スレスフルな社会生活に果敢に立ち向かっている現代人は誰もがメゲたり、凹んだりします。その理由もメカニズムもさまざまです。 「エゴ・レジリエンス」とは、日々のストレスをうまく調整して元気な自分を維持する力、誰もが持っているパーソナリティの弾力的な力です。「エゴ・レジリエンス」を高めることで自我のバランスをとる力が強化され、メゲても凹んでも、すぐに立ち直ることができるのです。 エゴレジ研究所の小野寺と畑が、「エゴ・レジリエンス」関連のお役立ち情報を提供し、あなたの元気をサポートします。 |
外界の暑さに対して体温調節のために自律神経が酷使されるため、脳の温度が上がりやすくなります。加えて、集中して頭を使う時や、ストレスがかかる時などは、脳が「オーバーヒート」して、のぼせや疲労などにつながりやすくなるようです。そこで今回は、暑さで脳を疲れさせないためのポイント、脳冷却と水のメンタル効果についてのお話です。
「選択的脳冷却機構」と暑さ対策
脳はとても暑さに弱い部位です。脳の温度が40・5℃を超えてしまうと、脳を構成するたんぱく質が変異してしまい、脳は機能障害を起こしてしまいます。それを避けるために、本来脳には過熱を保護するためのシステムが備わっています。これを「選択的脳冷却機構」と言います。
脳冷却機構は、高体温時に体温とは独立して脳を冷却する機構です。ヒトでは、鼻呼吸で冷たい空気を通過させることによって、顔面や頭皮の血液が冷やされます。熱は温度の高い側から低い側に移動しますから、鼻腔に脳温よりも低い空気が流れると脳は冷却されることになります。これが脳の空冷システムです。
鼻腔の奥には脳と繋がっている毛細血管がたくさん通っていて、鼻呼吸で冷たい空気を通過させることによって、脳を冷やすことができます。
特に夏場に運動をして体温が上がり、さらにマスクをしたままでいると、「選択的脳冷却機構」が有効に働かなくなり、頭がぼーっとしたり、頭痛を起こすなど熱中症のリスクも高まります。
暑さで脳を疲れさせないためのポイントは、人のいないところではマスクを外し、涼しい空気を吸う。また、マスクを着用しているときには、いつもの夏よりエアコンの温度設定を少し下げ、脳のオーバーヒートを防ぐなどの対策をしましょう。
脳にとっての最適温度、つまり脳の負荷にならずに機能を発揮しやすい室内環境は22~24度といわれています。省エネ推奨温度は28度とされていますが、脳にとってあまりいい環境とはいえません。室温と作業効率を調べる研究では、気温が25度以上になると、1度上がるごとにパフォーマンスが2%下がるという報告もあります。
日本人は、欧米諸国に比べて筋肉量の少ない人が多く、体が発熱しにくいことから寒がりだといわれています。特に女性にその傾向が強く、エアコンが苦手だという人も多いようです。しかし、体に合わせてエアコンの設定温度を上げるよりも、脳に合わせて室温は涼しくしておき、寒さを感じたら着る服を増やして体を温めるようにしたほうが、脳のオーバーヒートは予防できます。
長時間同じ姿勢を続けると、血液の流れが悪くなり、自律神経に負荷がかかります。1時間に1回程度は動くようにしましょう。水分をこまめに補給して血液の流れを促進し、いつもよりトイレに行く頻度を上げて立ち上がる機会を増やすことは、脳のためにもいい方法です。
水のメンタル効果
イースト・ロンドン大学とウェストミンスター大学の研究者たちは、知的作業に集中する前に約0.5㍑の水を飲んだ人は、飲まなかった人と比べて、14%反応時間が速くなることを発見しました。科学誌『Frontiers in Human Neuroscience』に掲載され、『テレグラフ』紙がこれを報じています。
水分不足の脳への影響は、ホルモンの不均衡によるものです。そして、水がこうした欠如を制御することができると多くの研究が仮説をたてています。
私たちの身体の約60%~70%は水分でできています。水は新陳代謝を促進させ、細胞に栄養素を運び、老廃物を排出、さらに体温を調節するなど、さまざまな働きを担っています。正しく水分を補給することで、「代謝UP」や「肌の乾燥予防」など、美容や健康にも良い影響を与えてくれますが、メンタルに与える影響も見逃せません。
