感情と花の関係

スレスフルな社会生活に果敢に立ち向かっている現代人は誰もがメゲたり、凹んだりします。その理由もメカニズムもさまざまです。 「エゴ・レジリエンス」とは、日々のストレスをうまく調整して元気な自分を維持する力、誰もが持っているパーソナリティの弾力的な力です。「エゴ・レジリエンス」を高めることで自我のバランスをとる力が強化され、メゲても凹んでも、すぐに立ち直ることができるのです。
エゴレジ研究所の小野寺と畑が、「エゴ・レジリエンス」関連のお役立ち情報を提供し、あなたの元気をサポートします。

春は一年で一番植物たちが元気な季節。冬の間眠っていた木々が目覚め、草花が次々とつぼみをほころばせます。花をもらうと幸せな気持ちになったり、家の中に花があると気分が明るくなったりしませんか。花は私たちの気持ちを豊かにしてくれだけではなく、花は人間の精神面や健康、そして脳にも様々なよい影響を与えてくれます。家庭で過ごす時間が増え、生活に彩りを添えてくれる花に注目が高まっています。そこで今回は、花のもたらすポジティブな効果に注目してみました。

感情と花の研究

■心理学者ジャネット・ハヴィルランド・ジョーンズ教授(ラトガーズ・ニュージャージー州立大学)による感情と花に関する興味深い実験(2005)があります。

キャンドル、籠入りフルーツ、花束という3種類のギフトを147名の女性に贈り、受け取った人たちの表情を分析するというものです。

ギフトを届けた配達人は、実は教授が雇った観測者で、その表情を観察・分析したところ、花束を受け取った瞬間のみ女性たち全員が「真の喜びの証」であるホンモノ笑顔(デュシェンヌ・スマイル笑顔)を見せたのだそうです。

幸福感や喜びというのは個々で異なる感情なので、多様な感情がある中で同じ感情を導き出すのは無理に近いとされていたので、全員が同じ反応をしたことは驚きの結果だったそうです。

ジャネット・ハビランド・ジョーンズ教授は、
花は人々から肯定的な感情や反応を引き出すために進化したもので、人を笑顔にするだけでなく、友人や同僚、愛する人との関係性のあり方にも関わる強い力を持つ可能性を秘めている」とされています。

■アメリカのラトガーズ大学では、エレベーターに乗る人々に無作為に花を渡すという実験を行いました。
その結果、花をもらった女性からはデュシェンヌ・スマイル(本物の笑顔)が引き出され、三日後も肯定的な気持ちを持っていたことがわかりました。
しかも、花をもらって気分が良くなるのは女性だけではありません。男性も花をもらうと肯定的な感情や反応が出てきたことが報告されています。

花のもたらす効果

■農研機構は筑波大学等と共同で、花の観賞による癒し効果を心理的、生理的、脳科学的データによって示しています(2020)。

実験参加者に不快な画像を見せて心的ストレスを負荷し、その後、花の画像を見せたところ、不快な画像によって生じたネガティブな情動(恐怖や嫌悪感)が減少してポジティブに転じました。さらに、上昇していた血圧は3.4%低下し、その低下幅は花以外の画像を見せた時に比べて有意に大きなものでした。
また、ストレスによって上昇するホルモンの値は花の画像によって21%低下することが確認されました。

さらに実験参加者の脳活動を解析した結果から、花の画像を見ることによって情動の生起に関わる脳領域(扁桃体)の活動が抑制されることが明らかになりました。
実験参加者は「花」という刺激に惹きつけられることで、ストレス源であった不快画像から注意が逸れたと推察され、その結果、ネガティブな情動を生起させていた扁桃体領域の活動が減少し、身体に生じていたストレス反応も緩和したと考えられています。

■国立大学法人千葉大学環境健康フィールド科学センター自然セラピープロジェクト(宮崎良文教授)は、バラ生花の視覚刺激がもたらす効果について、2011年10月にオフィスワーカー、医療従事者、高齢者、高校生を対象として、主観指標(気分プロフィール検査)と生理指標(指尖加速度脈波による心拍変動性、脈拍数)を用いて調べました。

