ウォーキングで心を整える「歩行瞑想」

スレスフルな社会生活に果敢に立ち向かっている現代人は誰もがメゲたり、凹んだりします。その理由もメカニズムもさまざまです。 「エゴ・レジリエンス」とは、日々のストレスをうまく調整して元気な自分を維持する力、誰もが持っているパーソナリティの弾力的な力です。「エゴ・レジリエンス」を高めることで自我のバランスをとる力が強化され、メゲても凹んでも、すぐに立ち直ることができるのです。
エゴレジ研究所の小野寺と畑が、「エゴ・レジリエンス」関連のお役立ち情報を提供し、あなたの元気をサポートします。

近年、瞑想はストレス解消の代名詞とも言われるほど注目されています。とはいえ、少々ハードルが高いと感じている方も多いのではないでしょうか。そんな方には、初心者にも実践しやすい動きのある瞑想(歩行瞑想)がお勧め。日常の行動がマインドフルネスとストレス軽減のためのツールになります。そこで今回は、歩行瞑想についてのお話です。

歩行瞑想(マインドフルネス・ウォーキング)

歩行瞑想は、歩行とマインドフルネス練習の集中力を組み合わせたものです。
座って行う一般的なマインドフルネスとは異なり、歩きながら心を整えるのが歩行瞑想。歩行瞑想には、体の細かい動きに意識を向けながら行うという特徴があります。
ゆっくりと歩きながら自分の身体の動作に意識を向けて集中する瞑想法です。日常でも行いやすく、集中力を養い、頭をクリアにしてくれる効果が期待できます。

この歩行瞑想は、禅語の「歩歩是道場(ほほこれどうじょう)」に由来していると考えられています。この言葉には「歩くという、私たちが日常的に当たり前のように行っている行為も立派な修行なので、一瞬一瞬にしっかりと集中しましょう」といったニュアンスが含まれています。

歩行瞑想は、Googleの社員研修プログラム「SIY」(Search Inside Yourself)にもその概念が用いられていることで話題になりました。

歩行瞑想は、自動的に行うもので、考えずに行い体と心を同期させることができます。歩行中に瞑想することで、現在の瞬間に集中し、周囲の状況に注意を払う機会が得られます。歩きながら行えるため、通勤や散歩や帰宅時など、日常のちょっとした活動時間を利用して気軽に取り入れられるのもポイントです。
いつでも、30秒でも30分でも練習することができます。歩行が人間の日常生活の一部であるという事実は、歩行瞑想を習慣にするのに役立ちます。

歩行瞑想のやり方

臨済宗建長寺派林香寺住職で、精神科・心療内科医、RESM新横浜睡眠・呼吸メディカルケアクリニック副院長でもある川野泰周さんが紹介されてる(家庭画報.com)実践法があります。(以下、川野さん)

【基本】足裏の感触に意識を向けてゆっくり歩く
基本は、家の中など安全な場所で、一歩ずつゆっくり歩きながら足の裏の感覚を丁寧に味わうことです。
背筋を伸ばして真っすぐ立ちます。素足で行うと足裏の感覚をより感じやすくなります。腕の動きや視覚に意識が分散しないよう、両手は振らず前か後ろで組み、視線は3~4メートル先の床に落として足もとは見ないようにします。

ゆっくり歩きだし、足裏が床に着いたり離れたりする感覚に意識を向け、足の動きを一つ一つ追うように感じていきます。
歩きながら、足裏の感触に細かく意識を向け、足の動きに合わせて(1)「かかとが上がる」(2)「つま先が上がる」(3)「移動する」(4)「床に着く」と心の中で言葉にしながら行うと注意が逸れにくくなります。
途中で向きを変えたり、同じところを回ってもよいので、5分でも30分でも好きなだけ続けてください。

普段は意識しない足裏の感覚に注意を注ぐことでアウェアネス(気づき)が向上し、ありのままを受け止めることでアクセプタンス(受容)が育まれます。この習慣が自己肯定感につながると考えられています。

古来より、歩く瞑想は禅寺で歩行禅として修行に取り入れられていました。坐禅の合間の休憩時間に集中を切らさないために歩きながら瞑想したのです。現在、臨済宗では歩行だけでなく禅堂の外を全力疾走しながら行うこともあります。