1.不安やイライラ感が起こることを防ぎやすくする
水分不足に陥ると、身体内での解毒作用が上手くいかず、肝臓により負担がかかり、肝臓がより多くの「トリプトファン」という必須アミノ酸を消費してしまいます。
トリプトファンは、感情や精神面に作用する「セロトニン」というホルモンの原料になるため、トリプトファンが不足すると、気分が落ち込んだり、不安やイライラ感が起こりやすくなるのです。
2.脳内でのエネルギー不足を防ぎやすくする
水をたっぷり摂ることで、脳内でエネルギーが生成されます。
エネルギーが不足してしまうと恐怖感や心配、不安感、ストレスや情緒障害などを引き起こしやすくなるため、エネルギーをつくり出すために水分補給は欠かせません。
3.人体への大きなストレスを防ぎやすくする
肉体的なストレスであれ精神的なストレスであれ、ストレスに耐える状況になった時、水をたっぷり飲むことで、ストレスのネガティブな身体的・精神的影響を最小限に留める働きがあります。
4.アクアセラピー効果がある
水を身近に感じ、触れたり、眺めたり、感じたりすることで五感を刺激し、心が癒されることをアクアセラピー効果といいます。水を飲んで直接体内にとり入れることもリラックス効果につながり、心身ともに落ち着いた状態になるのです。また、ミネラルが豊富に含まれた水を摂るとマグネシウムやカルシウムが共に働いて、疲れた体や緊張状態にある脳を休ませてくれます。
5.自律神経のバランスを整える
お水を飲んで老廃物を体の外に出し、基礎代謝を上げることにより新陳代謝もよくなります。すると自律神経が整い気持ちも穏やかになります。常日頃から意識的に水を摂取することで、日常的に自律神経のバランスを整えておくことができます。さらに、積極的に水を飲み、副交感神経を刺激することで健康な状態をキープしやすくなります。
水分補給の目安
個人差はありますが、一日に体重×0.3が目安です。体重50キログラムなら1.5リットルぐらいを、食事以外の食間に飲むように心がけてください。
水分補給が目的なので、カフェインを含まないものがおすすめです。カフェインは利尿作用があり、自律神経の活性化にもつながります。寝る前に飲むと不眠の原因にもなるので、飲む時間帯にも気をつけましょう。コーヒーや緑茶などカフェインを含む飲み物は、リラックス効果が高いので、仕事の合間など、昼間リフレッシュしたい時がいいかもしれません。
また、水は一気に飲むと、吸収されず、すぐに排泄されます。お水は一気に飲まず、1日5~8回程度にわけて飲むことで体内の水分を流れやすくしてくれます。飲むタイミングを決め、1回にコップ一杯程度をゆっくりこまめに飲むのが望ましいようです。
以上、エゴレジ研究所から、暑さで脳を疲れさせないための脳冷却と水のメンタル効果についてご紹介しました。加齢とともに自律神経の機能は衰えてしまうので、年を重ねるほど脳への負荷は増えやすくなります。水分補給をする、水を少しずつ飲むなど、ちょっと意識することで、細胞は活発さを維持し、ストレスや不安感を抑えるような良いバランスを保つことができます。脳が慢性的にオーバーヒートする状態が続かないように、できるだけ負荷をかけない生活を心がけたいものです。
エゴレジ研究所は,生涯発達心理学,パーソナリティ心理学,ポジティブ心理学の領域からの調査研究の成果を活かし,「エゴ・レジリエンス」をキー・コンセプトとして,いきいきと人生を楽しむことができる社会の実現に貢献することを目指しています。
あなたの元気のアドバイザー「エゴレジ研究所」
https://egoresilabo.com/
<プロフィール>
代表 小野寺敦子/ 心理学博士
目白大学 人間学部心理カウンセリング学科教授 |
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GM 畑 潮/心理学博士 GCDFキャリアカウンセラー 健康リズムカウンセラー |
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