年末年始の健康リスク!

代表 小野寺敦子/ 心理学博士

目白大学 人間学部心理カウンセリング学科教授
同校 心理学研究科大学院修士課程
スレスフルな社会生活に果敢に立ち向かっている現代人は誰もがメゲたり、凹んだりします。その理由もメカニズムもさまざまです。 「エゴ・レジリエンス」とは、日々のストレスをうまく調整して元気な自分を維持する力、誰もが持っているパーソナリティの弾力的な力です。「エゴ・レジリエンス」を高めることで自我のバランスをとる力が強化され、メゲても凹んでも、すぐに立ち直ることができるのです。
エゴレジ研究所の小野寺と畑が、「エゴ・レジリエンス」関連のお役立ち情報を提供し、あなたの元気をサポートします。

GM 畑 潮/心理学博士

12~2月の極寒期は、私たちにとって「寒さ」という環境ストレスがマックスにかかっているシーズンです。自律神経系は、外界の寒さに対して体温や血圧を一定に保つためにフル活動となり大きな負担がかかっています。年末年始はなんとなく生活が乱れやすいと感じている方も多いと思いますが、実際に「正月病」という言葉が出てきたり、正月太りを経験する人は世の中の7割、などのデータまで出てくる時期のお休みなのです。そこで、今回は年末年始の健康リスクと健康管理についてのお話です。

年末年始に潜む健康リスク

日本人の働く人の多くは、正月休みが入るために年末に仕事の日程が過密になりやすいうえ、クリスマスや大掃除などのイベントも増えます。そのため正月から睡眠不足や疲労をためる人が多いのです。そうした疲労状態のまま、わずかの休みに感染予防対策をしつつ、人混みを縫って帰省したり、久しぶりに会う家族や旧友と夜遅くまで飲酒したり、寒空の下で初詣に出かけたりすることで「睡眠不足」や「疲れ」をさらに重ねてしまいます。

年末年始のお休みは限られていて、ごく一部を除き1月4日や5日が仕事初めという人がほとんどです。その結果、旧年の疲れを引きずったまま年始の仕事がスタートし、3月の決算期に向けて仕事がどんどん過密になっていく……というふうに、さらなる疲労を加速する流れに引き込まれてしまうのです。

疲労が蓄積しきった状態のところに、インフルエンザやノロウイルスの感染が重なって体調を大きく崩したり(肉体的ストレス)、取引先や仕事上でのトラブルで大きな精神的ストレスがかかったりしたときが非常に危険です。本来ならばストレスをはね返すことができる人でも、体力が落ちて過労状態になっているとストレス耐性が落ちてしまいます。

潜在的な過労状態にあるところに、肉体的な環境ストレスに加え、精神的ストレスがガツンとかかることを契機に、本格的に自律神経系バランスが崩れてしまい、不眠、胃腸障害(胃もたれ、腹痛、下痢、便秘)、めまい、食欲不振、ひどい倦怠(けんたい)感などが出現して、うつ状態に移行していくことも少なくありません。

誰にもある年末年始の健康のワナ

年末年始は「いつもと違った過ごし方」をしてしまう時期で、多くの人が健康リスクと隣り合わせです。

睡眠時間帯がズレて、生活リズムが崩れる
食生活が乱れて体調がイマイチになる
DVDやゲーム三昧、YouTube漬けで疲れる

そして今年もコロナ禍のお正月であまり外出もできないため、家族で顔を合わせ続けるストレスや、一人暮らしの孤独から来るストレスなども強敵となりそうです。

このワナに陥るとこんな影響が出やすいと思います。

  • 仕事始めが近づくにつれて、気分が重たくなる
  • 年末年始に生活リズムを崩すようなことをして過ごした自分を責める
  • 年始に朝起きられない、出社できない
  • どうにか出社するも、メンタルダウン気味でパフォーマンスが発揮できない

「睡眠」「運動」「食事」「ストレスケア」

健康リスクを回避し心身共に健康でいるために、「睡眠」「運動」「食事」「ストレスケア」は非常に重要です。

💡睡眠リズムは普段と近いところをキープ
生活リズムを崩れるようでも、前後1~2時間までにしておくとバランスを取り戻せ、体内時計が狂うのを防ぎます
※例えば—
普段の起床が6時半なら、休日も8時半までには起きる。
睡眠時間も同様に、毎日23時就寝の場合、21時~25時までに寝る。
また、起床後、カーテンを開けて陽の光を浴びることも大事です。