【応用】足の運びのリズムと呼吸を合わせる
買い物や通勤の途中、散歩など普通に歩くときやジョギングやランニングも瞑想の時間になります。

「吸いながら4歩、吐きながら4歩」と足の運びのリズムと呼吸を同期させることに注意を向けます。歩数は自由に設定してかまいません。
普段、音楽を聞きながら歩いたり走ったりしている人も、その間だけは消したほうが効果的です。

意識を呼吸と足の運びに集めると、心配事や悩みを頭の中でいったん切り離すことができるため、短い距離でも頭がすっきりし、新しい考えが浮かんだり道が開けたりするものです。
マラソン選手は、走行中に雑念が多いと脳が疲れて後半のペースに影響が出るといわれています。「走る瞑想」は、脳疲労を最小限に抑えるためにアスリートが使っているテクニックとも同じです。

歩行瞑想のメリット

歩行瞑想を行うことにより期待できる良い効果は、主に以下の4つが挙げられます。

1)ストレスを軽減してポジティブに

人は、無意識的に次々と湧いてくる思考により、不安や後悔で頭がいっぱいになってしまうときがあります。
歩行瞑想により「今この瞬間」に意識を集中させ、そういった雑念を取り払えば、ネガティブな考えにとらわれづらくなります。
また、有酸素運動を行うと「幸せホルモン」とも呼ばれるセロトニンが分泌され、精神的な落ち着きを得られると考えられます。

2)集中力が向上しパフォーマンス力アップ

雑念が少なくなり、頭をクリアな状態にすることができるので、集中力が向上して生産性の高い活動が可能になります。
仕事中や勉強中にどうしても集中力が続かないときは、歩行瞑想をしてリフレッシュすると良いかもしれません。

3)健康面の改善に期待できる

歩行瞑想には歩く行為が伴うため、ウォーキングによるシェイプアップ効果やストレッチ効果、運動不足の解消などが期待できます。
ウォーキングは生活習慣病の予防にも繋がると言われているので、良いこと尽くしです。

4)睡眠の質が上がる

瞑想を行うと「睡眠ホルモン」と呼ばれるメラトニンが生成されると言われています。
また、適度な有酸素運動を習慣的に行うことで寝つきが良くなり、深い睡眠を得られると判明しています。

瞑想は質を高めようと頑張ってやるものではありません。力を抜いて、リラックスして脳を休ませるのが瞑想です。肩に力が入っていたら、なかなか瞑想状態に入れません。
そもそも、現代人は大量の情報に触れていますから、脳は考えるクセがついてしまっています。それが原因で、最初のうちはうまく瞑想に入れなかったり、難しく感じたり、効果を実感できなかったりします。そこで諦めてしまうのではなく、あせらずマイペースで続けていきましょう。

以上、エゴレジ研究所から日常の行動がストレス軽減のためのツールになる歩行瞑想についてご紹介しました。瞑想のさまざまな効果は医学的に証明されています。誰でも手軽に行えるのが歩行瞑想。日常生活の中に取り入れて、習慣化することで継続しやすく、瞑想の効果をより実感できるでしょう。仕事が忙しくストレスフルな毎日に心がしぼんでしまっている人、何時間寝ても疲れが取れないなど体調に悩んでいる人は、ぜひ一度、試してみてください。

エゴレジ研究所は,生涯発達心理学,パーソナリティ心理学,ポジティブ心理学の領域からの調査研究の成果を活かし,「エゴ・レジリエンス」をキー・コンセプトとして,いきいきと人生を楽しむことができる社会の実現に貢献することを目指しています。

あなたの元気のアドバイザー「エゴレジ研究所」
https://egoresilabo.com/

<プロフィール>

代表 小野寺敦子/ 心理学博士

目白大学 人間学部心理カウンセリング学科教授
・・・・同校 心理学研究科大学院修士課程教授
・・・・同校 心理学研究科博士後期課程教授
臨床発達心理士・三越伊勢丹アポセカリー顧問
NPO法人フレンズスクエア 代表理事

GM 畑 潮/心理学博士
GCDFキャリアカウンセラー
健康リズムカウンセラー

 

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