ストレスフリーへの鍵は「迷走神経」にあり!

スレスフルな社会生活に果敢に立ち向かっている現代人は誰もがメゲたり、凹んだりします。その理由もメカニズムもさまざまです。 「エゴ・レジリエンス」とは、日々のストレスをうまく調整して元気な自分を維持する力、誰もが持っているパーソナリティの弾力的な力です。「エゴ・レジリエンス」を高めることで自我のバランスをとる力が強化され、メゲても凹んでも、すぐに立ち直ることができるのです。
エゴレジ研究所の小野寺と畑が、「エゴ・レジリエンス」関連のお役立ち情報を提供し、あなたの元気をサポートします。

リラックス状態を作る副交感神経は、「迷走神経」の支配下にあります。迷走神経は、呼吸、消化、心拍数に影響を及ぼし、心の健康にも影響します。そのため、迷走神経の機能を最適化することで、健康を改善し、ストレスに対する耐性を作ることが可能なのです。そこで今回は、迷走神経とストレスの関係についてのお話です。

脳と内臓の双方向的なコミュニケーションを司る「迷走神経」

迷走神経の活動が高いことと、ポジティブな感情や肉体的健康の間には、ポジティブな反応の輪の関係があることが明らかになっています。言い換えれば、迷走神経の活動を高めれば高めるほどメンタルヘルスが改善するということです。迷走神経こそが現代人の健康の鍵を握っていると言っても過言ではありません。

迷走神経は、12対ある脳神経の一つです。
迷走神経は、脳から始まり、目元・耳元・首元を通って、すべての内臓に枝分かれしていく神経です。脳神経中最大の分布領域を持ち、主として副交感神経繊維からなりますが、交感神経とも拮抗し、声帯、心臓、胃腸、消化腺の運動、分泌を支配します。多数に枝分れしてきわめて複雑な経路を示すので「迷走」と呼ばれています。

脳神経系の中では最も広く分布しており、筋線維を動かす運動系と、筋肉や臓器の状態を知覚する感覚系の2つに分けられます。

運動系は、物を飲み込む、声を出す、呼吸するなどの動きを自律的におこなっています。

一方、感覚系は、喉の状態や食道、耳掃除するときに目にする外耳道などに分布し、その状態がどのようになっているか、異常が起きていないかを感じ取っています。迷走神経のうち、80%は感覚系です。

迷走神経の活動が高まると、副交感神経が活性化されます。迷走神経の活動が高いということは、ストレスを感じたあと、短い時間で体がリラックスできるということです。つまり、迷走神経が活性化されると、副交感神経が優位になり、生活に落ち着きと静けさがもたらされるということです。

たとえば、ストレスに直面したとき、「嫌だな」というネガティブな感情を抱くと交感神経が一気に刺激されます。 実は、交感神経が過剰に傾くと「心の視野」を狭くさせ、主観的にしか考えられなくなるという問題も引き起こします。背筋を伸ばして姿勢を正せば、呼吸も深くなり、迷走神経が活性化されていきます。副交感神経が優位になると、客観的な思考ができるようになります。ストレスを感じたときでも、自分を俯瞰してみることができれば、ポジティブな感情が芽生え、「ま、いいか」と思えたり、「やるだけやってみるか」と気持ちが変化するものです。全身に張り巡らされているこの迷走神経を活性化させることで、効果的に副交感神経のスイッチを入れることができるのです。

精神と体のつながりを利用して迷走神経を刺激する

英語圏に国々では、迷走神経の活性のことを”Vagal tone”と呼び、健康維持にとても大切な要素としてよく取り上げられています。迷走神経を活性化する上で、質の高い睡眠をとることや、栄養バランスの良い食事を摂るといった、日常の生活習慣の見直し・改善はもちろん重要で、基本です。
ここでは迷走神経を活性化させる非侵襲的(体に負担の少ない)方法として、クリニックの医師も勧める方法をいくつかご紹介します。

