睡眠薬を服用する高齢者の夜間転倒の危険度

Sleep Performance Company (スリープ パフォーマンス カンパニー)
代表:小林 瑞穂 (こばやし みずほ)
研修講師/薬剤師/睡眠改善シニアインストラクター(日本睡眠改善協議会)埼玉県出身。薬科大学卒業後、営業職に従事。医療の現場で心を病む人が増加している現状を目の当たりにし、心理カウンセラー資格を取得。その後、睡眠問題を深く掘り下げるためメンタル専門の薬剤師となり、延べ5万人以上の「眠りの悩み」に関わる中で、睡眠は心と体を元気にし、目の前のあなたに笑顔をもたらす!と確信を得る。
日本にわずか10名ほどしか存在しない『睡眠改善シニア指導員資格』を取得(H29年3月現在)。睡眠活用の専門家として、社会人が今よりもっと輝くための『ハイパフォーマンス睡眠法』に関するセミナーや、講演活動、『生産性向上のためのセルフリーダーシップ睡眠研修』など、企業研修・安全大会講演を実施。体感型ワークを多く取り入れた講座は、「すぐに実践できる」「スッキリ起きられるようになった」「仕事の効率化が計れた」「働き方改革に繋がった」など、好評を博している。スリープ・パフォーマンス カンパニー https://sleep-perform.com/
快眠サロン水月~mizuki~    https://mizuki-kaimin.com/新聞連載・各種メディアでのコラム執筆や、TV出演等も行っている。
*著書:『できる大人の9割がやっている 得する睡眠法』(宝島社)

はじめ

カグジョ世代の皆さんの中には、既に高齢者介護真っ最中の人もいるかもしれません。私たち自身も、あと二、三十年後には介護される側でしょう。
高齢者の不眠や中途覚醒の問題は本人にとっても家族にとっても悩みどころ。
さらに、夜間のおトイレの際の転倒事故は、その後のQOLを考えても、極力避けたいことの一つです。

高齢者の夜間転倒と睡眠薬

私が普段薬剤師として仕事する中でも、高齢者さんへの睡眠薬服用時の注意点として、「ふらつき注意」は必ず上がります。薬の効果が出ている状態では、ボーッとしたりフラフラしたりする可能性が上がります。「お薬を飲んだらすぐに寝ましょう。」「夜中にトイレに起きた時はふらつくかもしれないから気を付けてください。」などの声掛けが必須です。

MSD株式会社が実施した調査では、次のような結果が出たそうです。

  • 1次調査のケアマネージヤー828人の回答では、在宅介護高齢者の25.8%が不眠症治療薬を服用している。
  • 2次調査のケアマネージャー500人の回答では、在宅介護高齢者が眠るために眠剤が必要だと思う67.4%、同居家族の負担を減らすのに必要である55.6%、薬に対して心配や不安を感じる・見直しを考えたほうが良い・中止できるよう取り組みたい76.0%
  • 不眠に関する相談報告があった在宅介護高齢者に見られる症状の内、夜間のふらつきや転倒の原因として、加齢による衰えが79.2%、睡眠薬の影響と考える77%

と、このような状況です。

現場で直接見ている人たちが、薬の影響による転倒が多いのでは?と考えているのです。
転倒して骨折してしまい、寝た切りへと進んでしまう場合も少なくないのです。

しっかり眠ってほしいけど、でも薬の影響はあると実感しているから何とかしたい。

これが現状ではないでしょうか。

残念ながら、コレだ!という決定的な解決策はありません。動ける動けないもその程度は人によって様々。周りの人から得られる助けも人によって様々。
ご本人も、ご家族も、介護サービス関連の方々も、できる範囲で心掛けて欲しいこと。

☆可能な範囲で、昼間の活動量を増やす。
☆動ける人は、体操や散歩など軽い運動を。
☆昼寝は適度に切り上げる。
☆社会との接触を絶たない。
☆できる範囲でできることは自分でやる。
☆小さな趣味でもなんでも良いから意欲を持てるものを探す。
☆危険性も考慮に入れて薬だけに頼る考えを止める。

まとめ

未来の人類がどうなっているか?はわかりませんが、今はまだ加齢とともに肉体が衰えていくのは生き物である以上仕方がない。でも、出来ればその衰えを加速させてしまう転倒事故は防ぎたいものです。もしも、睡眠薬や安定剤を服用する場合は、眠れないからと薬をちょうだい!とお願いし漫然と飲むのではなく、ご本人もご家族も背後潜む危険も知った上で、主治医と相談しながら上手に付き合っていってほしいと思います。

それでは、今夜も良い眠りを・・・☆

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