はたらく世代の幸福感と笑顔優位性効果

スレスフルな社会生活に果敢に立ち向かっている現代人は誰もがメゲたり、凹んだりします。その理由もメカニズムもさまざまです。 「エゴ・レジリエンス」とは、日々のストレスをうまく調整して元気な自分を維持する力、誰もが持っているパーソナリティの弾力的な力です。「エゴ・レジリエンス」を高めることで自我のバランスをとる力が強化され、メゲても凹んでも、すぐに立ち直ることができるのです。
エゴレジ研究所の小野寺と畑が、「エゴ・レジリエンス」関連のお役立ち情報を提供し、あなたの元気をサポートします。

笑顔には、ストレスホルモンと呼ばれるコルチゾールを軽減させる効果があることも立証されています。「笑う門には福来る」とはよく言ったもので、表情に乏しい毎日を送るよりも、笑顔の多い瞬間をたくさんつくった方が、あなた自身も周りもハッピーになっていくようです。そこで今回は、はたらく世代の幸福感と笑顔に関するお話です。

はたらく世代の幸福感調査

博報堂DYホールディングスは、「これからの幸福感」プロジェクトの一環として実施した「はたらく世代の幸福感調査(関東・関西編)」の調査結果を発表しました。この調査は2022年8月12日〜16日、関東エリア・関西エリアに住む20代〜50代までの有職者各3,000人を対象に行われたものです。

全体では 79.3%が幸福感 —「日ごろから、あなたは幸せに暮らしていると思いますか?」に回答— を感じていました。
2つの エリアの比較では、幸福感は関西で82.5%、関東で76.0%、元気感においては関西が77.6%、関東が71.2%となっています。いずれも西高東低の傾向があるようです。

さらに要因分析結果では、
「本音」項目—自由に本音で話しあった方が楽しい―は関西が78.6%、関東が73.6%、
「共鳴」項目—日々、楽しく笑える場面がある—は関西が74.2%、関東が66.0%、
「シェア」項目—くだらないことでも人と話をする時間は楽しい―は関西が79.2%、関東が77.2%となり、全てのスコアで関西が関東を上回る結果となっています。

調査結果について、京都大学 内田由紀子 教授(社会心理学・文化心理学)は、つぎのようにコメントされています。

今回の調査の結果でとても大切なメッセージは、
自らの思いを伝え、他者と感情的に共感・共鳴し、面白かった経験を人とシェアしようという思いがあることが、ウェルビーイングにつながっている、ということです。
かつて幸せは「あくまで個人の問題」とされ、個人がスキルアップしたり、お金を稼いだり、得られたお金で余暇を楽しんだり、 という蓄積→消費のサイクルから得られる個人的幸福感が、マーケットの中でも注目されていました。しかしこれからより重要になるのは他者と幸せを共有することができ、いろいろな幸せの形があることを皆で受け入れていくような場所づくりです。
関西の風土が持つ、緩やかで、「ま、そんな人がいてもおもしろいやんな」と許容し、面白がる文化的基盤が、「場所づくり」を支えてきたのかもしれません。失敗してもその経験を人と共有して、笑いに変えたりもできます。 他者の多様性やチャレンジを受け入れることで、自らの日常にも感謝し、肯定できるようになるのではないでしょうか。

笑顔優位性効果

ヒトには,集団生活を円滑に送る上で不可欠な向社会的コミュニケーションのために,他人の表情,特に笑顔を他の表情と比較して迅速に認知し処理するという特性があり、この表情認識に関するバイアスは、笑顔優位性効果(Happy face superiority effect)と呼ばれています。

笑っている人の写真と怒っている人の写真を用意して、それぞれの顔を覚えてもらい、後日、同じ人たちの無表情の写真を見せ、「この顔を覚えているか」と確認したところ、圧倒的に記憶に残っていたのは笑っている人の写真だったといいます。記憶に残りやすければ、コミュニケーションも円滑に進みやすくなりますから、笑顔による優位性がさまざまな波及効果をもたらすことは、想像に難くないでしょう。

笑顔は、あらゆる活動の原動力になります。単純に心持ちだけの話ではなく、近年は科学的にさまざまなデータが出ています。

カンザス大学のクラフトとプレスマンは、口にさまざまな形で箸をくわえさせるという面白い実験(2012)を行っています。

まず被験者に1分間氷水に手をつけてもらうなどしてストレス値を上げ、その後、
箸を

  1. 【軽い笑みになるようにくわえる】
  2. 【口角が上がって大きな笑顔になるようにくわえる】
  3. 【無表情でくわえる】

と3つのくわえ方をするグループに分けました。
そして、心拍数やストレスの度合いを計測すると、②のくわえ方をしていた被験者たちの心拍数やストレスが、もっとも低かったのです。つまり、口角を上げ笑っているような表情をつくるだけ(フェイクスマイル)でもストレスが軽減されるのです。

