GW明けの「5月病」対策

代表 小野寺敦子/ 心理学博士

目白大学 人間学部心理カウンセリング学科教授
同校 心理学研究科大学院修士課程
スレスフルな社会生活に果敢に立ち向かっている現代人は誰もがメゲたり、凹んだりします。その理由もメカニズムもさまざまです。 「エゴ・レジリエンス」とは、日々のストレスをうまく調整して元気な自分を維持する力、誰もが持っているパーソナリティの弾力的な力です。「エゴ・レジリエンス」を高めることで自我のバランスをとる力が強化され、メゲても凹んでも、すぐに立ち直ることができるのです。
エゴレジ研究所の小野寺と畑が、「エゴ・レジリエンス」関連のお役立ち情報を提供し、あなたの元気をサポートします。

GM 畑 潮/心理学博士

今年のゴールデンウィークは、3年ぶりに緊急事態宣言やまん延防止等重点措置のない大型連休になりました。そこで気になるのは連休明けのメンタルケアです。毎年5月の連休を経た5月から6月にかけての時期は、年間でも心身バランスを崩す人が多く、いわゆる「5月病」を起こす方が増える傾向があります。5月病は適応障害の一つと言えますが、今年は特に、行動制限が緩和され久しぶりの帰省や旅行などで過ごした方も多いと思われ、元の生活に戻る時の適応がうまくいくかどうかが心配です。そこで今回は連休明けの「5月病」対策を考えます。

今年の5月病リスク

今年は3月の「まん延防止等重点措置」全面解除後、4月から様子を見つつリモートワークから出社に変わった職場も多く、出社に慣れないうちに連休入りした場合は適応障害が起こりやすくなります。会社員以外でも年齢を問わず、久しぶりに家族で外出したり友人知人と会ったりと自粛からの解放で、環境が変化し生活リズムが乱れた方も多いかもしれません。
今年の5月は、梅雨に近い天候になるとの予報が出ていることから季節が前倒しになっているようです。寒暖差に加え急な季節の変化に体の対応が難しくなっているといえます。

季節の変わり目に体調を崩しやすい人は、春や秋に不調を感じがちです。これは、自律神経の切り替えが上手くできないせいです。
一般的に男性よりは女性のほうが心身のバランスを崩しやすいといわれています。
気分転換や睡眠をとることなどで解消出来ず何日も悩み続ける傾向がある人、周囲の人は気にならない程度の不快感を増幅させ精神的に疲弊してしまう傾向のある人は要注意です。また完璧主義の傾向がある人も、ちょっとした躓きが自分の中で非常に大きな精神的ストレスになってしまい自律神経を乱し、体調不良につながることもあります。

5月病のサイン

5月病を防ぐためには、まず異変に気付くこと、セルフケア、そして周囲のサポートが大事です。予防対策のファーストステップとして、まず次のようなサインに気付くことです。

睡眠の変化、食欲の変化、体調の変化、気分の変化など、自分でチェックしてみることから始めましょう。もし、難しい場合は“誰かに聞いてみる”のも効果的かつ簡単な診断ツールになります。

✓朝起きられない
✓夜中に何度も目が覚める
✓夕方以降にやっと元気になる
✓とにかく疲れやすい・疲れが取れない
✓気力・体力が持たずエネルギー不足と感じる
✓集中力が切れやすい
✓何を食べてもおいしくない(食欲低下)
✓無性に食べたくなる(過食)
✓胃腸障害・下痢が続く
✓頭がフラフラ、ぼーっとする
✓全てが虚しいように感じる
✓普通にできていたことをするにも苦痛を感じる
✓仕事がのろくなる
✓物事がなかなか決められない
✓掃除や片付けができない
✓怒りっぽくイライラする

3つ以上当てはまれば、リスクありです。
2週間ほどこうしたサインが続いた場合は医療機関につなぐことも必要です。

連休明け不調の原因と対策

心療内科医で産業医の海原純子先生(昭和女子大学客員教授)は連休明け不調の原因と対策について、以下のように解説されています。

連休明けに不調を起こす要因は、生活リズムの乱れです。
休みの間、夜遅くまで起きていて朝起きるのが遅くなることで生活リズムが後退しやすくなります。こうした状況からまた仕事に戻ろうとしても時差ボケのような状態に陥り胃腸障害や集中力低下などが起こりやすくなります。ですから生活リズムを素早く元に戻すことがポイントです。

◆対策1 起きる時間を決める

起床時間を普段どおりに戻すことが必要です。仕事や学校のある平日と同じにします。休み中も普段より2時間以上遅くならないようにすると生活リズムは乱れにくくなります。夜眠れないから朝起きられないという方は、まずは朝早く起きることを目指しましょう。朝に太陽の光を浴びることで脳の松果体から睡眠を導入するホルモンのメラトニンが放出され14~16時間後に自然に眠くなります。朝起きて太陽を浴びた時間に合わせて夜眠くなるのです。

◆対策2 散歩や運動で身体を動かす

昼間軽い運動をしたりストレッチをしたりすることで適度な疲労感が起こり、夜の寝つきをよくすることができます。またリラックスすることで交感神経の緊張を緩め睡眠の質を改善できます。

◆対策3 昼間太陽の光を浴びる

太陽の光に含まれるバイオレットライトを浴びると網膜にあるオプシン5という受容体が活性化されますが、このオプシン5は脳機能に影響することが報告され、うつの予防などに効果がある可能性が示唆されています。また網膜のオプシン4という受容体は、太陽光に含まれるブルーライトに反応して概日リズムのコントロールに影響を与えています。朝起きたら窓を開けて陽の光を浴びる、昼間お天気がいい日は戸外を歩くなどが生活リズムのキープに役立ちます。

◆対策4 食事時間を一定にする

休みの日は食事時間が不規則になりがちです。食事時間を決めていつも通りにすることで生活リズムが整いやすくなります。

以上、エゴレジ研究所から、連休明けの「5月病」対策についてご紹介しました。生活のリズムは一度崩れてしまうと立て直すのが本当に大変です。生活リズムを戻す期間は3週間程度と言われていまが、毎日少しずつ意識するだけでも生活リズムは戻っていきます。やはり、生活リズムを一定に保ち、健康的な生活を送ること(3食を一定の時間に食べ、起床時刻を一定にし、自分に合った十分な睡眠時間を取る、継続できる運動を規則的に続ける)に勝るものはないでしょう。それぞれができる対策をとって連休明けリスクを乗り切ってください。新緑の気持ちの良い季節。健やかに気持ちの良い日々を過ごせる人が増えますように・・・。

エゴレジ研究所は,生涯発達心理学,パーソナリティ心理学,ポジティブ心理学の領域からの調査研究の成果を活かし,「エゴ・レジリエンス」をキー・コンセプトとして,いきいきと人生を楽しむことができる社会の実現に貢献することを目指しています。

あなたの元気のアドバイザー「エゴレジ研究所」
https://egoresilabo.com/

<プロフィール>

代表 小野寺敦子/ 心理学博士
目白大学 人間学部心理カウンセリング学科教授
・・・・同校 心理学研究科大学院修士課程教授
・・・・同校 心理学研究科博士後期課程教授
臨床発達心理士・三越伊勢丹アポセカリー顧問
NPO法人フレンズスクエア 代表理事

GM 畑 潮/心理学博士
GCDFキャリアカウンセラー
健康リズムカウンセラー

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