モヤモヤをリセット「耳ひっぱり」マッサージ

代表 小野寺敦子/ 心理学博士

目白大学 人間学部心理カウンセリング学科教授
同校 心理学研究科大学院修士課程
スレスフルな社会生活に果敢に立ち向かっている現代人は誰もがメゲたり、凹んだりします。その理由もメカニズムもさまざまです。 「エゴ・レジリエンス」とは、日々のストレスをうまく調整して元気な自分を維持する力、誰もが持っているパーソナリティの弾力的な力です。「エゴ・レジリエンス」を高めることで自我のバランスをとる力が強化され、メゲても凹んでも、すぐに立ち直ることができるのです。
エゴレジ研究所の小野寺と畑が、「エゴ・レジリエンス」関連のお役立ち情報を提供し、あなたの元気をサポートします。

GM 畑 潮/心理学博士

季節の変わり目などに不調が現れる「気象病」は、寒暖差や気圧の変化というストレスへの過剰反応が引き金となった自律神経の乱れが原因と考えられています。季節の変わり目の自律神経の乱れによる不調を緩和する手軽な対処法に「耳ひっぱり」マッサージがあります。マスク文化が浸透した最近は、知らず知らずに耳への負担も増えています。今回は、身体と心のモヤモヤをリセットして、誰もが元気で笑顔になれる「耳ひっぱり」マッサージについてのお話です。

耳のマッサージ

耳のマッサージで心身の不調が改善するわけは、耳が「体の縮図」で、全身の臓器のツボが集まっているからです。
このことを最初に学術の場で発表したのは、フランス人医師のポール・ノジェ博士です。ノジェ博士は耳と全身の関係を研究し、1956年に「耳は胎児の形で人体を投影している」と学会で発表。耳介療法(耳ツボ療法)を体系化しました。
ノジェ博士の研究によると、耳は、母親のおなかの中にいる胎児のような形で、全身と対応しています。耳たぶが頭、耳の中央を走る軟骨が背骨、耳の穴の付近が内臓、などです。

古来、耳ツボ療法が行われてきた中国でも、1958年に耳鍼療法が確立。WHO(世界保健機構)でも、耳ツボは350の病症に対し有効的であると認定されています。
東洋医学的に見ても、耳には全身の臓器に対応するツボが集中しており、耳ツボ刺激を通じて全身の臓器に働きかけることができるとされています。
耳には全身のツボが集中しているので、耳を刺激することで、全身の状態を整えることもできるのです。

耳のマッサージのリラックス効果

イヤーエステサロン「ボニータ・ボニート」の代表中本多紀先生は、耳マッサージのリラックス効果を医学的にも検証するため、ペインクリニック医で予防医学にも詳しい西本真司医師(西本クリニック院長)と、鍼灸師の岩本健祐先生(紀州東洋医学研究所)の協力を得て、耳マッサージを受ける前後の自律神経の活動状態を調べました。

自律神経は、体の働きを調整する神経で、活動状態をもたらす交感神経と、リラックス状態をもたらす副交感神経からなります。ストレスを受けると交感神経の働きが過剰になり、自律神経のバランスが乱れて、不眠や疲労感、頭痛、肩こりなど、さまざまな体の不調を招きます。

機器の測定では、耳マッサージを受けたあとは、副交感神経の働きが高まり、自律神経全体の調節能力も高まることが判明心拍数も安定することがわかりました。

中本先生の「ボニータ・ボニート」のサロンでも「疲労ストレス計」という測定器で200名の自律神経のバランスを調べたところ、同様の結果が得られました(下のグラフ参照)。耳マッサージを行うと、自律神経のバランスが整うので、緊張して疲れた体を癒やすことができることが分かったのです。

ほかにも、耳のマッサージには、次のような効果があるようです。

●ストレス解消効果 副交感神経のはたらきを促し、神経の興奮を抑えます。イライラを抑え、不眠などの不調も改善されやすくなります。

●ダイエット効果 耳のツボを押すことで、腸の働きを整えたり、食欲を抑える効果があります。顔周りのむくみを取り、小顔・リフトアップ効果もあります。

●頭痛・肩こりの改善 耳周りの血流を改善し、頭や首にかけての筋肉を緩めることで、頭痛や肩こりの改善にもつながります。

「耳ひっぱり」マッサージ

自律神経のバランスを整え、疲労回復、集中力もアップする「耳ひっぱり」は簡単なエクササイズ、耳のストレッチです。やり方はいろいろありますが、今回は「ストレス・精神安定」の例として、その一つをご紹介します。

『耳をひっぱるだけで超健康になる』(フォレスト出版株式会社)の著者、飯島敬一先生が開発された自律神経をたった1分で整えるという「神門メソッド®」。
耳の上部にあるY字型の軟骨のくぼみの間、通称「神門ゾーン」を引っ張ったり、揉んだりして不調を改善します。

①人差し指を耳の上部にあるY字型の軟骨のくぼみに収まるように差し込み、親指で耳の裏を挟む。
②神門ゾーンを挟んだまま、指でこするように、耳の斜め上へ引っ張る(お猿さんのようになる)
③「スッ」とゆっくり引き抜く感じで、耳から指を離す。 ※①~③を3回繰り返す。

神門を刺激することで自律神経が整い、心身の健康増進に役立ちます。

「耳ひっぱり」をする際は、姿勢はラクにして、視線をまっすぐ遠くを見るようにし、次のことに注意してください。

※注意したいこと—-

  • 力を入れすぎない
    耳を傷つけないため、気持ちよいと感じる程度の力加減でおこないましょう。
  • 強い痛みを感じたら中止する
    強い痛みを感じる場合、耳に異常がある可能性があります。痛みが引かないときは医療機関に相談を。
  • 耳と手、どちらもなるべく清潔な状態で
    耳や手が不潔だと、耳の中に細菌が入って感染症を引き起こす可能性があります。

耳をひっぱることで、頭の芯である「蝶形骨」がゆるみます。そのゆるんだ感覚は筋膜を介して、「横隔膜」もゆるむことになります。筋膜は、気管、食道、血管など生命を維持するための大事な管や心臓を包み込んでいるので、そこがゆるんで解放されると身体も「ほっと」安心することになるのだそうです。

以上、エゴレジ研究所から、身体と心のモヤモヤをリセットして、誰もが元気で笑顔になれる「耳ひっぱり」マッサージについてご紹介しました。東洋医学では「耳が硬いときは身体が弱っている」と言われます。毎日の健康状態チェックにもなるので、1日に1度の「耳ひっぱり」マッサージを習慣にするとよいかもしれません。最初は硬くて痛みがあるかもしれません。しかし、習慣化することで徐々に柔らかくなっていきます。この過程で様々な健康効果を実感できると思います。試しに耳をひっぱってみて、効果を確かめてみてはどうでしょうか。

 

エゴレジ研究所は,生涯発達心理学,パーソナリティ心理学,ポジティブ心理学の領域からの調査研究の成果を活かし,「エゴ・レジリエンス」をキー・コンセプトとして,いきいきと人生を楽しむことができる社会の実現に貢献することを目指しています。

あなたの元気のアドバイザー「エゴレジ研究所」
https://egoresilabo.com/

<プロフィール>

代表 小野寺敦子/ 心理学博士
目白大学 人間学部心理カウンセリング学科教授
・・・・同校 心理学研究科大学院修士課程教授
・・・・同校 心理学研究科博士後期課程教授
臨床発達心理士・三越伊勢丹アポセカリー顧問
NPO法人フレンズスクエア 代表理事

GM 畑 潮/心理学博士
GCDFキャリアカウンセラー
健康リズムカウンセラー

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