スレスフルな社会生活に果敢に立ち向かっている現代人は誰もがメゲたり、凹んだりします。その理由もメカニズムもさまざまです。 「エゴ・レジリエンス」とは、日々のストレスをうまく調整して元気な自分を維持する力、誰もが持っているパーソナリティの弾力的な力です。「エゴ・レジリエンス」を高めることで自我のバランスをとる力が強化され、メゲても凹んでも、すぐに立ち直ることができるのです。 エゴレジ研究所の小野寺と畑が、「エゴ・レジリエンス」関連のお役立ち情報を提供し、あなたの元気をサポートします。 |
人に甘えてはいけない、人に弱みを見せてはいけない、だから人前ではついつい『良い顔』ばかりしてしまう・・・そんなあなたは、弱い自分を見せたくないために強い自分を演じていませんか。誰でも弱みは見せたくありませんが、それを続けていると本音も言えずストレスが溜まります。周囲に対して本当の顔を見せられないと悩む人の数は年々増えていると言われています。そこで今回は、人に弱みを見せられないつらさを抱えている方へのメッセージです。
「弱みを見せる」のが苦手な人
弱みを見せられない人は、弱音を吐くことなく甘えることも頼ることもできないまま抱え込んでいます。弱みを見せて人に迷惑をかけるくらいなら自分が我慢したほうがいいと思ってしまう。普段から一生懸命頑張って、人に気遣いも出来る人ほどそういう「弱みを見せる」ことに苦手意識を持ってしまいます。特に
✓年上の人や親にあまり頼れず自分の力で頑張ってきた人
✓弟や妹といった「世話をするべき存在」が居て無理をしてでも世話をしてきた人
✓後輩や部下などに「自分がダメな所を見せてはいけない!」と努力してきた人 など。
しかし、弱みを見せられないことで起こる問題もあります。
◆心が休まらず常にしんどい
弱みを見せられない人は心を休めることができません。「あー、もう無理」「もう全部投げ出したい」「もうしんどい」と人は弱みを口に出したり、ため息をついたりすることで心を休めているところがあります。一度力を抜くから、また頑張ろうと思えるわけですが、弱みを見せられない人はずっと力が抜けないままなのです。
◆本当はしんどくて仕方ないのに耐え続ける状態
常に頑張り続けてきたことで感覚が麻痺、しんどさや疲れに鈍感であるがゆえ耐えることができています。深い呼吸ができない、睡眠が浅くて疲れが取れない、胃腸の調子が悪くなりやすい等、身体面に問題が発生している人は少なくありません。過剰適応による適応障害、うつ状態、慢性疲労症候群に該当するケースもよくあります。
◆人の目が気になる
弱みを見せられない人は「弱みを知られたらどうしよう」と恐れています。だから、頼りがいのある人に見せようと頑張ったり、悩みがないことをアピールしたりするのですが、やればやるほど本当の自分とかけ離れていきます。
◆人との関係を深めることができない
弱音を吐かない、相談しない、自分で解決する。弱みを見せないから助けようとしてくれる人もなかなか出てきません。逆に頼られて余計にしんどくなっていくだけです。
これだけでも十分問題と言えますが、さらに人との関係が深まらない問題まで出てきてしまうのです。
人は信頼関係を築いていく上でお互いに適度な自己開示をしています。当然自分の悩みを打ち明けたり相談したりはつきものなのですが、相手の相談に乗ることはあっても自分の相談は一切しない、となればどうなるでしょうか。相談役として頼られることはあっても、本当に心が触れ合う関係にはなれません。
弱みを見せられない人は、良い人、すごい人と思われることはあっても、どこか距離を感じる関係しか築けないのです。
誰もが弱みを持っている
外見のコンプレックスや、思ったことを素直に言えない内気な性格など、誰しも自分に対する弱みを持っているものです。周りを見渡せば、容姿や生活に恵まれ、自身に満ち溢れており、何も弱みなど持っていないだろうと羨ましく思う存在もいることでしょう。逆に、周りから自分に対して同じように思われていることも十分にあり得ます。誰しも、自分に対して、強みと弱みを持っているものです。