試しに、鏡に向かって笑顔と怒りの表情を作ってみてください。
笑顔では眉が下がり、口角が上がるのに対し、怒りでは眉がつり上がり、ぐっと口が「への字」になります。まったく対極の筋肉を使うことがわかります。

笑顔の表情を作ると、快感や多幸感を得られる神経伝達物質のドーパミンが増えるとされています。

笑顔の研究者ロン・ガットマンは、イギリスの研究者の実験を引用し、笑顔一つでチョコバー2000個分の(脳内で“幸せ”を生み出す)効果があるとしています。チョコレートを食べると脳内でエンドルフィンが出るなど、幸福感をもたらす刺激が起こりますが、笑顔をつくるだけでも、それ以上の幸福感が得られるというわけです。

幸福優位の法則

ハーバード大学では、成績、生産性、ユーモア、活力、立ち直る力などの点において平均を上回る要因はいったいどこから来るのか、という素朴な疑問から、人間の幸福と成功に関して世界最大規模の研究が行われました。その結果分かったことは、人は幸せな気分の時に成功するというシンプルな事実です。
これは、『幸福優位7つの法則 仕事も人生も充実させるハーバード式最新成功理論』(ショーン・エイカー著、高橋由紀子翻訳:徳間書店)で紹介されています。

人は幸福感を覚えている時、つまり心のあり方や気分がポジティブで前向きである時に、頭はもっともよく働きモチベーションも高まり、結果的に物事もうまくいきます。
それだけではなく、創造性も高まりより良いアイデアを思いつくようになり、たとえ失敗したとしてもそこから迅速に立ち直ることができます。
このように、幸福である時に様々なメリットを得られる事を「幸福優位性」別名、ハピネス・アドバンテージと言います(これはライフハックアニメーションで紹介されました)。

例えば、
✓楽観的な営業マンは悲観的な営業マンに比べて56%も営業成績が良く、
試験の前に幸せな気分になった学生は普通の気分の学生に比べてはるかに良い成績をとり、
さらには人為的に風邪ウイルスを注射されたとしても幸福度の高い人はそうでない人と比べてウイルスに打ち勝つ確率がはるかに高かった

ということも分かっています。

つまり、幸福であるということが仕事面、健康面、勉強面においてポジティブな効果をもたらすということです。
幸福な気分の時私たちの脳の中では一体何が起きているのでしょうか。このことは脳の拡張形成効果と言う名前で知られています。

✓ポジティブな感情抱いている時、目の前にある選択肢が多いように感じ、思慮深く、創造的になり、新しい考えに対してオープンになる (拡張効果)
✓そしてその結果として、将来にわたって有効な知識や社会関係また肉体的な強靭さを形成していくことができる (形成効果)
✓それだけではなくポジティブ感情は、ストレスや不安を速やかにする働きがある (打ち消効果)

以上、エゴレジ研究所から、はたらく世代の幸福感と笑顔についてご紹介しました。職場でも地域でも、楽しそうに笑顔でいる人の周りは、不思議とポジティブな雰囲気に包まれているものです。笑顔は人をポジティブな思考にしてくれます。笑顔の効果を、仕事や生活で生かせば、幸福感は自ずとあがってくるのではないでしょうか。

 

エゴレジ研究所は,生涯発達心理学,パーソナリティ心理学,ポジティブ心理学の領域からの調査研究の成果を活かし,「エゴ・レジリエンス」をキー・コンセプトとして,いきいきと人生を楽しむことができる社会の実現に貢献することを目指しています。

あなたの元気のアドバイザー「エゴレジ研究所」
https://egoresilabo.com/

<プロフィール>

代表 小野寺敦子/ 心理学博士

目白大学 人間学部心理カウンセリング学科教授
・・・・同校 心理学研究科大学院修士課程教授
・・・・同校 心理学研究科博士後期課程教授
臨床発達心理士・三越伊勢丹アポセカリー顧問
NPO法人フレンズスクエア 代表理事

GM 畑 潮/心理学博士
GCDFキャリアカウンセラー
健康リズムカウンセラー

 

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