加齢しても老化させない

スレスフルな社会生活に果敢に立ち向かっている現代人は誰もがメゲたり、凹んだりします。その理由もメカニズムもさまざまです。 「エゴ・レジリエンス」とは、日々のストレスをうまく調整して元気な自分を維持する力、誰もが持っているパーソナリティの弾力的な力です。「エゴ・レジリエンス」を高めることで自我のバランスをとる力が強化され、メゲても凹んでも、すぐに立ち直ることができるのです。
エゴレジ研究所の小野寺と畑が、「エゴ・レジリエンス」関連のお役立ち情報を提供し、あなたの元気をサポートします。

40歳を過ぎたあたりから、年齢を感じるシーンが徐々に増えていきます。「年だから仕方ない」・・・そう思っていませんか。果たして、老化は抗えないものなのでしょうか。そこで今回は、加齢と老化についてのお話です。

「加齢」と「老化」

「年を取れば、誰でも老化する」と考ええている人は多いのではないでしょうか。しかし、この二つは別々のものなのです。
「加齢」は誕生から、どれだけの時間が経ったかを示すもの。同じ年の同じ日に生まれた二人は、40年後、共に40歳になっています。
一方、「老化」とは、加齢に伴って起こる身体的・心理的な変化です。同年齢の人の中には、「老けたな」という印象の人もいれば、「若々しいな」という印象を与える人もいます。つまり、加齢は平等ですが、老化には個人差があるのです。
持って生まれたものも多少はありますが、双子のように遺伝要因が同じ二人でも、その後の生活習慣や環境によって、老化に大きな差が出ます。老化の原因にその謎が隠れているようです。

日本抗加齢学会理事である満尾クリニック院長 満尾 正先生によれば、老化の進行要因とその対策は以下の3つです。

1)活性酸素による酸化――人体は外部から取り込んだ糖質や脂質を酸素と反応させ、エネルギーを取り出しています。このとき発生する活性酸素が、細胞を構成する脂質などを傷つけ、「体のさび」が徐々に進行します。活性酸素を無害化する酵素も、加齢とともに減少します。
対策:食事の改善。喫煙や暴飲暴食など、体内の活性酸素を増やす習慣を改める。
抗酸化物質や、SODの材料となるタンパク質や亜鉛を含む食材を意識してとること、喫煙や暴飲暴食、激しすぎる運動を避けることなどで抑制できます。

SOD(スーパーオキシドディスムターゼ)は。活性酸素を分解する酵素です。
活性酸素は、紫外線、排気ガス、化学物質、食品添加物、酸化した油脂、さらにはストレスなどによって増加すると言われ、ヒトは活性酸素が蓄積しやすい環境で生活していますが、その中でSODはせっせと活性酸素を分解し続けているのです。活性酸素は、「酸化ストレス」という言葉で表されることもありますが、この酸化ストレスをSODは抑制している、という言い方もできます。

2)タンパク質の糖化――生きるために必要なエネルギー源である糖が、体を構成する主成分であるタンパク質をが変化させます。その結果、細胞や酵素などの働きが悪くなり、体の機能低下につながります。
対策糖質をとりすぎない。早食いは避ける。AGEsの摂取を控える。
タレを付けて焼いた肉の焦げ目など糖とタンパク質が高温で結びついてできるAGEs(最終糖化産物)の摂取を控えること、体の満腹サインを受け取れるようゆっくり食事すること、の3点を心がけてください。

AGEsは、食事でとりすぎた糖質が体内のタンパク質と結びつき、体温で熱せられることで生成される「老化促進物質」です。AGEsは、体内の細胞を劣化させ、がんや糖尿病、動脈硬化、アルツハイマー病、心疾患、呼吸器疾患、脳卒中、骨粗しょう症、白内障などの病気を引き起こします。また、シミやシワ、たるみ、くすみ(黄ばみ)、白髪、脱毛などを引き起こします。AGEsによる体への悪影響を「糖化ストレス」といいます。

3)ホルモン分泌の変化――若さを保ち、免疫力を維持するDHEA、筋肉量や筋力の維持に関わる男性ホルモン(女性の体内にもあります)、睡眠に関係するホルモン(メラトニン、セロトニン)の分泌が、ストレスなどが原因で下がり気味になり、さまざまな不具合が生じます。
対策:ストレスを極力避ける。できれば11時前には寝る。睡眠時間は7時間がベスト。
人の脳や体は、眠っている間にホルモンの力でメンテナンスされるしくみになっています。遅くとも夜12時前、できれば11時前には床につくことが望ましいでしょう。ストレス対策は暴飲暴食ではなく、適度な運動や笑いがお勧め。笑いはナチュラルキラー細胞を活性化させてガン細胞をやっつける効果もあるので、意識的に笑う機会を増やしましょう。

