「おみくじ」は心願成就の行動指針

スレスフルな社会生活に果敢に立ち向かっている現代人は誰もがメゲたり、凹んだりします。その理由もメカニズムもさまざまです。 「エゴ・レジリエンス」とは、日々のストレスをうまく調整して元気な自分を維持する力、誰もが持っているパーソナリティの弾力的な力です。「エゴ・レジリエンス」を高めることで自我のバランスをとる力が強化され、メゲても凹んでも、すぐに立ち直ることができるのです。
エゴレジ研究所の小野寺と畑が、「エゴ・レジリエンス」関連のお役立ち情報を提供し、あなたの元気をサポートします。

新しい年に、その年の安寧を願って神社仏閣に参拝するのが初詣。そして新しい一年をよりよく過ごす指針としておみくじをひくというのは、初詣の楽しみのひとつです。神社のおみくじには、誰もがさまざまな想いで、ワクワクしながら手を伸ばしていることでしょう。そこで今回は、「おみくじ」についてのお話です。

「おみくじ」のトリビア

おみくじの歴史はとても古く、最古の記録は飛鳥時代にまでさかのぼります。しかし、現在のような形のおみくじが誕生したのは明治時代です。

明治時代は、知っての通り「男尊女卑」の時代でした。そのため、神社でも女性神主はいなかったのですが、これに異議を唱えたのが、女子道社の創始者・宮本重胤(しげたね)でした。宮本の見方では、神道では元々、女性を「汚れ」と見なす思想はなかったそうです。そのため、宮本重胤は女性神主の登用や参政権を求め1905年に「日本敬神婦人会」を結成。これはあの有名は「青踏社(せいとうしゃ)」よりも早く、女性の自立を求める組織としては日本で最初の団体だと言われています。

「日本敬神婦人会」は日本全国に支部を広げ、さらにはアメリカのロサンゼルスやハワイ、朝鮮にまで。その後機関紙「女子道」が発行されました。そのような「女性の自立」を訴えるため、明治39年に、機関誌の「女子道」を発刊します。その機関紙の発行を支える資金を確保するため設立されたのが、おみくじの製造・販売を行う「女子道社」なのです。

つまり、おみくじは「女性の自立の活動のための資金源」として生み出されたのです。

女子道社が製造・販売するおみくじは昔から変わらず、地域の女性たちの手作り。現在、おみくじを製造する神社は全国で6社。そのなかでも最大手の女子道社はなんと約7割のシェアを誇るそうです。

おみくじは運だめしではなく「行動指針」

おみくじを信じるか信じないかは個人の自由ですが、多くの人は「今年はどんな1年になるかな」と運だめしのような気持ちでおみくじを引いているのではないでしょうか?

おみくじには、和歌(詩歌)の形で運勢を告げ、その大意を散文、すなわち日常言語に翻訳して解釈と全体的な教訓を述べ、さらに人々にわかりやすいように、「大吉」「吉」などとランク付けした上で、項目別の解説や教訓を付す、これがおみくじの基本構造です。

おみくじには、「吉」や「凶」などの結果のほかに重要なことが2つ書かれています。それは運勢と行動指針です。

運勢は、その年の運の傾向が示されています。代表的なものは、「願いごと」が叶う、叶わない、「待ち人」が来る、来ない、「商売」の運勢などです。その運勢に対して取るべき行動、持つべき考え方が必ず書かれており、そこが一番重要です。

易学に吉凶悔吝(きっきょうかいりん)という用語があります。
運勢のいい状態(吉)でも油断して行動をケチる(吝)と悪い状態に。悪い状態(凶)でも失敗を後悔して行動に活かせばいい運勢(吉)に変わるという考え方です。
反省すること(悔)で凶が吉に変わり、奢りや慢心(吝:物惜しみする様)で吉が凶に変わります。

ざっくり解説しますと、大吉や吉のような、良い結果が出たからと慢心すれば凶へと向かっていく警告であり、凶や大凶の様な悪い結果が出たからと言って、落ち込むのではなく、何処が悪かったのか、どうすれば改善し、良い方向に向かうのかと、内省し、行動を見直し、出来る限りいい方向へ向かう努力をすれば吉となるというような意味です。

