GWの休み方

代表 小野寺敦子/ 心理学博士

目白大学 人間学部心理カウンセリング学科教授
同校 心理学研究科大学院修士課程
スレスフルな社会生活に果敢に立ち向かっている現代人は誰もがメゲたり、凹んだりします。その理由もメカニズムもさまざまです。 「エゴ・レジリエンス」とは、日々のストレスをうまく調整して元気な自分を維持する力、誰もが持っているパーソナリティの弾力的な力です。「エゴ・レジリエンス」を高めることで自我のバランスをとる力が強化され、メゲても凹んでも、すぐに立ち直ることができるのです。
エゴレジ研究所の小野寺と畑が、「エゴ・レジリエンス」関連のお役立ち情報を提供し、あなたの元気をサポートします。

GM 畑 潮/心理学博士

新年度が始まってから1カ月が過ぎてGWが始まりました。この時季さまざまな変化を経験されている方も多いのではないでしょうか。長期休暇はもちろんのこと、日頃の休日でも、しっかり休息を取り、リフレッシュできているでしょうか?連休に新しい生活や環境への疲れが一気に出てしまい、五月病になってしまう人もいます。ストレス解消のつもりが、かえって心身の負担となることもあるので、よい休みの過ごし方をしたいものです。そこで今回は、ストレスを上手に解消し、効果的に休む方法についてのお話です。

連休中の5つのNG行動

ウェザーニュースが行った「GWの1番の楽しみは?」というアンケート調査では、

家でゆっくり」で、全体の63%
近場へお出かけ」27%、
国内旅行・帰省」10%、
海外旅行」は0%
(2022年4月20〜21日実施、7522人回答)

という結果でした。

現実のニュースでは、海外旅行へのお出かけ組も報道されていました。コロナの感染状況を気にしつつも、各自が良しとする範囲で、楽しみを見いだそうとする人が多いようです。

今年は、休みの取り方によっては最大10連休。でもこの休暇の過ごし方によっては五月病のリスクになってしまう可能性があります。5月の連休明けからは、メンタルヘルス的には一つの大きな鬼門ともいえる要注意時期なのです。GWの過ごし方で生活リズムが乱れ、さらに疲労が溜まる状態に陥り「朝起きられない」「会社に行くのが億劫」という具合に、五月病へと突き進むと言います。

五月病とは正式な名称ではなく、医学的には「抑うつ状態」(気分が落ち込んで気力や行動力が乏しくなった状態)というものです。一般的には5月の連休が明けたころから夏ごろにかけて、特に新入社員や新入生を中心に起こりやすいとされていますが、新人ではない人でも、「変化が多かった人」「大きな変化を経験した人」も五月病になる可能性はあります。

横浜鶴見リハビリテーション病院の吉田勝明院長は、5月病を招きかねない連休中の5つのNG行動を示されています(以下「 」は吉田先生)。

(1)寝過ぎ
日頃の疲れを回復しようと、ずっと寝て過ごすのはよくありません。
「とにかく休もうと寝だめをする人がいますが、寝すぎは睡眠の質を下げてしまいます。また、人の体には、日中は活動し、夜は休息する体内リズムあります。寝すぎは、このリズムも崩してしまいます」

(2)極端な夜更かし
思い切り遊んだり、普段会えない家族や友人との時間を作るのもいいでしょう。しかし、楽しみを優先するあまり、極端に夜更かししてしまうと生活リズムを崩すことになります。
「連休中もできるだけ就寝時間と起床時間は変えず、規則正しい生活を守りましょう。睡眠リズムが崩れると、疲労が体に溜まりやすくなります」

(3)家にこもる
ひたすら家にこもってゲームやDVDを見て過ごすという人はいないでしょうか。
「多少の活動と緊張感は、心身の健康に役立つものです。誰とも会わずにずっと家で過ごす生活は、日頃、仕事で人と会う機会が多い人にとって、休み明けのギャップが強くなってしまいます。また、外に出て太陽光を浴びると『幸せホルモン』と呼ばれる脳内物質のセロトニンの合成が盛んになるので、太陽の光(特に朝日)を浴びることは五月病対策にも効果的です」

