1)「トイレが近い」と感じる変化
こんにちは。骨盤底に特化した理学療法士として、女性のフェムゾーン(デリケートゾーンと言われていた部分)のケアやトレーニングに携わっている笹岡愛加です。
最近、「トイレが近くなった気がする」と感じることはありませんか。
外出先でトイレの場所を気にするようになったり、会議や移動中に「大丈夫かな」と不安になったり、映画館で映画を見ることができるか心配になったり、夜中に何度か目が覚めてしまったり…
こうした変化の背景には、“身体の変化”が関係していることがあります。

2)身体の変化と頻尿の関係
年齢を重ねることで、特に更年期の時期に女性ホルモンの量やバランスに変化が生じてきます。この変化は、膀胱や尿道まわりの状態、そして尿を溜めたり出したりする排泄のコントロールにも影響を与えます。
つまり、「トイレが近い」という感覚は、単なる年齢の問題ではなく、身体の仕組みの変化として起きていることも少なくありません。

3)身体の中で起きていること
では、どのようなことが起きているのでしょうか。
大きく関係しているのは、「女性ホルモン」と「骨盤底筋」です。
女性ホルモンが低下すると、尿道や腟まわりが乾燥しやすくなり、刺激に対して敏感になりやすくなります。
その結果、少しの尿量でも「トイレに行きたい」と感じやすくなることがあります。
実は、尿道や腟のまわりは“粘膜”でできています。
年齢とともに、目が乾きやすくなったり、口が乾きやすくなったりするように、フェムゾーンも同じように乾燥しやすくなります。
乾燥している状態では、ちょっとした刺激にも敏感になり、違和感や不快感を感じやすくなることもあります。場合によっては、かゆみや膀胱炎を繰り返すなんてことも!
こうした変化は、決して特別なことではありません。
また、骨盤の底で膀胱を支えている「骨盤底筋」も、更年期に変化しやすい筋肉のひとつです。骨盤底筋は、尿をためる・我慢する・排出するという働きに関わる、とても重要な筋肉です。
この筋肉がうまく働かなくなると、膀胱のコントロールが難しくなり、頻尿や尿漏れにつながることがあります。

4)今日からできる対策
では、どのようなことを意識すればよいのでしょうか。
今日から取り入れていただきたいポイントは、2つです。
1つ目は、「骨盤底筋を意識すること」です。
骨盤底筋とは、骨盤の底にある筋肉。自転車に乗ったときにサドルが当たる部分をイメージしていただければと思います。
そこを尿や便を我慢するイメージで締めたりゆるめたりする運動が骨盤底筋トレーニングです。ただ、筋力をつけたい気持ちが強すぎて、全身に力が入ってしまう方が多く、そのやり方では意外と骨盤底筋が動いていないこともよくあります。
一生懸命締めたときに、本当に骨盤底筋が締まっているのか。息を止めたり、お腹や内ももに力が入っていたりして「やったつもり」になっていないかを見極めることも大事です。
トレーニングを指導していて「これくらいでいいの?」とおっしゃる方がほとんどです!
そして、「締める」だけでなく「ゆるめる」ことも同じくらい大切です。
まずは椅子に座って、座面に触れているフェムゾーンに意識を向けます。そしてそっと息を吐きながら軽くファスナーを引き上げるように締めてみてください。そして、締めるのをやめて、ゆっくり緩めます。引きあがった部分がゆっくり戻り、フェムゾーンが座面に触れるのを感じてください。
身体に力が入らないように、まずは軽めのイメージで骨盤底筋の動きを感じてみましょう。
この骨盤底筋を“締める・ゆるめる”の繰り返しが、筋肉の本来の働きを取り戻す助けになります。特別な時間をとらなくても、日常の中で歯磨きしているときや電車や信号待ちしているときなど、ちょっとしたタイミングで少し意識を向けることで、トレーニングはいつでも可能です。

そして、トレーニングだけでなく、実際に意識して使うことも大事です。
トイレに行きたい感覚を我慢していると尿意が楽になった経験はありませんか?
膀胱に余裕があれば、我慢することで尿意が落ち着くことがあります。膀胱に尿がしっかり溜まっていないのに何度もトイレに行くと、膀胱が膨らむ機会が減ってしまうことで尿をためにくくなり、頻尿が進みやすくなります。
無理して我慢したり、しばらくトイレに行けない状況で我慢する必要はないですが、余裕のあるタイミングでは膀胱に尿を「溜めて出す」ことを少し意識してみてください。
2つ目は、「乾燥や冷えを防ぐこと」です。
特に腰から足にかけて冷やさないように、これからの時期は冷房対策もしましょう。
保湿はお風呂上りが清潔ですぐにケアしやすい時間帯です。専用の保湿剤で優しくマッサージしながらフェムゾーンを保湿しましょう。できればソープも専用のソープがいいですね。乾燥を感じていない方でも、保湿ケアでいい変化を感じることもよくあります。

ただし、最近は商品がたくさんありますので、かゆみを感じるものは使用を控えてください。お顔の化粧品が人によって合う・合わないがあるように、ほとんどの人が大丈夫でも刺激に弱い方は商品によってはかゆみを感じることもあります。
※前回の神楽坂女子ランチ会で、おすすめオイルを協賛品として提供させていただきました!
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「トイレが近い」という変化は、身体からのサインのひとつでもあります。
年齢のせい、と片付けてしまうのではなく、身体の変化として理解し、向き合うことで対策しやすくなります。
変化を止めることはできなくても、遅らせることや整えていくことはできます。今からでも、遅くはありません。
少し意識しても症状が良くならない場合や、生活に支障があるほど困っている場合には、女性泌尿器科などを受診してみてくださいね。
次回は“生活習慣との関係”についてもお伝えします。
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プロフィール
irodoru+
代表:笹岡愛加(理学療法士)
理学療法士として総合病院勤務ののち、理学療法士養成の専門学校講師を勤める。
2014年にフランスで骨盤底リハビリテーションを学び、2018年にはアメリカの理学療法士協会の骨盤底リハビリテーションの研修を受講。
2019年より横浜の女性医療クリニックLUNAネクストステージに勤務し、骨盤底に特化したリハビリを行っている。6000名以上の尿失禁や骨盤臓器脱、性交渉ができない方のリハビリを実施。2024年より個人事業としても活動を開始し、10年後の自分に感謝されるフェムケアセミナーなど行っている。
NHK「あさイチ」などメディア出演歴あり。雑誌記事の監修なども多数行っている。
Instagram https://www.instagram.com/aika_irodoru/