そして、多くの人は、他者には自分の弱みをなるべく見せないように生活しています。自分にとっての弱みは、マイナスでしかなく、その弱みを見せることを恐れているからです。だからと言って、他者から相手の抱えている弱みを見せられた時、弱みを握ったことで躍起になってその人を陥れようとしたり、「どうしようもない奴だ」と嫌悪感を抱いたりするでしょうか。そうではなく、むしろ、相手に対して同じ痛みを持つ仲間として、好意を抱くものです。人は、共感し合える仲間を求めているのです。
弱みを見せることは信頼関係を築くための最大の武器
自分の弱みを見せるのは、「心から信頼できる人」に限られます。私たちは、気付かぬうちに「この人なら、ありのままの自分を知ってもらっても大丈夫」と感じる相手を選んでいます。
では、逆の立場になって考えてみましょう。ご自身が、弱みを見せる相手は「心から信頼できる人」を選んでいるのだとしたら、相手から弱みを見せられた場合、その相手は自分のことを「心から信頼できる人」と思っていることになります。自分のことを、「心から信頼できる人」と思ってもらえることを嬉しく思わない人はいません。多くの人が、相手にとって自分は、「特別な存在」であると感じることでしょう。そうすると、自然と気付かぬうちに、自分も相手のことを「特別な存在」と感じ、相手のことを信頼するようになるのです。信頼してもらいたいと思うのならば、まずは自分の弱みをさらけ出すこと(自己開示すること)です。
自己開示とは、弱みを含めた自分に関するプライベートな情報を相手に話すこと。自分の生い立ちや趣味を話題にする、過去の失敗を打ち明ける、自分の思いや意見を正直に話す……などが、自己開示の例です。
コミュニケーションにおける自己開示は、信頼関係を築くのに欠かせません。自分から自己開示すれば、「返報性」によって相手も自己開示してくれやすくなるため、お互いの距離が縮まります。日常生活ではもちろん、適度な自己開示は仕事上の人間関係を築くうえでも役立つものです。ですから、弱みを見せることも相手と信頼関係を築くための最大の武器になるのです。
「すべてに完璧な人はいない」「弱みは誰にもある」「人はそれぞれ違ってよく、様々な受け止め方がある」というように柔軟に考えることから始めてみましょう。ネガティブな考え方に囚われそうになったら、「ダメなところは誰にでもあるのだ」と考え、「良い部分」を探してみることです。
助けを求めることに、恥ずかしさや後ろめたさを感じていませんか。助けを求めることは本来、自分の弱みを見せることではなく、相手の価値や能力を認めるというポジティブな行動なのです。自分の力でできないことは、他人の力を借りて合理的に解決することが第一です。「人に頼るのも、ある意味、勇気が必要」だといっても、過言ではありません。もちろん頼りっぱなしはよくありませんが、ときには相手を信じて、そんな勇気を出してみてはいかがでしょうか?
以上、エゴレジ研究所から弱みを見せられないつらさを抱えている方への処方箋についてご紹介しました。弱さを見せる勇気がないために、自分を隠し続けるのは苦しいばかりです。精神的にも追い詰められていきます。自分を隠すのをやめ、素直になってすべてを受け入れる勇気をもてば、人生は変わります。隠す必要もなくなれば、自分の存在を否定する必要もなく、ストレスからも解放され、人間関係も向上します。適度な自己開示にチャレンジしてみませんか。
エゴレジ研究所は,生涯発達心理学,パーソナリティ心理学,ポジティブ心理学の領域からの調査研究の成果を活かし,「エゴ・レジリエンス」をキー・コンセプトとして,いきいきと人生を楽しむことができる社会の実現に貢献することを目指しています。
あなたの元気のアドバイザー「エゴレジ研究所」
https://egoresilabo.com/
<プロフィール>
代表 小野寺敦子/ 心理学博士
目白大学 人間学部心理カウンセリング学科教授 |
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GM 畑 潮/心理学博士 GCDFキャリアカウンセラー 健康リズムカウンセラー |
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