【花のある部屋と花のない部屋】

生花がもたらす心理的効果を測定したところ、花の無い部屋に比べて花のある部屋では

「活気」の気分プロフィールが大幅に増加し、「混乱」、「疲労」、「緊張・不安」、「抑うつ」、「怒り・敵意」が低下することが明らかとなりました。

また、心拍変動性を用いてバラ生花がもたらす生理的効果を測定したところ、花のある部屋では交感神経活動が25%低下し、逆に副交感神経活動が29%上昇することが認められました。交感神経活動の低下はストレス状態の緩和を、副交感神経活動の上昇はリラックス状態の亢進を意味しており、生花がもたらす生理的リラックス効果を医学的に証明できることが明らかになりました。

気軽に花のある暮らしを始めよう!

長引くコロナ禍で、グーグルでは「花のデリバリー」のキーワード検索が倍増し、ピンタレストでは「フラワーボックス」の検索が増加していると報告しています。

花のある暮らしで期待できるのは、癒し効果、リラックス効果、ストレス緩和など。生の花が持つ「生きたエネルギー」にこそ、浄化作用やリフレッシュ効果は期待できるということです。

花のある暮らしの第一歩は、気に入った観葉植物だってかまいませんが、誰でも簡単に始められる一輪挿しがおすすめです。
花がたくさんあるとお手入れが負担に感じてしまいますので、まずは1本の花を大切に扱い、長く楽しむということから始めるといいでしょう。
一輪挿しでも花の種類を変えるだけで全く雰囲気が変わりますし、複数並べれば存在感もアップします。

また花を生けるのに気になるのが花瓶ですが、十分な量の水が入り、水漏れしない容器であれば、どのようなものでも花瓶の代用品として使えます。

最近ではナチュラルでシンプルな雰囲気も人気があるため、あえて花瓶ではないものを使用するのがかえっておしゃれに見えることも…。特によく花瓶の代わりに使われるのが、グラスや空き瓶です。日常で使うジャムの瓶やワインの空き瓶、カフェのテイクアウトで利用したカップなどがおすすめです。

カジュアルというよりはエレガントな雰囲気が好みという方に、おすすめなのが、ポットやティーカップに花を生けるというテクニック。優雅な雰囲気のあるポットやティーカップに、華やかなお花がマッチします。特に、デザイン性のある形と華やかな装飾が施されたタイプのポットやティーカップを使用すると、花を飾ったときによりエレガントな雰囲気になります。

お金をかけなくても家にあるものでおしゃれに飾れるなら、かなりハードルが下がりませんか。ぜひお家にある花瓶代わりになりそうなものを探してみましょう。

ぜひ気軽に、いろいろな花を生けて飾ることを試してみてください。飾っていくうちに、自分なりのおしゃれな飾り方をきっと発見できます。

以上、エゴレジ研究所から、花のもたらすポジティブな効果についてご紹介しました。道端に咲いているお花を見て、ふっと肩の力が抜けたり、思わず写真や動画を撮ったり、どこからか香る花の香りに足を止めたりしたことはありませんか。花を身近に感じられると、毎日の生活をより豊かなものにすることができるはずです。花があるだけで、その空間が華やかになり、心が豊かになります。一人暮らしの方も、家族で暮らしている方も、今日から花のある暮らしを始めてみませんか?

 

 

エゴレジ研究所は,生涯発達心理学,パーソナリティ心理学,ポジティブ心理学の領域からの調査研究の成果を活かし,「エゴ・レジリエンス」をキー・コンセプトとして,いきいきと人生を楽しむことができる社会の実現に貢献することを目指しています。

あなたの元気のアドバイザー「エゴレジ研究所」
https://egoresilabo.com/

<プロフィール>

代表 小野寺敦子/ 心理学博士

目白大学 人間学部心理カウンセリング学科教授
・・・・同校 心理学研究科大学院修士課程教授
・・・・同校 心理学研究科博士後期課程教授
臨床発達心理士・三越伊勢丹アポセカリー顧問
NPO法人フレンズスクエア 代表理事

GM 畑 潮/心理学博士
GCDFキャリアカウンセラー
健康リズムカウンセラー

 

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