朝ごはんを食べる習慣と幸せ度

スレスフルな社会生活に果敢に立ち向かっている現代人は誰もがメゲたり、凹んだりします。その理由もメカニズムもさまざまです。 「エゴ・レジリエンス」とは、日々のストレスをうまく調整して元気な自分を維持する力、誰もが持っているパーソナリティの弾力的な力です。「エゴ・レジリエンス」を高めることで自我のバランスをとる力が強化され、メゲても凹んでも、すぐに立ち直ることができるのです。
エゴレジ研究所の小野寺と畑が、「エゴ・レジリエンス」関連のお役立ち情報を提供し、あなたの元気をサポートします。

起きてから家を出るまでバタバタで、朝食をとる余裕なんてない……。こんな生活をしていると、心が疲れやすくなるため要注意――そんな調査結果が出ています。世間一般的には朝食も含め一日三食定期的な食事を摂ることが望ましいとされています。他方、朝食は個人差もあって摂らない方が健康的な日常生活を過ごせる人もおり、またそれを推奨する健康法も存在します。そこで今回は、朝ごはん食べる習慣についてのお話です。

成人の朝食実情

1)アヲハタ株式会社は、全国の20~60代の男女3,000人を対象に、朝食に関する調査(2023年1月)を実施しています。


朝食を取る頻度について、「平日のほぼすべて」と答えた割合は、全体で70.3%、60代が男性81.3%、女性88.5%と高い結果となりました。一方20代では、男性51.7%、女性59.8%と年代が下がるほど少なくなっています。「朝食は食べない」と答えた割合は、平日・休日ともに、男性では40代、女性は20代が最多となりました。

2)カルビー株式会社が、2022年3月に首都圏の20代~40代の女性450名を対象に行ったインターネットの朝食実態を調査でも、21.6%が朝食を食べていないと回答しています。加えて、29.8%は朝食を短時間で済ませていると回答し、忙しい現代人は朝食に時間をかけない傾向が明らかになっています。

朝食習慣と幸せ度・ライフスタイル

国立大学法人東北大学と株式会社日立ハイテクのジョイントベンチャーである株式会社NeUは、東北大学100%出資のコンサルティング会社である東北大学ナレッジキャスト株式会社、および創業124年となる牛丼チェーンの株式会社吉野家との3社共同で、20代から60代の働く人1,000人を対象に「朝食習慣と幸せ度・ライフスタイルに関する調査」を実施しています。
※調査結果の詳細は、2023年1月30日に株式会社吉野家より、3社共同のプレスリリースとして発表されています。 NEWS0130_02.pdf (yoshinoya.com)

この調査では、朝食習慣と幸せ度・生活満足度との関連性が明らかになった2010年に東北大学が発表した調査から12年が経過し、この関係性に変化があるのか否か、スマホ普及やコロナ禍の影響がどの程度あるのかに注目しています。

◆朝食頻度と「幸せ度」との関係

NeU取締役CTO(東北大学ナレッジキャスト取締役) 川島隆太博士は、この調査結果から、朝食頻度と「幸せ度」に関する知見は普遍性が高いとコメントされています。

2010年の東北大学加齢医学研究所教授の川島隆太氏らが実施した「幸せ度とライフスタイルに関する調査」によると、
朝食を抜く頻度が高い人は、毎日朝食をとる人に比べイライラや不安を感じやすい傾向が見られたそうです。
また、仕事や余暇を含む生活全体への満足度も、朝食を抜きがちな人ほど低いことが判明。幸せ度と朝食の頻度は比例関係にあることがわかったとのことです。
さらには、幸せ度が高い人ほど、果物や副菜(サラダやおひたしなど)を食べる割合が高いというデータも得られたそう。こうした結果を受けて川島氏は、「バランスのよい朝食を毎日とる」という当たり前の生活習慣が幸福度に直結すると述べています。

今回の調査でも、同様な結果が得られています。

朝食頻度が高いほど「幸せ度」が高く、「幸せ度」が高いほど生活面での「ポジティブな意識」が強い

  • 「幸せ度」は朝食を毎日食べる人と週1日以下食べる人とで10.7点の差がある。
  • 朝食頻度が高い人は朝食をとる理由が明確であり、目的意識が高い。
  • 朝食頻度が高い人ほど「生活リズムが安定している」「体調管理・健康管理に気を配っている」「定期的にからだを動かしている」。
  • 朝食頻度が高い人ほど平日のアフター5、および休日の充実度が高い。
  • 朝食頻度が低い人は、休日に寝ていることが多い。