最新研究が示す抗老化

「若返りや老化防止を期待できる」として、NMN(ニコチン・アミド・モノヌクレオチド)という成分が注目されています。NMNは血管の弾性を若い頃と同じように保つといった働きがあるなど、老化に伴う組織や臓器の機能低下、それから、老化に伴って起こる病気を改善させる効果も、世界各国の非常に多くの研究機関の論文で証明されています。

このNMNと切り離せないのがNAD(ニコチン・アミド・アデニンジヌクレオチド)と呼ばれる物質です。NMNは、エネルギー産生や老化予防と関わりの深い体内物質NADを増加させます。NADは生命維持や老化予防に欠かせない成分です。

哺乳類の老化・寿命のメカニズムの研究と抗老化方法の確立を目指す、ワシントン大学医学部の今井眞一郎教授は、NADを高めて老化を遅らせるために、40~50代の人が今すぐ始めたほうがいいことを紹介されています(日経Gooday)。

◆「運動」で老化制御に欠かせないNADを増やす

運動が老化を遅らせることは、複数の研究で科学的にも証明されている間違いのない事実です。

激しい運動をする必要はなく、ウオーキング、ジョギング、自転車こぎ、水泳などの軽~中程度の有酸素運動、筋トレが効果的です。

運動をすると筋肉中のNAMPT(ニコチンアミド・ホスホリボシルトランスフェラーゼ)の量が上昇して、エネルギーの産生とサーチュイン(老化や寿命をコントロールする酵素)の活性化に不可欠なNADの量が増えます。NAMPTというのは、体の中でNADを合成するために必要な酵素です。
普段からエレベーターやエスカレーターではなく階段を使うなど、日常生活の中で意識的に体を動かすことも大切です。

◆「朝食」を食べて生体リズムを整える

NADを増やすために重要なのが、生体リズムを整えることです。私たちの体の中のNADの量は、サーカディアンリズムと呼ばれる生体リズムに従って増えたり減ったりしています。人間は昼にNADの量が増え、夜には減るようになっています。NADはエネルギーを生み出すうえで必須の物質なので、活動期に増えるようになっているのです。NADの値を昼間にしっかり高めてサーチュインを活性化させるためには、人間が本来持っている生体リズムを保ち、午前中にNADをしっかり増やすことが大切なのです。

そのために有効なのが、1日の始まりのエネルギー源となる朝食を最もカロリーの高い食事にすることです。昼は普通に食べ、夜は軽く、20時以降は何も食べない。血糖値が下がるのには食後4時間くらいかかるので、ベッドに入るときには血糖値が下がっている状態にすることが大切です。

また、ブルーライトは生体リズムを乱しますので、就寝前にスマートフォンなどデジタル機器を使わないようにしてください。

◆少し「小太り」くらいがベター

ダイエット志向の強い日本の女性に知っておいていただきたいのは、BMIが20未満になるようなダイエットは危険だということです。BMI20未満の人は特に高齢になると肺炎や感染症、心臓病などでの死亡率が上がります。日本人を対象にした疫学調査では最も死亡率が低いBMIは女性が23.0~24.9、男性25.0~26.9で、ちょっと小太りの人のほうが長生きできる可能性が高いのです。

BMIが30を超えるような太り過ぎはメタボリックシンドロームのリスクを上げるので良くありませんが、臨床医の間では、少し小太りの人のほうが手術後の合併症の発症リスクが低く、透析での予後が良好であるなど、ある程度脂肪があったほうがいいのはよく知られた事実です。

さらに、私たちの研究で分かってきたのは、脂肪から分泌されNADの合成に欠かせないeNAMPT(細胞外に分泌されるNAMPT)という酵素が、脳の視床下部という老化のコントロールセンターの機能を支える重要な役割を果たしているということです。脂肪の組織から老化・寿命のコントロールセンターである視床下部に非常に重要な酵素が送り込まれているわけですから、老化を遅らせるためには、ある程度、最適な量の脂肪を蓄えておくことが必要なのです。

以上、エゴレジ研究所から加齢と老化についてご紹介しました。老化を遅らせるには加齢によって減少するNADを増やすことがカギになることは間違いありません。まずは酸化ストレスになることを止めてみることを優先してみましょう。

エゴレジ研究所は,生涯発達心理学,パーソナリティ心理学,ポジティブ心理学の領域からの調査研究の成果を活かし,「エゴ・レジリエンス」をキー・コンセプトとして,いきいきと人生を楽しむことができる社会の実現に貢献することを目指しています。

 

 

あなたの元気のアドバイザー「エゴレジ研究所」
https://egoresilabo.com/

<プロフィール>

代表 小野寺敦子/ 心理学博士

目白大学 人間学部心理カウンセリング学科教授
・・・・同校 心理学研究科大学院修士課程教授
・・・・同校 心理学研究科博士後期課程教授
臨床発達心理士・三越伊勢丹アポセカリー顧問
NPO法人フレンズスクエア 代表理事

GM 畑 潮/心理学博士
GCDFキャリアカウンセラー
健康リズムカウンセラー

 

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