1)ゆったりとした呼吸

迷走神経を活性化させる方法として「呼吸の回数を減らす」ことと「息をしっかり吐く」ことが挙げられます。自律神経は、息を吸うときに交感神経が優位になり、息を吐く時は副交感神経が優位になります。したがって、息をしっかりと吐くことを意識することで、副交感神経を優位にしていくことができます。また、呼吸という行為は「酸素を体に取り入れる」ために行ないますが、呼吸の回数が多いと、逆に体は酸素をうまく取り入れられなくなります。

最もシンプルな方法は、深呼吸すること。 体のリラックス反応を活性化するコツは、息を吐く時間を吸う時間の2倍にすることなのだとか。 おすすめは、「4・7・8呼吸」。
4つ数えながら鼻から息を吸い、
息を止めて7つ数え、
息を吐きながら8つ数えるというもの。

副交感神経が優位になることで疲れの解消になることはもちろん、酸素を効率よく代謝できるようになることで、認知機能アップやうつ症状の軽減効果も報告されています。

2)歌をうたう、ハミングする、うがいする

迷走神経は声帯にも分布し、声のトーンを調整しています。歌ったり、ハミングしたり、あるいはうがいをしたりすることは迷走神経の刺激となり、心拍数を減らし、迷走神経の活性(Vagal tone)を改善させることが知られています。
歌を歌うために息を長く吐くことや、顔の筋肉を動かすこと、声を出すために喉を動かすという行為、これらすべては、迷走神経以外の他の副交感神経に関与する脳神経も活性することができます。

ストレス解消に「カラオケで歌う」という人がいますが、気持ちよく歌うという行動は副交感神経を活性化させて心身をリラックス状態に導くため、すごく理にかなった行動と言えます。たとえ大きな声で歌わなくても、鼻歌やハミングでも効果があるようです。
また、迷走神経は「耳元」も通ることから、自分にとって心地よい音楽を聴くことでも副交感神経活動を活性化させることができます。

3)顔や体を冷やす

体を冷やすことは迷走神経を活性化させて、副交感神経を優位にすることもわかっています。お風呂上がりの体が温かくなったタイミングで、足に冷たい水をかけるというのも有効です。また迷走神経は目元の近くを通っているため、冷水で顔を洗うだけでもOKです。

4)笑い、他者との交流

仲の良い仲間や家族との交流は、迷走神経を刺激するのに最も適した方法の一つです。私たちが心の底から「安心」「安全」を感じた時、迷走神経の働きが活発化します。

5)運動、ヨガ、気功、瞑想

研究によると、適度な運動やヨガ、瞑想は迷走神経の活性化に役立ち、ポジティブな感情を高め、自分自身や他の人に対する好意的な感情を抱きやすくなることが知られています。これらはリラクゼーション効果を促し、副交感神経系を刺激して迷走神経の働きを整えます。

6)マッサージ

研究によれば、足つぼマッサージも迷走神経を高めます。手のマッサージ(手をもむ)も効果があるようです。マッサージを受ける、マッサージをすることで交感神経の緊張は軽減し、迷走神経の働きは活性化します。また伝統的な鍼治療、特に耳鍼は迷走神経を刺激します。

以上、エゴレジ研究所から迷走神経とストレスの関係についてご紹介しました。1日中仕事をしていたり、仕事のことを考えていたり、常に締切に追われていたり、といったビジネスパーソンの方は特に、1日に数分だけでも、迷走神経を刺激して、副交感神経が優位になる時間を作ることが、疲れをためないこと、もしくは疲れをとることにつながります。

エゴレジ研究所は,生涯発達心理学,パーソナリティ心理学,ポジティブ心理学の領域からの調査研究の成果を活かし,「エゴ・レジリエンス」をキー・コンセプトとして,いきいきと人生を楽しむことができる社会の実現に貢献することを目指しています。

あなたの元気のアドバイザー「エゴレジ研究所」
https://egoresilabo.com/

<プロフィール>

代表 小野寺敦子/ 心理学博士

目白大学 人間学部心理カウンセリング学科教授
・・・・同校 心理学研究科大学院修士課程教授
・・・・同校 心理学研究科博士後期課程教授
臨床発達心理士・三越伊勢丹アポセカリー顧問
NPO法人フレンズスクエア 代表理事

GM 畑 潮/心理学博士
GCDFキャリアカウンセラー
健康リズムカウンセラー

 

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