自分の持っているリソースを確認しよう!

スレスフルな社会生活に果敢に立ち向かっている現代人は誰もがメゲたり、凹んだりします。その理由もメカニズムもさまざまです。 「エゴ・レジリエンス」とは、日々のストレスをうまく調整して元気な自分を維持する力、誰もが持っているパーソナリティの弾力的な力です。「エゴ・レジリエンス」を高めることで自我のバランスをとる力が強化され、メゲても凹んでも、すぐに立ち直ることができるのです。
エゴレジ研究所の小野寺と畑が、「エゴ・レジリエンス」関連のお役立ち情報を提供し、あなたの元気をサポートします。

さまざまな不測の事態の中にあって、自分自身の力によって、冷静に、柔軟に対応ができるという効力感が「自己対応能力」で、周囲の人を頼りにして事態を乗り越えることができるという効力感が「対資源活用力」です。そこで今回は、誰もがもっているリソース(資源)についてのお話です。

自己認識ができる人はわずか15%

組織心理学者のターシャ・ユーリックは著書『Insight(洞察力)』英治出版 (2019)で、多くの人が習得していると思っているのに、実は習得できていない「自己認識」について書いています。ユーリックは自己認識を大幅に高めた人々を分析し、数百件もの先行研究を調べ、なぜ人にはこれほど大きな盲点があるのか、それを変えるためにはどうしたらよいのかを説明しています。

ユーリックが行った調査では、95%の人が自分は自己認識ができていると思っているものの、本当に自己認識ができているのはわずか10~15%であることが明らかになりました。その理由は3つあると言います。
第1は、誰もが持っている「盲点」。私たちは自動操縦モードで動いており、自分の振舞いやその理由をよく理解していないこと。
第2は、「自己肯定願望」。自分を肯定すると幸せな気分になれること。
第3は、「自己崇拝」。ソーシャルメディアが爆発的に広まる中、人々は自分のことばかりに夢中になっていること。
ユーリックは、自己認識を獲得するには内面的と外面的の2種類の自己認識に取り組む必要があると述べています。
内面的自己認識とは「自分の価値観、情熱、願望についての内省的な理解」で、外面的自己認識は「外側から自分自身を理解すること、つまり他人があなたをどう見ているかを知ること」だと。意外なことに、外面的自己認識ができている人が必ずしも内面的自己認識ができているとは限らず、両者には関係がないことが調査の結果分かったそうです。

というわけで、自分の中に眠っているリソースに手っ取り早く気づける方法があります。ちょっとした実験です。信頼のおける、親しいお友達に紙を渡して「わたしの良いところを、5個以上教えて。ここに書いて」と頼むのです。一緒に自分でも書いてください。
お友達が書いてくれた紙を受け取ったら、自分が書いたものと比べてみましょう。 驚くほど……一致していないはずです。なぜでしょう。自分でわかっている自分の姿というのは、実はそんなに多くないからです。

現状のリソース棚卸し

さぁ、あなたはどんなリソース(資源)を持っているでしょうか。自分の持っているリソースとは、自分が必要なときに引き出せる資源のことです。「自分の持っているリソース」というのはあまり聞きなれないかもしれませんが、カウンセリングや心理療法などの世界ではとても重要な考え方なのです。

自分の持っているリソースには、

・自分の長所
・自分の強みや魅力
・自分の得意なこと
・比較的人より優れている能力
・自分を応援してくれる人
・自分の味方や友人
・経験値
・仕事に活かされる能力
・人のために活かされる能力
・金銭的財産や物質的財産
・健康や健康的マインド
・人脈
・信頼関係
・時間

などが挙げられるでしょう。
「自分には何も無い…」と思っている方も、気づいていないだけで誰にも探せば見つかるものです。まずは、リソースの棚卸の前提として以下のことを了解してください。
✔「できていること」は大きな財産
✔「持っているスキル」も大きな財産
✔「助けてくれる人」も大きな財産
✔「成功経験」も大きな財産
✔「失敗経験」も大きな財産

