ウィズコロナ時代のメンタルケア

スレスフルな社会生活に果敢に立ち向かっている現代人は誰もがメゲたり、凹んだりします。その理由もメカニズムもさまざまです。 「エゴ・レジリエンス」とは、日々のストレスをうまく調整して元気な自分を維持する力、誰もが持っているパーソナリティの弾力的な力です。「エゴ・レジリエンス」を高めることで自我のバランスをとる力が強化され、メゲても凹んでも、すぐに立ち直ることができるのです。
エゴレジ研究所の小野寺と畑が、「エゴ・レジリエンス」関連のお役立ち情報を提供し、あなたの元気をサポートします。

健康は身体だけでなく、精神的な安定も大切です。ここ数年はコロナ禍でその重要性はさらに増し、 SDGs目標の3-4「2030年までに、予防や治療をすすめ、感染症以外の病気で人々が早く命を失う割合を3分の1減らす。心の健康への対策や福祉もすすめる」に沿った動きも出てきています。そこで今回は、日々を健やかに過ごしていけるヒントになるような、注目のメンタルケアのトレンドについてのお話です。

ウェルネス・トラベル

近年、心と身体を癒す「ウェルネス・トラベル」は世界中で注目されているようです。
世界16カ国・1万1000人以上を対象にアクセンチュアが実施した調査では、健康とウェルビーイングは「絶対に欠かせない」との見方が浮き彫りになり、「自分は一年前よりセルフケアに力を入れている」と答えた人は全体の33%を占めたと報告しています。

ウェルネス・リゾートや体験型バケーションと旅行者をつなぐビジネスを展開しているVacayouのCEO、ムルヤハル・モンテカルボ(Muirgheal Montecalvo)氏によると、「コロナ禍によって健康志向の休暇を過ごすことに関心が高まった」と話しています。そして、その内容は人によって異なり、ハイキングや自転車、スパやヨガ、国立公園などの野外で伸び伸び過ごすなど様々。推し活の一環で、好きなアイドルなどの聖地巡礼をする人もいます。明確な決まりはなく、自分の心が喜ぶ分野で旅を楽しむことができれば、それが理想のようです。

Hotels.comが、エクスペディアグループが日本を含む18カ国・地域の2万4000名を対象に実施した「2023年の旅行に関する国際意識調査」によると、日本人旅行者の約50%は「以前よりも心身の健康を重視するようになった」と回答しています。しかし、2023年に最もやってみたい旅行中のウェルネスアクティビティでは、約30%が「わからない」と答えており、ウェルネス・トラベルへの興味はあるものの、まだはっきりとした認識が広がっていないこともうかがえます。(調査は2022年9月22日~10月14日に実施)

一方で、ホテルのウェルネス要素について質問したところ、日本ではルームマッサージが1位で、次いでスパ・温泉やウェルネスにつながる食事(健康食・デトックス食)が好まれるなど、ホテル滞在中に経験できるサービスを重要視しています。しかし、世界ではホテル内のプールやスパなど、ホテル内の施設が重要視されているようです。

「パンデミックの間、私たちは皆、クオリティ・オブ・ライフについて考えるようになり、様々なライフスタイルの価値を吟味した。そしてセルフケアや、もっと健康的な暮らし方のメリットに気が付いた人が多い」とザ・リトリート・コスタリカ創業者兼オーナーのダイアナ・ストーボ氏は指摘しています。

これまでの旅行のイメージは、身体の疲れだけを癒すようなどちらかというと受け身なものでした。そのうちに興味関心を満たすことのできる体験型ツアーを好む旅行者が増え、今はもう一段階先の心の健康をつくる旅へと進化しているようです。

