楽しくスローエイジング!

代表 小野寺敦子/ 心理学博士

目白大学 人間学部心理カウンセリング学科教授
同校 心理学研究科大学院修士課程
スレスフルな社会生活に果敢に立ち向かっている現代人は誰もがメゲたり、凹んだりします。その理由もメカニズムもさまざまです。 「エゴ・レジリエンス」とは、日々のストレスをうまく調整して元気な自分を維持する力、誰もが持っているパーソナリティの弾力的な力です。「エゴ・レジリエンス」を高めることで自我のバランスをとる力が強化され、メゲても凹んでも、すぐに立ち直ることができるのです。
エゴレジ研究所の小野寺と畑が、「エゴ・レジリエンス」関連のお役立ち情報を提供し、あなたの元気をサポートします。

GM 畑 潮/心理学博士

人によって老化速度にはかなり差があることがわかってきたようです。若いうちに自分の老化を進めるリスク因子を知って対策を始めるほど、寿命が延び、生活も豊かなものになる—これを裏付けるデータ、老化ペースを知る検査、老化を制御する技術が登場しています。そこで今回は、ゆっくりときれいに年を重ねることを目指す「スローエイジング」という考え方をご紹介します。

老化速度の違いを示したダニーデン研究

「Dunedin (ダニーデン) Study」と呼ばれる学際的健康および開発研究は、人間の健康、発達および行動についての国際的にも有名な研究です。ニュージーランドのオタゴ大学を拠点とし、米国のデューク大学のチームを含む国内および国際的な協力者のチームが取り組んでいます。

この研究は、ニュージーランドのダニーデン、クイーン・メアリー病院で、1972年4月1日~1973年3月31日の間に生まれた1037人の赤ちゃんを追跡調査(3歳、次に5、7、9、11、13、15、18、21、26、32、38歳で、そして最近では45歳で評価)しつつ、新しいテクノロジーによって可能になった研究を網羅するように絶えず進化しています。

直近に公表された26歳から45歳までの20年間を追跡した研究(2021)では、人がどんな生活を送るかによって、老化速度に大きな差が生じることを明らかにしています。

ダニーデン研究参加者のうち955人分の生体データを基に、各人の26歳から45歳までの20年間の老化度を計算し、1年の間にどのくらいのペースで生物学的年齢が進んだかを数値化。結果、老化ペースは大きなばらつきを示した。1年に0.4年しか老化していない人がいる一方、最も老化速度が速い人では年に2.44年も老化が進行していた。(データ:Nat Aging.2021 Mar;1(3):295-308.より改変)

この研究では、血糖コントロールの状況を表すHbA1c(糖化ヘモグロビン)値、心肺機能、ウエスト/ヒップ比など研究参加者の生体データ19種類から老化ペースを算出していますが、暦年齢が1年進む間に2.4年以上老化が進んでいた人から、0.4年しか進んでいなかった人までいて、大きな差がついていました。
老化ペースが速い人たちは、見た目から、歩く速度、脳および認知機能までが総じて老化していたということです。

このことから、研究メンバーの一人、オタゴ大学心理学科の Richie Poulton 教授は、
「早い時期に、老化を見つけることが、進行を遅らせたり、加齢と関係のある病気を少なくするような治療を適用するための道を開く」と述べています。

自分の老化スピードとそのペースを速めている原因がわかれば、老化コントロールのための手を打つことが可能になるかもしれません。

スローエイジングとは–

エイジングとは、一般的には時間の経過に伴う変化のこと。人に対しては老化の意味で使われています。とりわけアンチエイジングという言葉は、老化を防ぐ、老化を遅らせるという意味で使われ、広く一般に認知されていますが、最近は「スローエイジング」という考え方もあるようです。

スローエイジングとは、直訳すれば「ゆっくりとした加齢」。
老化に抗わず、老化を受け入れながら、健康な生活の継続によってゆっくりと歳を重ねましょう、というスタンスのようです。エイジングを引き起こす要因を取り除き、健康で若々しく、長い人生を送ることを目的としたライフスタイルです。