それから「できていること」や「持ってるもの」を洗い出してみましょう。

◆無いものでなく、あるものに目を向けていく

目の前に立ちはだかる課題に対して自分には何もできないと途方くれていると、「これもできない、あれもできない、あれもない、これもない」と自分に無いものばかりに目が行き、ますます気持ちは暗くなっていきます。そんな時には視点を変えて、自分の持っている資源=リソースを確認することが大切です。
何も持っていないように思えても、改めて確認してみれば人は多くの使えるリソースを持っているのです。

◆乗り越えてきた過去の経験

リソースの一つに過去の経験があります。たとえば以前の外部環境の変化に大きな影響を受けた時に、どんなことをやって、どう乗り越えてきたか、何か効果はあったか、などを思い出し確認することです。過去の経験の中には現在の課題に対処するための多くの知恵があるのです。
更には乗り越えてきた多くの困難や課題を改めて考えることで、「あの時はもう駄目だと思ったけれど、結局なんとか乗り越えてきた」と自信を取り戻すことができます。そして今、目の前にある壁も必ず乗り越えられるという効力感を引き出すのです。

◆自分の強みに気づく

自分の強みも大きなリソースです。強みを把握しそれを活用すれば事態の打開を図ることも可能です。では強みはどう把握するのでしょうか。自分の強みがよくわからない時は、強みでなく「違い」に注目することです。他者と自分の違いに目を向けるのです。一見、弱みにも見える他者との「違い」が実は強みでもあることに気がつきます。
例えば小心者で些細なことにも不安になってしまう人は、細部に目が行き届く慎重さが強みです。弱みと強みはいつも表裏一体なのです。

強みに似ていますが、自分が持っているものも有効なリソースになります。 個人のもっているスキルや知識、能力、健康、使える時間や資金などです。
不測の事態や逆境にあると、どうしても無いもの尽くしのように感じてしまいますが、よく見ていけば、自分が持っているものは案外多いものです。

◆人のネットワーク

周りの人も大きなリソースになります。自分を手伝ってくれる人、アドバイスや知恵を授けてくれる人、精神的な支えになってくれる人など冷静に周りを見渡してみれば、多くの人が自分をサポートしてくれる可能性があります。誰か一人がすべてをサポートしてくれなくても、部分的にリソースとなってくれる人はいるものです。
自分が尊敬する人や歴史上の偉人もリソースになりえます。あの人だったらどうするだろうと想像をめぐらすことで、自分に行動のエネルギーとヒントをくれるのです。
自分をサポートしてくれるネットワークを確認することで、自分は決して一人ではないと思えます。そして課題に立ち向かう勇気が湧いてきます。

いかがでしょう。リソースはたくさんあります。自分のリソースがわかれば、困った状況や不測の事態にネガティブなことばかりに目が行っている状態から、前向きに気持ちが切り替わり、視野が広がって課題に立ち向かう勇気や知恵が出てきます。そして、それらを有効に用いることで次に進んで行けます。

以上、エゴレジ研究所から誰もがもっているリソースについてご紹介しました。私たちのリソースは、知識、経験、人々とのつながり、そして内なる信念などさまざまな要素から成り立っています。リソースを最大限に活用することで、物事が進み、創造力が発揮されます。リソースに制約がある場合でも、新しい発想が生まれることがあります。リソースが少ない状況でも、制約の中で考えることで新しいアイデアが浮かぶことがあります。自分の持っているリソースを柔軟に活用することで、不測の事態や逆境に立ち向かい、成長することができます。そして、何より折れない心を育てることもできるのです。

 

エゴレジ研究所は,生涯発達心理学,パーソナリティ心理学,ポジティブ心理学の領域からの調査研究の成果を活かし,「エゴ・レジリエンス」をキー・コンセプトとして,いきいきと人生を楽しむことができる社会の実現に貢献することを目指しています。

 

 

あなたの元気のアドバイザー「エゴレジ研究所」
https://egoresilabo.com/

<プロフィール>

代表 小野寺敦子/ 心理学博士

目白大学 人間学部心理カウンセリング学科教授
・・・・同校 心理学研究科大学院修士課程教授
・・・・同校 心理学研究科博士後期課程教授
臨床発達心理士・三越伊勢丹アポセカリー顧問
NPO法人フレンズスクエア 代表理事

GM 畑 潮/心理学博士
GCDFキャリアカウンセラー
健康リズムカウンセラー

 

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