| スレスフルな社会生活に果敢に立ち向かっている現代人は誰もがメゲたり、凹んだりします。その理由もメカニズムもさまざまです。 「エゴ・レジリエンス」とは、日々のストレスをうまく調整して元気な自分を維持する力、誰もが持っているパーソナリティの弾力的な力です。「エゴ・レジリエンス」を高めることで自我のバランスをとる力が強化され、メゲても凹んでも、すぐに立ち直ることができるのです。 エゴレジ研究所の小野寺と畑が、「エゴ・レジリエンス」関連のお役立ち情報を提供し、あなたの元気をサポートします。 |
年の瀬になると「なぜか気分が落ち着かない」「理由ははっきりしないけれど、気が重い」。そんな感覚を抱く大人世代は少なくありません。どうもこの時期特有の心の動きが関係している可能性があります。そこで今回は、年の瀬の気ぜわしさとメンタルケアについてのお話です。

「年の瀬」の基本的な意味
「年の瀬」とは、年末の差し迫った、慌ただしい時期を指す言葉です。「年が(川の)瀬のように流れ着く先=終わり」といったイメージです。
なぜ年末を「瀬」と呼ぶのでしょうか。これにはいくつかの説があり、どれも年末の様子をうまく表しています。
説①:川の「瀬」のように慌ただしいから
最も有力な説の一つ。川の流れが速く、浅くなっている場所を「瀬」と呼びます。年末の、時間が慌ただしく過ぎていく様子や、世間がせかせかしている様子を、この川の瀬に例えたという説です。
説②:「世(せ)わしない」が転じたから
年末は誰もが忙しく、「世(よ)の中が騒がしい」=「世騒(せそう)」。これが転じて「世(せ)わしない」となり、その「せ」に「瀬」の字を当てたのではないか、という説です。
説③:支払いが差し迫る厳しさから
昔は、年末に「ツケ(掛け売り)」の支払いをまとめて行う習慣がありました。支払いができなければ年を越せない、という厳しい状況を、流れが速く渡るのが困難な「瀬」に例えた、という説です。まさに「差し迫った」状況です。
どの説が正しい、というものではありません。ですが、どの説も「年末の慌ただしさ」や「切迫感」を「瀬」という言葉で表現しているのは共通しています。「年の瀬」を使い始める時期に厳密なルールはありませんが、一般的には12月中旬(15日頃)から下旬(大晦日)までに使われることが多いようです。

同じように年末を表す言葉に「年の暮れ」がありますが、コトバノモリのサイトによると、微妙にニュアンスが異なるようです。
●年の暮れ
「年が暮れようとしている頃」という意味で、12月に入ってから年末まで幅広く使えます。「年の瀬」よりも少しゆったりとした、時間が過ぎていく様子を表すことが多いです。
●年の瀬
「年末が差し迫った時期」という意味。前述のとおり、慌ただしさや「もうすぐ年が終わってしまう」という切迫感を含みます。
(コトバノモリ https://kotoba-no-mori.net/toshi-no-se-meaning-origin/)

なぜ年の瀬は気ぜわしいのか
年の瀬が気ぜわしいのは、仕事や家庭の「締め切り」や「行事」が集中し、寒さや日照不足による自律神経の乱れも重なるためです。
●タスクの集中
年末は仕事の締め切り、家庭の片付け、年賀状やイベント準備など「やること」が一気に押し寄せます。
●人間関係の負荷
親戚や家族との集まり、忘年会などで気遣いが増え、心理的に疲れやすいのです。
●季節要因
1)日照時間の減少でセロトニン分泌が低下し、気分の落ち込みや不安が増え傾向があります。
2)メラトニンの乱れ → 睡眠リズムが崩れやすく、疲労感が蓄積。
3)寒さ → 自律神経が緊張状態になり、心身が休まりにくい。
●心理的要因
「今年の総括」や「来年の準備」といった認知的負荷が増え、心が落ち着きにくくなります。
年の瀬のメンタルケアのポイント
年末が近づくにつれ、仕事では調整や締めが増え、プライベートでも行事や準備ごとが重なります。この時期は「きちんと終わらせたい」「滞りなく迎えたい」と、無意識に気を張り続けている状態になりがち。
その緊張が続いたあと、ふとしたタイミングで緩むと、疲れや気分の落ち込みとして表に出やすくなります。これは気持ちが弱くなったわけではなく、ここまで頑張ってきた心が見せる自然な反応です。大人世代は、仕事や家庭など背負ってきたものが多い分、「もっとできたはず」「このままでいいのかな」と感じやすく、心が揺れやすくなります。
年の瀬は「忙しさ+季節要因」が重なる特別な時期。だからこそ、小さな休息とセルフケアを意識することが、心を守る最大のポイントです。
●力を抜くケア
「頑張る」より「休む」ことを意識。自分を責めない視点を持つ。
●光を浴びる
朝の散歩や窓際での日光浴でセロトニン分泌を促す。
●睡眠リズムを整える
就寝・起床時間を一定にし、メラトニンの働きを安定させる。
●小さな楽しみを取り入れる
好きな音楽や温かい飲み物など「心地よい習慣」を意識的に増やす。
●人間関係の距離感を調整
無理に参加せず、必要なら「断る勇気」を持つ。
●体を温める
入浴や温かい食事で副交感神経を優位にし、心を落ち着ける。
年末年始が近づくと、多くの人が自然と一年を振り返ります。「思うようにいかなかったこと」「できなかったこと」に意識が向きやすく、気づかないうちに自分に厳しくなってしまうのもこの時期の特徴です。気分が沈んだとき、無理に前向きになろうとする必要はありません。
この時期は、走り続けるよりも、少しずつペースを落として心を整えるタイミング。
予定を詰め込みすぎない、何もしない時間を意識的につくる、今年できたことを一つだけ思い出す。そんな小さな行動でも、心の負担は軽くなります。
年越しを前に感じるこの揺らぎは、次の時間へ向かうための切り替えサイン。立ち止まることも、前に進む準備のひとつです。

以上、エゴレジ研究所から年の瀬の気忙しさとメンタルケアについてご紹介しました。年の瀬に気分が沈みやすくなるのは、特別なことではありません。それだけ、日々を丁寧に積み重ねてきた証でもあります。少し肩の力を抜き、自分のペースを取り戻すことで、新しい年を穏やかな気持ちで迎えやすくなるはずです。
エゴレジ研究所は,生涯発達心理学,パーソナリティ心理学,ポジティブ心理学の領域からの調査研究の成果を活かし,「エゴ・レジリエンス」をキー・コンセプトとして,いきいきと人生を楽しむことができる社会の実現に貢献することを目指しています。
あなたの元気のアドバイザー「エゴレジ研究所」
https://egoresilabo.com/

<プロフィール>
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代表 小野寺敦子/ 心理学博士
目白大学 人間学部心理カウンセリング学科教授
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GM 畑 潮/心理学博士 GCDFキャリアカウンセラー 健康リズムカウンセラー |
















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