
はじめに
睡眠にアルコールは良くないらしいよ?なんてお話は聞いたことがあるかもしれません。今回はさらに一歩踏み込んだアルコールと睡眠の関係についてのお話です。
カグジョ世代の皆さん、私は関係ない?少なくともお酒を飲む人は、知っておいた方がいいこと。飲まない人も、お酒が原因で心や体の健康が悪化しかけている誰かを、救う一言をあなたがかけられるかもしれない。そんな意味で読んでみてください。

アルコールと依存と睡眠の関係
「寝酒」聞いたことがある言葉です。ナイトキャップなんていうと寝る前に飲む一杯のお酒でおしゃれに聞こえますが。
お酒を飲むことは決して悪いことではありません。いつ、どういう目的で、どんな量を飲むか?によって、睡眠にそしてその後の体の健康やアルコール依存につながっていく可能性があるのです。
厚労省の発表では、令和3年度のアルコール依存精神科外来を受診した患者数は約107万人(保険請求でカウントしている為、生活保護受給者は含みません。ということはもっと多い!)
別の令和6年度の調査では、生涯に一度でもアルコール依存症の診断基準を満たす人は、全国で約64.4万人と推計されるとか。
世界10か国35,327名対象にした横断研究(2005)では、
『睡眠のために飲酒する人』は、全体19.4%に対し、日本はダントツTOPで30.3%もいました。
つまり、不眠の改善のためにお酒の力を借りると考えている人が多いわけです。
確かに、アルコールには入眠作用があります。中枢神経抑制作用によるもので、高容量で鎮静作用がおきて、入眠潜時が短縮する=すぐに眠れると感じます。
いわゆる成功体験が経験できるのです。お酒ってすごい!飲めば眠れる&忘れられると。
この成功体験が曲者なのです。
しかし、次のような現象も起きるのです。
- 中枢神経抑制の鎮静作用により寝つきが良くなる。
- しかし、睡眠後半ではアルコールの血中濃度は下がり鎮静効果は消える。
- さらに、アルコールには利尿作用があり、中途覚醒(トイレ覚醒)につながる。
- これらは、連続飲酒で悪化する。
- また、このアルコールによる鎮静効果は、3日~1週間程度の連続飲酒で消失する。つまり連続飲酒時の入眠効果はほとんど気のせい。
- アルコールは筋弛緩を起こすため、量が多いほど上気道の筋肉が弛み閉塞がおきる。いびき、無呼吸の原因になる。つまり睡眠の質は低下する。酸素が上手く取り入れられず翌日に疲れが残る。生活習慣病の悪化につながる。むずむず足症候群のリスク因子にもなる。
- 睡眠の質が低下するため、不眠状態は改善できない。また翌日もお酒の力を借りたくなる。
- しかも、連続飲酒を中断すると、反跳性不眠(やめたことによって前よりさらに強い不眠状態に陥る)が生じ、それを回避しようとお酒を飲む。
- そして、アルコールには耐性も生じるため、鎮静効果はさらに薄くなる。⇒眠れない。⇒もっと飲む。と飲酒量が増えていく。
- 断酒をすると、急な睡眠の悪化がおきる。しかも、アルコールの離脱症状(頭痛や動機、イラつきなど)でさらに眠れなくなる。
- お酒をやめたら眠れなくなる!という「不安・恐怖」に繋がり、結果、断酒が難しくなり依存の方向に進んでいく。
どうでしょう?アルコールの作用が脳内・体内で起こす現象が、睡眠悪化の負のループを回すこと、そして『寝酒はアルコール依存症の入り口』になる可能性がおおいにあること、イメージできたでしょうか?
万が一、依存症になってしまったら、医療機関や専門家の手助けが必要になります。改善には時間がかかります。
でも、そうなる前に、一度お酒について、自分自身で&飲めない人も隣の飲む人と一緒に、何のために飲むのか?どう飲むのか?を考えてみましょう。
少なくとも、『眠るために飲む』という考え方はやめるのが賢い選択です。

まとめ
残念ながら、こと睡眠に対しては良い効果をもたらすとは言い切れないのがアルコール。肝臓のアルコールの代謝能力はかなり個人差があります。お酒は、自分の体の声を聴きながら、美味しく・楽しく・体を壊さない程度に、たしなむものではないでしょうか?
それでは、今夜も良い眠りを・・・☆
プロフィール
![]() |
Sleep Performance Company (スリープ パフォーマンス カンパニー) 代表:小林 瑞穂 (こばやし みずほ) 薬剤師/睡眠改善インストラクター(H29年現在)薬科大学卒業後、営業職に従事。その後メンタル専門の薬剤師となり、延べ5万人以上の「眠りの悩み」に関わる。2011年独立。睡眠活用の専門家として、社会人が今よりもっと輝くための『ハイパフォーマンス睡眠法』や『生産性向上のためのセルフリーダーシップ睡眠研修』など、セミナーや講演、企業研修を実施。体感型ワークを多く取り入れた講座は、「すぐに実践できる」「スッキリ起きられるようになった」「仕事の効率化が計れた」「働き方改革に繋がった」など、好評を博している。 スリープ・パフォーマンス カンパニー https://sleep-perform.com/ 快眠サロン水月~mizuki~ https://mizuki-kaimin.com/ 新聞コラム連載・各種メディアでのコラム執筆や、TV出演等も行っている。 *著書:『できる大人の9割がやっている 得する睡眠法』(宝島社) |















この記事へのコメントはありません。