第11回 自分へのご褒美ワイン

鈴木留美
スペインワイン専門輸入販売の株式会社エスタリコ・ジャパン(https://www.estarico-japan.com/)のセールスマネージャー。
都内ホテル勤務中の出会いに導かれ、スペインワイン輸入販売の世界へ関わることとなる。「笑顔は幸せを呼ぶ」と「明日は明日の風が吹く」がモットーです。
好きが原動力で、いつかスペインで暮らすことを目標に現在日本語教師の資格取得に向け奮闘中。

自分へご褒美あげていますか?

ストレスも多いこの頃、お給料日や良いことがあった日などにケーキを買ってみたり、欲しかった靴を買ったり、コスメを買われる方もいるかな。ご褒美にも色々なものがあると思います。そしてそれがワインだった場合、その日に飲むのか、大切な日にとっておくのかもみなさま次第ですね。
食いしん坊の私は消え物にお金を使うことが多いのですがみなさんはどうですか?
そこで今回はがんばった自分へのご褒美にするならこんなワイン!というものをおススメします。

ご褒美ワインだからといって何万もするものを買う必要もないとは思いますが、デイリーなものよりは贅沢な気分を味わえたらいいなと思っています。
そこで今回はスペインワインの銘醸地の一つと言われているリベラデルドゥエロの赤ワインをご紹介します。個人的な好みもあり、このコラムに度々登場している原産地呼称ですね。

銘醸地のおへそロアデドゥエロ(Roa de Duero)

リベラデルドゥエロの中で中心地と言われているところがあります。毎度地形や地理のお話になりますが、学校の授業でメセタって習いませんでしたか?スペインのあるイベリア半島の中央付近に広く乾燥した地域のことを言うのですが、このあたりにある銘醸地です。

ロア自体はブルゴス県(Burgos)にあります。ドゥエロ川の渓谷を臨む丘の上にロアはあります。2500年以上の歴史を持ち、今もなおリベラデルドゥエロの中心であり続けるこの街は、文化の中心がワインに関わるものです。人口2,500人。家族や親せきのうちの誰かはきっとワインに関わっているかもしれません。
私もまだ行ったことのない聖地ですが、アフターコロナには最低2週間は滞在したいと考えている所です。他のヨーロッパもそうなのでしょうが、スペインは私の気持ちを捉えて離すことない土地です。

ご紹介するワインのワイナリーもこのおへそにほど近いアランダデルドゥエロに位置しています。スペインワインをお好きな方は聞いたことがある地名かもしれません。
ワイナリーの名前はヴィーニャ・ヴィラノ(Viña Vilano)。古いブドウの樹を大切にしている比較的大きなワイナリーです。主な商品のブドウの銘柄はみなさまご存じテンプラニジョ(Tempranillo)です。その中でも樹齢100年越えのブドウの果実のみを使った赤ワイン、テラ・インコグニタ(Terra Incógnita)をご紹介いたします。樹齢100年!これは特別感ありますよね!!

樹齢100年だと何がいいの?

若い方が良くない?何で古い方がいいの?と思いませんか?
私もこのお仕事を始めたばかりの頃、何が違うんでしょう?どこがいいんでしょう?と思いました。というかよく100年も頑張っているなとか考えてしまいました。単純に考えてもなる果実が少なそうだし・・・

でもそうなんです。この少ない果実に実は価値がありました。
実が少ないということ、非常に乾いた土地であること、これらは実っている果実のクオリティーを上げているのです。
どういうこと?と思われますか?ガーデニングをされる方はピンと来たのではないでしょうか?わざわざ剪定をしてきれいな花を咲かせるような作業をしますよね。100年も生きているとブドウの果実はもともと少なくなっていますが、その一つ一つがギュッと詰まった実になっているのです。

そしてそのブドウの果実を丁寧に手摘みで収穫します。さらにはそれを夜中にすたりするのです。昼間の暑い時間に収穫すると収穫後の果実の傷みも早いからです。こうして丹精込めて育てたブドウが今度は醸造家の手腕と愛情によって深みのある美味しいワインへと変貌していきます。

テラ・インコグニタ

造り手さんやワイナリーのワインへの思いが詰まったネーミング、テラ・インコグニタ。
この意味は“まだ見ぬ世界”直訳すると未開の地となりますが、このワインを飲むことで未知の世界を感じてほしいという意味合いと解釈しています。そして、その香り、味わい、後味に至るまでを楽しんでほしいという醸造家の思いを感じられるような仕上がりのワインだと思っていますので、自信をもってお薦めできます。

樹齢100年以上のブドウの樹から採れた100%テンプラニジョのワイン。フレンチオークの樽で22か月熟成の後、さらにボトル内で12ヶ月の熟成した赤ワイン。とてもふくよかでほんのりヨード様の香りがします。樽の香りもきつくなく、いいグラスでゆっくりと楽しみたいと感じるアイテムです。

もちろん、安くないです(笑)。でも、こんな素敵なワインのお味を知っていることも今後のワインタイムの幅を広げてくれること間違いなしだと思っています。T・P・Oに合わせたワイン選びが出来る女性、素敵だと思いませんか?
ワインて色んな角度や観点から楽しめる飲み物です。色、香り、味わい、後味、アルコール度数、ブドウ品種。そして、栓を開けた後の時間経過により変化。好みは十人十色でいいのです。

以前にもお話しましたがたくさん失敗したってそれも次への経験が増えたという楽しい現実です。このランクのワインになると食事がなくても十分楽しめるのもまた素晴らしいところです。でも、ちょっと高級そうなカウンターのバーで飲むのは敷居が高いこともありますよね。そういう時は家で、美味しいハモンやチーズを合わせて、気の合う友達や大切な方と、ワインについてあーでもないこーでもないと話すのもいいと思います。
せっかくなので秋の夜長にお気に入りのワインを見つけてみてはいかがでしょうか。

〈プロフィール〉

都立高校卒業/東神開発株式会社へ入社、玉川高島屋S.Cにて受付業務/その後株式会社ミキインターナショナルにてイタリアンレストラン勤務をしながら、2回のスペインへ留学、スペインバル草分けの恵比寿Tio Danjo勤務/生花店勤/病院勤務(医療事務資格取得)/某メガバンクコールセンターSSV/製パン/日本初出店マヨルカ勤務を経て現在はホテル勤務とワインの仕事の二足の草鞋を履いております。てんぷら(スペイン語豆知識)

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