梅雨時の不調「梅雨だる」

代表 小野寺敦子/ 心理学博士

目白大学 人間学部心理カウンセリング学科教授
同校 心理学研究科大学院修士課程
スレスフルな社会生活に果敢に立ち向かっている現代人は誰もがメゲたり、凹んだりします。その理由もメカニズムもさまざまです。 「エゴ・レジリエンス」とは、日々のストレスをうまく調整して元気な自分を維持する力、誰もが持っているパーソナリティの弾力的な力です。「エゴ・レジリエンス」を高めることで自我のバランスをとる力が強化され、メゲても凹んでも、すぐに立ち直ることができるのです。
エゴレジ研究所の小野寺と畑が、「エゴ・レジリエンス」関連のお役立ち情報を提供し、あなたの元気をサポートします。

GM 畑 潮/心理学博士

天候や気圧の変化により、梅雨時にはだるさや疲れを感じやすくなります。この時期は、雨が降ると大雨、晴れると厳しい暑さになり、湿度と気温の上昇に“体がついていかない”という人も多いのではないでしょうか。また古傷がうずいたり、頭痛や食欲不良、疲れが取れにくいなどの体調不良を実感することもあるのではないでしょうか。今回は、梅雨時の不調「梅雨だる」についてのお話です。

梅雨ストレスによる不調と「かくれ梅雨だる」

医師や専門家、企業でつくる「ウーマンウェルネス研究会」(代表:対馬ルリ子/産婦人科医)が、首都圏在住の20~50代の男女810名を対象に行った調査では、天候ストレスを感じる季節に「梅雨(6月~7月)」を挙げた人が最も多い結果になっており、約6割(59.5%)の人が梅雨特有の不調「梅雨だる」を自覚していることがわかりました。

さらに、「梅雨だるの自覚がない」と答えた4割(40.5%)のうち、3人に1人が梅雨の時期になにかしらの不調を経験したことのある「かくれ梅雨だる」の可能性が高いことも明らかになりました。

≪かくれ梅雨だるチェック≫

□ 休日は外出しないで、家の中でダラダラと過ごすことが多い。
□ 汗をかきやすいので、入浴はシャワーですませることが多い。
□ さっぱりした食べものや冷たい飲み物をとることが多い。
□ 小雨の時はつい傘をささないため、濡れてしまうことがよくある。
□ 雨の日はついついタクシーやバスを利用することが多く、歩く距離や時間が少なくなる。

ここ2週間の中で、上の行動パターンが3つ以上該当する人は「かくれ梅雨だる」の可能性があります。

「梅雨だる」の実害

一方、梅雨の時季に体のだるさ・重さ・コリを感じる20~40代の女性会社員を対象にニチバン株式会社(本社:東京都文京区、社長:高津敏明)が行った調査では、「梅雨時季の体のだるさ・重さやコリは、仕事に影響を与えていると思いますか?」という質問に、84%が「そう思う」と回答。具体的には、6割以上が「仕事の集中力が下がる」(61%)、約3人に1人が「仕事のスピードが遅くなる」(33%)といった、実務への弊害が明らかになっています。

「梅雨だる」の症状とは?

「梅雨だる」の症状は、倦怠感、頭痛、生理痛、腰痛、肩こり、便秘や下痢などの胃腸障害、膀胱炎、肌トラブル、憂鬱感などさまざまな形であらわれ、人によっても異なります。また、普段からトラブルがでやすい箇所に症状があらわれやすくなりますが、深刻度合いが毎年同じとは限らないため、注意が必要です。

和歌山県立医科大学医学部の中田正範教授によれば、「梅雨だる」になる “一つの要因は気温と湿度。雨が降れば湿度が上昇、晴れれば気温が上昇。おまけに朝夕の気温差も大きいですよね。もう一つは気圧。梅雨時は低気圧が発達しやすく、体が膨張しがち。「自律神経はこうした外部環境に敏感に反応して、体を正常に保とうとします。しかし、交感神経が過剰に働くと、血圧が上がったり、頭痛がしたり…。逆に副交感神経が刺激されると、眠くなったり、だるさを感じたりします。また、気圧の変化で骨や気管などが圧迫されることによって、リウマチや関節痛、ぜんそくなどの症状が出ることもあります。他にも、スッキリしない天候は、日照時間も短くダラダラモードに。「不規則な生活も『自律神経の乱れ』の要因。精神的なストレス、ホルモンバランス、老化(加齢による機能の衰え)なども影響します” と説明されています。

脱! 梅雨だる 改善・予防策

自律神経を乱さない=規則正しい生活。「梅雨だる」を自覚している人は、まずは生活習慣を見直しましょう。中田正範教授は、つぎのことを推奨されています。

◆睡眠をしっかりとる

覚醒時に働くのが交感神経、休息時に作用するのが副交感神経。睡眠不足が続くと、交感神経が優位になり、怒りっぽくなったり、注意散漫になったり、判断力や記憶力にも影響します。

◆規則正しい食事

特に朝食は大事。血糖値と脂肪酸の研究で、朝食を抜いて昼食を食べると血糖値が上がりやすいという結果が出ています。血糖値の急激な上昇・下降は自律神経が乱れる要因に。

◆目覚めは太陽の光、夜は間接照明

1日は24時間ですが、体内リズムは25時間周期。朝、太陽の光を浴びることで24時間に調整されます。一方、就寝前に強い光を浴びると、睡眠の質を高める「メラトニン」の分泌が抑制されてしまいます。

◆お風呂の温度はぬるめに

昼間の活動で上昇した体温が、夜になって徐々に下がってくると眠くなります。熱いお湯は、就寝前に体温を上げてしまうので、ぬるめのお湯で。シャワーより入浴で心身をリラックス。

◆適度な運動

朝の運動がおすすめ。ランニングやウオーキングなどを10分くらいすると脳が活性化され、仕事、勉強の集中力が高まります。日常的に運動することで、暑熱馴化にもより早く順応できます。

雨が続いて気分が晴れないから何もやる気がしないだけ、と放っておくと「梅雨だる」はひどくなるばかりです。野菜を多めに摂るようにしたり、寒暖差に対応できるようにいつも羽織るものを用意しておくだけでも、「梅雨だる」の症状は和らいで、梅雨の時期も元気に過ごすことができます。梅雨は1ヶ月以上も続きます。自分でできることは何か考え、できるところから対策を始めて「梅雨だる」に負けない体を作りましょう。

以上、エゴレジ研究所から梅雨時期の不調「梅雨だる」についてご紹介しました。日常生活で上記のことを意識的に実践してみるだけでも、だるさは相当違ってきます。すべてを実践するのは大変なことだと思うので、一つずつ段階を踏んで取り組んでみるのもいい方法です。梅雨時期のだるさを解消して、健やかに過ごしていきましょう。

エゴレジ研究所は,生涯発達心理学,パーソナリティ心理学,ポジティブ心理学の領域からの調査研究の成果を活かし,「エゴ・レジリエンス」をキー・コンセプトとして,いきいきと人生を楽しむことができる社会の実現に貢献することを目指しています。

あなたの元気のアドバイザー「エゴレジ研究所」
https://egoresilabo.com/

<プロフィール>

代表 小野寺敦子/ 心理学博士
目白大学 人間学部心理カウンセリング学科教授
・・・・同校 心理学研究科大学院修士課程教授
・・・・同校 心理学研究科博士後期課程教授
臨床発達心理士・三越伊勢丹アポセカリー顧問
NPO法人フレンズスクエア 代表理事

GM 畑 潮/心理学博士
GCDFキャリアカウンセラー
健康リズムカウンセラー

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