◆コロナ禍以降のライフスタイルの変化

コロナ禍以降のライフスタイルの変化を尋ねたところ、「幸せ度」が高い層は、朝食頻度と米を食べる頻度が高くなった割合が多かった。一方、「幸せ度」が低い層は、朝食頻度と米を食べる頻度が「幸せ度」が高い層の半分程度と低かったとのこと。また、「幸せ度」が低い層は、イライラしたり、不安になったりする頻度が高くなった割合が多かったようです。

川島隆太博士によれば、
毎朝規則正しく、米を主体にして栄養バランスを考慮した朝食を摂ることで、生活の「幸せ度」が高まる可能性が大きいと言える。朝食頻度が高い人は朝食をとる理由が明確であり、目的意識が高いのは、朝食の有用性を認識しているためと言える。言い換えると、朝食頻度が低い人は朝食の有用性の認識が希薄のため、摂取意識が低くなっていると言える。このことより、朝食摂取意識の低い人に対して、いかにその有用性を認識してもらい、朝食摂取を「習慣」づけてもらうかが重要である—-とコメントされています。

朝ごはんを食べるといいこと

何気なく食べている朝ごはんですが、様々な“いいこと”があると研究報告されています。

  • 作業効率、集中力がアップ
    炭水化物を食べることで、脳や筋肉などのエネルギーになります。朝から十分に活動できるよう、エネルギーを補給しましょう。朝ごはんを食べることで脳に不足していたエネルギーが補給され、作業効率がアップします。また、脳の働きが活発になり、集中力が高まります。

  • 体温が上昇し、活動の準備ができます。
    寝ている間に下がった体温を上げるために、朝食をとることは大切です。特に、たんぱく質をとることで体温の上昇につながり、活動しやすくなります。
  • 便秘の予防、解消
    食べ物が胃に入ることで、腸が刺激され、排便しやすくなります。
  • 生活リズムを整える
    朝食は生活リズムを整える重要な役割があります。私たち人間が持つ『体内時計』は1日25時間。物理的な24時間という時間とすり合わせなくてはいけません。朝ごはんを食べると脳にエネルギー源が行き、咀嚼をすることで身体を起こします。一日のリズムを整えるためにも朝食は欠かせない存在です。
  • イライラ防止
    セロトニンは噛むことによって活性化されます。朝食は朝のセロトニンを分泌させるための大事な役割。 穏やかに1日を迎えるためにも、朝食は欠かせない存在です。

とはいえ、これまで朝食を抜きがちだった人にとって、品数豊富な朝食をとるのはハードルが高いでしょう。そこで、心の健康に効く手軽な朝食として、バナナとヨーグルトを食べるのはいかがでしょう。

精神科医の井上智介先生によると、バナナと乳製品には、「トリプトファン」というアミノ酸や、ビタミンB6が含まれているそうです。これらは幸せホルモンといわれる「セロトニン」の原料。ですから、バナナとヨーグルトを食べれば、心を健やかに整えられるというわけです。

以上、エゴレジ研究所から、朝ごはんを食べる習慣についてご紹介しました。朝ごはんで健康だけでなく、毎日の幸福度も上がる可能性があるのです。「朝食は胃が受け付けない」なんて人も、まずはスープなど出来る範囲で食べられる物を摂取してみましょう。「朝は時間がない」という方にはちょっとした一工夫がおすすめです。夕飯の残り物をお皿に盛りつけておいたり、おにぎりやゆで卵を作っておいたり・・。トースト1枚だけよりは、フルーツやドライフルーツをヨーグルトに添えるなど、時短の工夫をしながら朝食を楽しんで習慣化しませんか。無理せずに自分に合った朝食を摂ることが大切です。最近つまらないな、心から笑っていないなと感じている人は、ぜひ朝ごはんの習慣を見直してみてください。

エゴレジ研究所は,生涯発達心理学,パーソナリティ心理学,ポジティブ心理学の領域からの調査研究の成果を活かし,「エゴ・レジリエンス」をキー・コンセプトとして,いきいきと人生を楽しむことができる社会の実現に貢献することを目指しています。

あなたの元気のアドバイザー「エゴレジ研究所」
https://egoresilabo.com/

<プロフィール>

代表 小野寺敦子/ 心理学博士

目白大学 人間学部心理カウンセリング学科教授
・・・・同校 心理学研究科大学院修士課程教授
・・・・同校 心理学研究科博士後期課程教授
臨床発達心理士・三越伊勢丹アポセカリー顧問
NPO法人フレンズスクエア 代表理事

GM 畑 潮/心理学博士
GCDFキャリアカウンセラー
健康リズムカウンセラー

 

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