今回は、最近よく目にする機会のある中国不動産バブルについてコラムにしようと思います。
中国の大手不動産開発会社「恒大集団」は17日、米国ニューヨークの連邦破産裁判所に破産法第15章の適用を申請しました。
銀行融資や債務発行などで多額を資金調達してきた恒大グループですが、約1年半前にデフォルト(債務不履行)に陥り、今年7月に発表した2022年末の負債額は2兆4,374億元(約49兆円)に上り、債務超過、経営危機に陥っていました。市場に衝撃が走る中、翌日の18日に声明を発表し、今回の措置は破産の申請ではなく、海外における債務再編を進めるための正常な手続きの一部であると主張しています。
政府による不動産業界の資金調達の締め付け、ゼロコロナ政策による国内の不動産市場の冷え込みが重なり、中国で多数の大手不動産開発企業が債務不履行の危機に瀕しています。
中国の不動産セクターで、債務不履行のリスクが急上昇しており、中国最大手の不動産開発デベロッパー、碧桂園の資金繰りが想定以上にひっ迫しているそうです。
8月7日の社債利払いを履行できず、デフォルト回避のための猶予期間が30日を切りました。この社債の償還期限は9月2日で、元本残高は39億元(約780億円)とのことです。
これを受けて碧桂園は13日、自らが上場する香港証券取引所への届け出で、関連会社が発行したオンショア社債11本の取引を14日から停止すると公表しています。
この経済危機が引き起こした最も重大な社会問題のひとつが未完成住宅問題です。中国では先述のとおり、多くの物件が竣工前に販売されていました。購入者は頭金を支払ったあと、住む前からローンの支払を開始するのが一般的でした。
しかし、規制強化により開発企業が資金繰り難に陥ってくると、代金支払いへの不安から建設会社が工事を中止するケースが増加してきました。その結果、物件の引き渡しの見通しが立たなくなる一方、ローンの支払だけは要求され続けるという、購入者にとっては受け入れ難い状況が生まれるようになります。
こうした問題に対する購入者達の抗議として、住宅ローンの返済拒否を宣言する動きが全国に広がっていきました。支払拒否の対象となるローンの総額は約3,700億ドル(約49兆円)という試算もあり、これらが不良債権化するリスクが懸念されています。
また住宅市場においても、新築販売の落ち込み(2022年1〜10月の住宅販売額28.2%減、前年同期比)という形で影響が顕著に現れています。
不動産業界は、中国における個人消費、工業生産、設備投資など広範な分野に組み込まれており、仮に不動産バブルが崩壊するような事態になれば、それが局地的なものであったとしても、中国経済全体に影響が出てくると思われます。
中国当局も事態を重く見ており、2022年の後半にかけて不動産市場への救済案を次々と発表するなど、事態の打開に動いています。トップダウンで強力な施策を推進できるのが中国の強みなので、バブル崩壊しない程度に踏みとどまるのではないかという見方もあります。
ただ、上記で説明しましたが、実体経済面での影響は、大きいと思いますので、不動産のGDPに占める比率は、関連産業を含めた約3割とも言われています。不動産側の開発意欲と需要側の買う意欲が、ともに減退しているので、低迷が続いています。中国の景気懸念が強まり、投資家のリスク回避が始まっていますので、何らかの支援策が早急に打ち出される可能性はありますが、中国当局の対応が遅れるリスクもありますので、市場では、チャイナリスクとして大きく警戒される可能性が出て来ていると思います。
美容室勤務、百貨店勤務を経て独立し、通信業、保険業、海外積立等に携わり、現在は自身で暗号通貨やFX、gold、カジノ等様々なジャンルに投資をしています。 |
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