耳にふたをされたような感覚とゴーっというような低い音の耳鳴り、低音が聞こえづらいという症状がメインとなり「音楽を聴いても聞こえない音がある」「男性の声が聞き取りづい」などの症状もあります。
こうした症状は、耳の中にある蝸牛周辺のリンパ管が異常なほど膨らんでしまい、通常よりも音波による震えが悪くなるので低い音が聞き取れなくなってしまうことで起こるのですが、外部から耳の内部の様子を正確に見ることが難しく症状が「突発性難聴」とよく似ているため、誤診されてしまうケースもあるのです。

◆メニエール病

メニエール病は、内耳にあるリンパ液が増えすぎることでさまざまな症状が起こる病気です。主な症状は、長く続くめまい(ぐるぐる回る・フワフワする)、吐き気・嘔吐、耳鳴り、難聴(片耳が多い)、耳の閉そく感(耳が詰まる感じ)です。
耳が痛いだけでなく、めまいが数十分~数時間続いたり、数日~数ヶ月間隔で繰り返したりする場合はメニエール病の可能性があります。放置すると聴力が低下してしまう危険性があります。

※突発性難聴、急性低音障害型感音難聴、メニエール病は症状がよく似ていますが、突発性難聴は1度しかなりません。急性低音障害型感音難聴とメニエール病は何度も繰り返すケースが多い疾患です。これら3つの疾患は、原因や症状が重なる部分があり、診断しながら治療方法を見極められます。

◆心因性難聴

心因性難聴は、耳の器官には何の異常も認められず、心の問題が原因で聞こえなくなってしまうという難聴です。
主に子どもが発症しやすいストレス性の難聴だといわれていて、学校でのいじめや核家族化による孤立、一人親家庭による孤独などを感じることなどがストレスとなり発症すると考えられています。
もちろん子どもだけがかかる病気というわけではなく、大人でも発症することは珍しくありません。大人の場合は失恋や親しい人の死、会社での問題などが原因となって起こるケースが多いといわれています。また、介護など常に付きまとう心配事や睡眠不足なども大きな要因となり、起こるケースも少なくありません。

「心因性難聴」の場合、その原因はストレスですので耳鼻科だけでなく心療内科や精神科に通って心のケアをすることが大切です。心の問題が改善されれば耳の機能に異常はありませんから、徐々に聞こえるようになってきます。

◆聴覚過敏

聴覚過敏とは、今まで気にならなかった音が異常に大きく聞こえたり、音が頭に響くように感じるなど、周囲の音に苦痛や不快感を感じる症状のこと。聴覚過敏は“あくまで音が気になる”という状態を指し、病名ではありません。
聴覚過敏は年齢や性別にかかわらず発症する可能性があります。さらに、人によってどのような種類の音に反応するのか、また辛いと感じる度合いも人それぞれだ。普段より音が気になることから、身体的・精神的に負担が大きく、日常生活に支障をきたすこともあります。
聴覚過敏は耳に関する症状ですが、原因は疲労やストレスなどさまざまで、中には重篤な病気の症状の一部として聴覚過敏を発症している場合もあります。そのため、聴覚過敏かもと思ったら自己判断で放っておかずに、すぐに医師に診てもらうことが大切です。

以上、エゴレジ研究所から、ストレスと耳の病気についてご紹介しました。耳の病気の改善には、適切な治療を受ける一方、心と体をリラックスに導くようにストレスを調節するなど生活習慣の改善が重要です。自律神経のバランスを心がけ、良質な睡眠や休養をとったり、ビタミンやミネラルをバランスよく取り入れるなど、食生活にも気をつけて、耳の健康を維持しましょう。

 

エゴレジ研究所は,生涯発達心理学,パーソナリティ心理学,ポジティブ心理学の領域からの調査研究の成果を活かし,「エゴ・レジリエンス」をキー・コンセプトとして,いきいきと人生を楽しむことができる社会の実現に貢献することを目指しています。

あなたの元気のアドバイザー「エゴレジ研究所」
https://egoresilabo.com/

<プロフィール>

代表 小野寺敦子/ 心理学博士
目白大学 人間学部心理カウンセリング学科教授
・・・・同校 心理学研究科大学院修士課程教授
・・・・同校 心理学研究科博士後期課程教授
臨床発達心理士・三越伊勢丹アポセカリー顧問
NPO法人フレンズスクエア 代表理事

GM 畑 潮/心理学博士
GCDFキャリアカウンセラー
健康リズムカウンセラー

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