(4)甘いものを食べ過ぎる
ストレス解消が甘いものという人は多いでしょう。連休中は家族や友人とのおやつタイムが増えたり、期間限定のスイーツやパン巡りなども楽しみです。
「甘いものがダメというわけではありませんが、食べ過ぎはよくありません。うつの兆候として過度に甘いものや炭水化物をとることもあります。野菜や肉・魚など食事のバランスに気をつけて、軽い運動などでストレス解消できるよう注意しましょう」

(5)暴飲暴食
甘いもの以外でも食べ過ぎ、飲み過ぎは胃腸に負担をかけてしまいます。極端に辛いものを食べるのが好きという人もいますが、同様です。
「バーベキューに焼肉など脂っこい食事が続くのも胃腸に負担となります。極端に辛いものも胃壁などへの刺激が強すぎることがあります。自分では元気なつもりでも、内臓疲労が溜まり、体への負担となっているケースは珍しくありません」

疲労・ストレス対策のカギ「4つのR」

渡部 卓(産業カウンセラー/エグゼクティブ・コーチ)先生は、「疲労・ストレス予防や緩和のカギは、「4つのR」を組み合わせて休息を取ることです」と上手な休み方を解説しておられます。「4つのR」の詳細は次のとおりです。

◆リラクゼーション(Relaxation)

自律神経を休め、心と体のバランスを整えること。
具体例:腹式呼吸、アロマセラピー、瞑想・マインドフルネスなど……

◆レスト(Rest)

体をしっかり休めること。
具体例:睡眠、マッサージ・整体、温泉、スパなど……

◆レクリエーション(Recreation)

趣味や遊びを楽しみ、笑ったり泣いたりして感情を解放することで、心身をリフレッシュすること。
具体例:スポーツ、釣り、キャンプ、映画、カラオケ、楽器演奏など……

◆リトリート(Retreat)

日常から離れた空間に身を置き、じっくりと静養すること。
具体例:旅行、リゾート地での保養、森林浴etc……

人の心身はつながっています。体の疲れは心に、心の疲れは体にも影響を及ぼします。ですから、ただ自宅で静養して体を休めるだけでなく、レクリエーションやリトリートなどの「積極的な休み方」も取り入れ、体の疲れも心の疲れも両方解消させていくことがポイントです。

また、4Rに加えて疲労・ストレス解消のために決して外せないのが、「睡眠」です。日々のストレスや緊張からくる疲れを持ち越さないために最も重要なことは、質の高い睡眠をとることです。これを無視することはできません。

五月病で最も目立つ症状は「睡眠障害」。疲れが溜まっているのに寝付けない。GW中に睡眠のリズムが乱れたのが原因だそうです。

質の高い睡眠をとりつつ、たまった疲れ・ストレスは「4つのR」で解消することにより、しなやかな心で日々を過ごしましょう。

以上、エゴレジ研究所から、GWを効果的に休む方法についてご紹介しました。連休の長さと五月病とは関係はないでしょう。それよりも、連休中や連休後の過ごし方、が大切なのだと思われます。「変化に変化を重ねない」「リラックス時間を増やして緊張を緩める」「体を疲れさせない」過ごし方がポイントとなります。連休明けに心身の不調が起きないよう、注意しながらせっかくのリフレッシュの機会を満喫してください。できれば出勤するまでに1~2日は生活リズムの調整日を入れるといいでしょう。

 

エゴレジ研究所は,生涯発達心理学,パーソナリティ心理学,ポジティブ心理学の領域からの調査研究の成果を活かし,「エゴ・レジリエンス」をキー・コンセプトとして,いきいきと人生を楽しむことができる社会の実現に貢献することを目指しています。

あなたの元気のアドバイザー「エゴレジ研究所」
https://egoresilabo.com/

<プロフィール>

代表 小野寺敦子/ 心理学博士
目白大学 人間学部心理カウンセリング学科教授
・・・・同校 心理学研究科大学院修士課程教授
・・・・同校 心理学研究科博士後期課程教授
臨床発達心理士・三越伊勢丹アポセカリー顧問
NPO法人フレンズスクエア 代表理事

GM 畑 潮/心理学博士
GCDFキャリアカウンセラー
健康リズムカウンセラー

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