たとえば大吉のおみくじには必ず、注意事項が書かれています。書き方は様々ですが、概ね「人として正しい行いをしていなければ、大きな成功ではなく、災いがもたらされる」というようなことです。良い運勢の分だけ、正しくない行動をすれば、悪い結果も大きくなり災いに転じる可能性があるということです。

大切なのは、物事が順調にいっている時ほど、人間として正しい行動を取っていないと、その反動も大きいということです。それを大吉のおみくじは強調しており、最も心に刻むべき部分なのです。

一方、凶のおみくじは、基本的な運勢としてはよろしくなく、思い通りにならないことが多いとされています。と同時に、行動指針としては、大吉のおみくじと大して変わらないことが書かれています。つまり、人として正しい行動をしていれば、運気は必ず上向くという類のことが書かれているはずです。

物事が順調にいかない時でも腐らず、手っ取り早い解決方法に走らない。辛抱して、慎重に、誠実に物事にあたっていれば、大過なく過ごせるばかりか、運勢は上向いていくということです。

おみくじに書いてある行動指針は、日常生活では意識することもない当たり前のことばかりです。意識しにくいことですが、大変重要なことです。「吉凶」という単純な視点だけで見ると大事な助言を見落とします。神様がくれるのはあくまでヒント。大事なのは、チャンスを掴むヒントを読み取り、努力しながら神様の言葉に耳を傾けることなのです。

「おみくじ」の有効期限

おみくじに決まった有効期限はないようです。おみくじはお願いごとに対する神仏からのアドバイスなので、そのお願いごとが叶ったらそのおみくじは役割を終えたと考えられます。

初詣でひいたおみくじの有効期限が一年と言われるのは、初詣では新年の願いごとをすることが多いからと言えるでしょう。

また、別日に同じ寺社にお参りをして再びおみくじを引いた際も、新しいおみくじが現在のアドバイスになりますので、それまでのおみくじは役割を終えたと言えるでしょう。

なお、おみくじは内容に納得がいかなかったからといって何度も引くのはNGとのこと。少なくとも別日に再度お参りをして引きます。ただし、寺社が異なればそのご利益やおみくじの種類も異なるので、お参りした寺社それぞれでおみくじを引くのはOKとか。おみくじは願いごとや心配ごとを心に思い浮かべながら引きますが、一般的には「願ったことが叶うまで」が有効期限と言われています。

以上、エゴレジ研究所から「おみくじ」についてご紹介しました。人々が神社に参拝することの意味を考えるとき、そこには「目に見えるもの」や「かたちあるもの」からだけでは得ることのできない、精神的な支えを得ていると言えるでしょう。豊かで物にあふれたこの時代、私たちはつい手の中に残るものばかりを追い求めがちです。しかし、人生で大事なのは、数字にもデータにもできない、自らの心の指針。時によくないものに惑わされ、迷いやすい私たちが心清く生きていくためには、何か「目に見えない存在からの導き」を求めるものです。おみくじに書かれている言葉をよく読んでみてください。そのときどきの自分に必要な気づき、そして励ましのメッセージを感じる瞬間が、必ずあるはずです。

 

エゴレジ研究所は,生涯発達心理学,パーソナリティ心理学,ポジティブ心理学の領域からの調査研究の成果を活かし,「エゴ・レジリエンス」をキー・コンセプトとして,いきいきと人生を楽しむことができる社会の実現に貢献することを目指しています。

あなたの元気のアドバイザー「エゴレジ研究所」
https://egoresilabo.com/

<プロフィール>

代表 小野寺敦子/ 心理学博士

目白大学 人間学部心理カウンセリング学科教授
・・・・同校 心理学研究科大学院修士課程教授
・・・・同校 心理学研究科博士後期課程教授
臨床発達心理士・三越伊勢丹アポセカリー顧問
NPO法人フレンズスクエア 代表理事

GM 畑 潮/心理学博士
GCDFキャリアカウンセラー
健康リズムカウンセラー

 

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