第25回 「日本株が買われる理由」

先週の日本の株式市場は、お祭りムードのような雰囲気でした。日経平均株価は、2021年9月14日につけたバブル崩壊後の日中高値3万795円を更新して3万808円をつけ、1990年8月以来となる33年ぶりの水準を回復しました。TOPIXも同様の動きを見せています。

海外投資家による買い越しが要因です。

世界経済は、米シリコンバレー銀行破綻に端を発した金融不安が払しょくされておらず、欧米景気はリセッション(景気後退)入りが確実視されています。
欧米景気が絶好調で、日本企業が牽引されているならまだ分かりますが、足元の海外リセッション不安の中で、なぜ日本株が爆騰するのか?

まず、株価が上昇した理由は、ウォーレン・バフェット氏が追加投資を示唆したことで日本株への注目度が高まっています。
4月に生涯で二度目の来日をし、5大商社の保有株を引き上げたことが報じられ、他の外国人投資家たちも日本株を買い入れたためです。
バフェットは、日本企業の投資先を探していくと言っており、大物投資家たちが、日本を物色している状態です。

何故、日本株が買われているかというと、日本企業が株主目線に変わって来ているからです。

PBR(株価純資産倍率)株価が割安か割高かを判断する指標で、株価が「一株当たりの純資産」の何倍になっているかを示すものです。
HONDAだと0.55倍、日本郵政だと0.36倍。
日本は、1倍を超えていない企業が多いです。
日本企業は評価をされていないということです。
PBR1倍超えを目指しています。
東証は、PBR1倍割れの企業は収益性と成長性に問題があるとし、改善策を開示するように要請しました。

そんな中、大日本印刷は、創業150年の老舗企業ですが、アクティビスト ファンドのエリオット マネジメントが大日本印刷の大口株主となり、大口投資家の意見、東証の意向と「物言う株主」の複合要素が老舗企業を変えた結果、大日本印刷の株価が上がりました。
老舗企業の変化が世界中に伝わり、日本には、ベンチマークを上回る高いリターンがあるのではないかと判断されているそうです。

海外の投資家は、日本に何を期待しているのかですが、日本企業は、もっと社外取締役を増やす必要があること、女性取締役が少なく、多様な意見を取り入れて、経営を監視する体制が不十分だと思われています。
みずほの深刻なシステム障害や東芝の不正会計、米原発子会社で巨額の損失が発生したことで、社内の取締役が自己保身や勤めを果たさなかったからだと海外投資家は理解しているそうです。

23日、8営業日連続で値上がりしていた日経平均株価は、バブル期以来の最高値を更新しましたが、一転して、値下がりで取引を終えました。
東京株式市場は、取引開始直後から買い注文が集まり、一時、3万1352円まで値上がりして、33年ぶりの高値を3営業日連続で更新しました。
午後に入り、経済産業省の半導体に関する規制のニュースが伝わると、一転して売り注文があつまり、129円の値下がりで、取引を終えました。
市場関係者は「このところ日本株の上昇があまりにも早すぎたことから、いったんの利益を確定させるために売り注文が集まった」としています。

株であれ債券であれ、あらゆる金融資産の価値は、発行主体の成長性によって担保されます。発行主体=日本企業か日本という国が、将来どれだけのキャッシュを生み出すと見込めるかが、現在の資産価値を決めます。
ところが、現在の日本株の評価は必ずしも企業成長に裏付けされたものではありません。

株価上昇の要因は、

○東京証券取引所が上場企業に資本効率を意識した経営を要請したこと
○植田日銀が緩和継続姿勢を示していること
○インバウンド需要の回復期待が高まっていること
○賃上げ動向が31年ぶりの高水準となり、消費拡大・デフレ脱却の期待があること
○米著名投資家バフェット氏が日本株への追加投資を示唆したこと

日経平均株価3万円の回復は、ファンダメ ンタルズ(業績や財務状況、資本効率)によって達成したものではありません。 自社株買いや増配を行った企業の株は買 われていますが、こういった株主還元策は本来、手段でしかありません。 株主が日本企業に対して本当に期待しているのは中長期的な企業価値の向上です。それなしには、継続的な株価の上昇は見込みにくいでしょう。
と、専門家は言っています。

日本の企業業績と景気動向は、米国に大きく左右されます。その米経済が今、急激な利上げと金融不安に端を発した景気後退局面にさしかかっています。この悪条件を乗り越え、日本企業は収益力と成長力を発揮できる。そう投資家に確信させられなければ、今の日本買いと株高は続きません。
6月は、3月決算の上場企業の定時株主総会シーズンです。3万円を回復した日経平均の行方は、日本企業が収益力と成長力を中長期的に取り戻せるか次第です。6月の定時株主総会で、株主を失望させるような経営姿勢しか示せない企業が多ければ、海外投資家は日本買いから一転、日本売りに戻りかねません。
6月に注目しようと思います。

美容室勤務、百貨店勤務を経て独立し、通信業、保険業、海外積立等に携わり、現在は自身で暗号通貨やFX、gold、カジノ等様々なジャンルに投資をしています。

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

CAPTCHA


PAGE TOP