💡体を動かす
体を使わないとアタマもココロも緩み過ぎてしまい、年始以降とのギャップで辛くなりがちです。少しは外に出たり、ストレッチをしたり、ある程度の刺激を与えておくことで、元に戻りやすくなります。運動や身体活動は自然なストレス解消法になります。最低1日1回は身体を動かす(掃除や家事、散歩、スクワット、ラジオ体操など)ことや、お風呂上りや寝る前に、筋肉をぐ~っと伸ばすストレッチやヨガを行うのもいいでしょう。

💡朝食を抜かない
朝食をしっかりとることで、その日の生活リズムが整い、3食の食欲をコントロールできるようになります。逆に朝食を抜いて空腹でいると、反動で食べ過ぎてしまうおそれがあります。なるべく1日に摂取するカロリーの3分の1は朝食でとるように工夫しましょう。どうしても食べられないときは、白湯を飲むだけでもOK。

💡ストレスケア
自分の好きなことを何も気にせずやってみる、声を発するコミュニケーション(電話やオンライン通話)の機会をつくるなど、ストレス発散の工夫をしましょう。
また、テレビやインターネットのニュース、SNSサイトなど、たくさんの情報から距離を置くことも有効です。

💡しっかりと休養

せっかくのお休みなので好きなことに没頭する人も多いでしょう。また感染予防対策をしつつ人と会うことも大事です。ただ好きなことをやり過ぎたり、人混みの中で人と会ってグッタリ疲れたりすると、休み明けにそれを後悔することになります。まずお休みの予定に「ここは休養」と入れておきましょう。自分のペースを崩してしまう手前で止めて、休養もしっかり取ることで、体調管理ができます。

💡自分の時間をとらせてもらう
家族に合わせて疲れそうなときは、5分でも10分でもいいので自分の時間を取らせてもらいましょう。と同時に、他の家族も各々の時間をとれるように工夫すると互いのストレス回避になるでしょう。

💡出社日の2日前からは体を慣らす
2日前から起床時間を出社日と同じ時間に戻すようにしておくと出社当日もスムーズで、反省したり自己嫌悪に陥ったりせずに済みます。

お休みの過ごし方によって、リフレッシュして気持ちよく働ける状態につなげることもできるし、グダグダになって自分を責めて最悪のメンタル状態をつくることにもなります。24時間は自分でマネジメントするもので、睡眠や活動のリズムは自分自身で作っていくものです。

健康に気を遣っていると、かえってイライラしたり、むしろストレスになってしまうという声もあると思いますが、年末年始はそんな完璧に健康な生活を送れる人は少ないものです。

「やらなければ!」と気負うことなく、「健康に気を遣おうとしてる自分はすごい!えらい!」という軽い気持ちで過ごせばストレスにならずに取り組めます。ご自身の無理ない範囲で気楽に、年末年始の健康的な生活のコツをちょっと試してみてしてください。

以上、エゴレジ研究所から、年末年始の健康リスクと健康管理についてのお話をご紹介しました。

年末年始は、二十四節季の冬至(12/22~1/5)に該当しています。冬至は別名「一陽来復」の日ともいいます。中国や日本では、冬至は太陽の力が一番弱まった日であり、この日を境に再び力が甦ってくるという前向きな意味合いを含んだ言葉なのです。今年は12月22日を境に太陽の気が勢いを増してきますので、悪いことが続いた後に幸運に向かうという意味があります。日頃のさまざまな生活ストレスから離れ、休養をとることで心身のバランスを取り戻すことができるお休みです。身体も心も健康で過ごす工夫をして、楽しい年末年始を過ごしましょう。

どうぞ心身共に健康でよいお年をお迎えください。

エゴレジ研究所は,生涯発達心理学,パーソナリティ心理学,ポジティブ心理学の領域からの調査研究の成果を活かし,「エゴ・レジリエンス」をキー・コンセプトとして,いきいきと人生を楽しむことができる社会の実現に貢献することを目指しています。

あなたの元気のアドバイザー「エゴレジ研究所」
https://egoresilabo.com/

<プロフィール>

代表 小野寺敦子/ 心理学博士
目白大学 人間学部心理カウンセリング学科教授
・・・・同校 心理学研究科大学院修士課程教授
・・・・同校 心理学研究科博士後期課程教授
臨床発達心理士・三越伊勢丹アポセカリー顧問
NPO法人フレンズスクエア 代表理事

GM 畑 潮/心理学博士
GCDFキャリアカウンセラー
健康リズムカウンセラー

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