他の人を喜ばせるのをやめる「ヴィラン(悪役)時代」

ソーシャルメディアでは、たくさんの最新トレンドが生まれていますが、メンタルヘルスや自分の人生について考えるような投稿も多くあります。そのうちの一つが villain(ヴィラン)=悪役になってみようという呼びかけです。villain era(悪役時代)は、新しいセルフケアの形です。
例えば、自分がその気でないのに、友達の誘いをなんとなく断れない。または、予定があるのに残業を断れない。このような仕事上のストレスや対人関係でのプレッシャーが、このトレンドvillain era( 悪役時代)が強く叫ばれるようになった背景でしょう。
つい他人の顔色を伺ってしまい、自分のニーズを優先することができない。そんないつも礼儀正しく振る舞ってきた人たちにヴィランになることを実践してほしいというメッセージです。
ただ、健康的な境界線を設定する人々を「ヴィラン」と呼ぶのは適切ではないと指摘する向きもあります。
「傾向自体は良い流れですが、他人を喜ばせることから距離を置き、自分のニーズと幸せを優先することをvillain(ヴィラン)=悪役にすべきではありません」と。
新しい自分に生まれ変わり、自分の価値を正しく認識することは決して文字通りの「悪役」になることではありません。相手との境界線をきちんと設定し、自分らしく生きることと理解したいものです。

「抵抗」としての休息

このトレンドは、多くのInstagramやTikTokの投稿で、休息が「非生産的」や「怠慢」であるという考え方に疑問を投げかけているようです。

心理学者でウェルネスプラットフォーム「The Black Girl Doctor」の創設者であるタイーシャ・カルドウェル=ハーヴィーさんは、
「私はこのトレンドが大好きで、抑圧や家父長制など、あらゆることに対する抵抗の手段として、昼寝をしたり、自分を満たすことを勧めるこのトレンドをもっと広めたい」と話しています。
カルドウェル=ハーヴィーさんは、休息をとることは「生産的で活動的なこと」と述べ、喜びを感じること(休息のような)を意図的に行うことは、生産的な時間の使い方であると加えています。

このトレンドは、ソーシャルメディアで称賛されたましが、実際に「休息する方法」を知っているのは一握りだそうです。
カルドウェル=ハーヴィーさんは、クライアントの多くは、休息は何かという正確な説明が必要だったと言います。つまり、掃除や食器洗い、雑用などをこなすことではなく、睡眠、昼寝、ソファでゆっくり本を読むなど、自分を満たすために必要なことをすることだと話しています。

女性のための統合ヘルスクリニック「イーク表参道」副院長の高尾 美穂 先生も、次のように話されています。

私たちの日常生活において、健康を維持するために大切な要素は、「食べること」、「動くこと」、そしてもう1つが「休むこと」です。この健康の3要素は、きっとみなさんも一度は聞いたことがあると思います。しかし、この非常にベーシックな取り組みを、私たちは意外とおろそかにしがちです。
例えばこの現代社会の中で、十分な睡眠時間が取れており、適度な運動量や適正な体重を維持できているか。こういった基本的な観点から、まずご自身の生活を眺めてみることが第一のセルフケアといえるのではないでしょうか。
特に女性は、自分の1日をお子さんのため、親御さんのため、パートナーのため、仕事のためなど、自分以外の様々な誰かや、何かのために使うことが多くなりがちです。
だからこそまずは、自分自身が十分に休めているかどうか。自分に必要な運動のための時間をキープできているかどうか。そんな目でご自身の一日を眺めてみていただけるといいかなと思います。

以上、エゴレジ研究所から日々を健やかに過ごしていけるヒントになるような、メンタルケアのトレンドについてご紹介しました。大切なのは、自分の身体や心をいたわりメンテナンスしていくことです。そのためには、予防や対策となる知識やテクニックを身につけておく必要があります。メンタルヘルスであれフィットネスであれ、自分が好きで、日々続けられるものを取り入れることが重要。毎日ケアすることで強い心と体を手に入れましょう。

 

エゴレジ研究所は,生涯発達心理学,パーソナリティ心理学,ポジティブ心理学の領域からの調査研究の成果を活かし,「エゴ・レジリエンス」をキー・コンセプトとして,いきいきと人生を楽しむことができる社会の実現に貢献することを目指しています。

あなたの元気のアドバイザー「エゴレジ研究所」
https://egoresilabo.com/

<プロフィール>

代表 小野寺敦子/ 心理学博士

目白大学 人間学部心理カウンセリング学科教授
・・・・同校 心理学研究科大学院修士課程教授
・・・・同校 心理学研究科博士後期課程教授
臨床発達心理士・三越伊勢丹アポセカリー顧問
NPO法人フレンズスクエア 代表理事

GM 畑 潮/心理学博士
GCDFキャリアカウンセラー
健康リズムカウンセラー

 

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