第24回 「アメリカの銀行破綻と日本への影響」

アメリカの銀行破綻について

最近の世界中の金融関係者、起業家、 スタートアップ従業員が注目するニュースは、銀行の破綻でしょう。
2016年以降、新興の暗号資産エコノミーへのサービス提供に注力してきたシルバーゲート銀行の持ち株会社シルバーゲート・キャピタルは3月9日、銀行業務を縮小すると発表しました。

3月10日、アメリカで16位の資産規模を誇るシリコンバレー銀行(SVB)が経営破綻し、連邦預金保険公社(FDIC)の管理下に置かれました。アメリカの銀行としては、2008年のリーマンショックで破綻したワシントン・ミューチュアルに次ぐ資産規模です。

そして、2日後の3月12日には、 影響が波及し、全米29位のシグネチャー・バンクも破綻しました。

アンドリーセン・ホロウィッツや ベインキャピタルなど有カファンドとも取引があり、 スタートアップエコシステムの中心に君臨してきたSVBですが、騒動が起きてから たった48時間というスピードで、あっけなく経営破綻に至ってしまいました。
シリコンバレーバンク破綻の背景には、テクノロジー産業の不振、金利上昇による債券投資の損失、逆イールドの進行による利ザヤの縮小があったと考えられます。

銀行が直面している問題とは

多くの銀行が直面している問題は、現実の景気循環の問題、そして、FRBの金利の引き締めです。これらの要因はまた、相互に関連しており、本質的には新型コロナウイルスが引き起こした混乱に行き着きます。

FRBの金利引き上げは、シルバーゲート銀行とシリコンバレー銀行をクラッシュさせた最も直接的なものであり、米国債の利回りが上昇すれば、ハイテクスタートアップや暗号資産などリスクの高いセクターへの新規投資は抑制されます。さらに金利の上昇は、銀行の安定性を脅かす、一見広く見過ごされている別の脅威をもたらします。

利回りの高い新規国債の発行は、金利上昇前の利回りの低い国債の市場価値を低下させます。

ほとんどの銀行は、法律で定められた担保として大量の国債を保有しており、シルバーゲート銀行やシリコンバレー銀行を襲ったものと同じリスクが、多くの銀行にもある程度当てはまります。これが銀行株、特に地方銀行や中堅銀行の株価が軒並み下落している理由のひとつです。

信用不安は米国内だけではなく、 ヨーロッパやアジアにまで波及しています。
クレディ・スイス・グループの株価が暴落しましたが、クレディ・スイスの経営危機は、3月14日、クレディ・スイスが内部統制に「重大な弱点」があったと発表しました。

昨年末から資産運用の失敗が明らかになったことも相まって、15日に同行の社債・株価が大幅下落しました。SVBの破綻も信用不安に拍車がかかり、翌16日、スイスの中央銀行が、約7兆円の緊急支援をすると発表しました。

今後も、銀行の危機が続くのかは分かりませんが、銀行の数済策が出てきたので、 一旦沈化するでしょうが、景気が後退すれば、企業の業績悪化で高リスクの金融商材が焦げつき、投資ファンドが危うくなる可能性があります。

金利が上昇すれば貸し出しの利ザヤが拡大するため、銀行の経営にはプラスです。米国でそれがマイナスに働いてしまった理由は、利上げが急過ぎたということです。

1年で5%近い金利上昇スピードでは、それを早期に融資金利に反映させるのは難しいです。結果として預金金利を上げられず、預金流出リスクも高まりました。

日本への影響は?

日本への影響ですが、それほど心配はいらないと思います。仮に日銀が利上げに向かうとしても、米国のような急激な利上げになるとは思えません。もちろん、金利上昇で債券の含み損が生じるのは日本の銀行も同じですが、含み損がある債券でも満期まで持つことができます。気軽に債券に資金を移す米国の預金者と異なり、日本人の多数が急に預金を引き出すことは考えにくいです。

日本でも、破綻時の預金保護には1000万円と利息までという上限があります。それならば、証券口座に入れて公社債投資信託でも買った方が、預金より安全だと言うこともできます。
投資信託であれば、預金とは異なり、預金保険による保護はありませんが、もともと持ち主のものなので、金融機関の破綻による直接的な影響は受けないようになっています。

やはり、自分の資産を万一の事態から守るというスタンスで考えると、「複数の金融機関と取引をする」「証券会社を利用する」などといった方法が無難かと思われます。

美容室勤務、百貨店勤務を経て独立し、通信業、保険業、海外積立等に携わり、現在は自身で暗号通貨やFX、gold、カジノ等様々なジャンルに投資をしています。

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