スローエイジングのポイント

基本的にはアンチエイジングと共通しているようですが、「アンチ」というほどの無理はせず、あまり負担のない程度に老化を「スロー」にしましょう、ということのようです。すぐに始められるスローエイジングスタイル8つのポイントをご紹介します。

糖を摂り過ぎない

タンパク質や脂質が糖と結びつくことで糖化が起きると、老化促進物質AGEが作りだされます。するとシワ・シミ・くすみなどが進行してしまいます。

活性酸素を抑える

活性酸素は加齢と共に増えますが、ストレス・食品添加物・喫煙・多量飲酒・紫外線などが原因でも増えてしまいます。因子を取り除き、体内で増えた活性酸素を除去していくこと(抗酸化)が老化や生活習慣病などの予防になります。

悪玉コレストロールを減らすコントロール

悪玉コレステロールの数値が高い人は、病気のリスクも高く、身体の老化スピードを早めることに。食生活を正すことで数値をコントロールしましょう。

紫外線を避ける

肌老化の原因の8割が紫外線によるものだと言われています。年間を通じて、しっかりとした紫外線対策を行うことがスローエイジングの要とも言えるでしょう。

ストレスを溜めない

精神的ストレスが起こると、脳に酸化ストレス物質が増えます。酸化ストレスが上がった状態は老化が進みやすく、健康を損なう恐れもあります。ストレスを感じたら、溜め込まずにうまく発散できる方法を見つけましょう。

筋肉を維持する

筋肉は活力エネルギーの源です。筋肉量が減ると基礎代謝がグッと落ち込み、老化を促進します。筋肉量の維持は若々しい身体を保つために不可欠です。

老廃物を溜めない

水分補給・適度な運動・毎日の入浴(シャワーだけでなく湯船につかる)によって血流を良くし、老廃物を溜めない身体づくりも若さを保つ秘訣です。

良質な睡眠

スローエイジングに絶対欠かせないのが、良質な睡眠をとることです。質の悪い睡眠では成長ホルモンが正常に分泌されません。成長ホルモンは、骨密度を増やす・肌のハリを保つ・しわを減らす・脂肪を減らすなどの働きを持ち、老化防止には必要なホルモンなのです。寝る前の飲酒を控えたり、ブルーライトを見ないようにしたり、リラックスした状態で入眠できる工夫をしてみましょう。

既にアンチエイジング意識のある人は、スローエイジングも意識されていると思いますが、あまり負担のないように、というスタンスがポイントです。負担を感じながらやると返ってストレスになって、逆効果にもなりかねません。

以上、エゴレジ研究所から、スローエイジングについてご紹介しました。より良いエイジングを目指すなら、時間の経過に伴う変化ときちんと向き合い、ポジティブに受けとめること、自分を労わりながらエイジングを楽しむ余裕を持つことが大切です。一日を笑って過ごすのもモヤモヤしながら過ごすのも、時間の経過に変わりはありません。どうせなら、楽しみながらエイジングと向き合ってみませんか?

 

エゴレジ研究所は,生涯発達心理学,パーソナリティ心理学,ポジティブ心理学の領域からの調査研究の成果を活かし,「エゴ・レジリエンス」をキー・コンセプトとして,いきいきと人生を楽しむことができる社会の実現に貢献することを目指しています。

あなたの元気のアドバイザー「エゴレジ研究所」
https://egoresilabo.com/

<プロフィール>

代表 小野寺敦子/ 心理学博士
目白大学 人間学部心理カウンセリング学科教授
・・・・同校 心理学研究科大学院修士課程教授
・・・・同校 心理学研究科博士後期課程教授
臨床発達心理士・三越伊勢丹アポセカリー顧問
NPO法人フレンズスクエア 代表理事

GM 畑 潮/心理学博士
GCDFキャリアカウンセラー
健康リズムカウンセラー

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