はじめに
肉体的にある程度疲れないと良く眠れない。疲れすぎても中々寝付けない。
年齢が上がるほど、どうしても活動量は低下する傾向にあります。
でも、運動は苦手だし・・・コスト掛けたくないし・・・そんなカクジョ世代や高齢者には、「歩く」ことが睡眠の質改善に繋がります。
歩数の睡眠に対する効果
「運動」と言われると抵抗がある人、普段あまり動かない人は、今からでも動く=歩数を増やすことで、睡眠の質向上が目指せるのです!ㅤ
歩数と睡眠の関係に関するデータがあります。ㅤ
1)アメリカのブランダイス大学の研究
主にフルタイムで働き・体を動かす機会が少ない・中年男女(まさにカグジョ世代)59人を対象に4週間で実験。平均睡眠時間は8時間程度の人々(※アメリカ人としては平均以下。日本人はもっと短い!)
◇4週を通して歩数を増やした人(歩く時間を延ばした人)は、睡眠の質が向上したという感覚が増加した。
◇1日単位でも、良く動いた日は睡眠の質が向上したと感じる人が多かった。
◇59人の歩数増加時の平均歩数は約7000歩。5キロ弱。
◇睡眠時間=長さは変化なし。
ここでいう睡眠の質向上とは、数値だけでなく主に主観的項目を含む。
⇒寝つきの良さ(入眠潜時)が改善、中途覚醒の回数減少、・目覚め感が向上・ぐっすり感が向上
2)新潟県長岡市のデータ
2022年11月~2023年1月に60歳以上の市民に対して実施されたフィールド実証の結果です。
◇歩数が一定しているほど睡眠スコアが良い傾向
◇平均歩数が多いほど睡眠スコアは良くなるが、多く歩けばいいわけではなく、歩数分布にバラツキがある(日によってまちまち)参加者は睡眠スコアにもばらつきが出る
◇歩数が高いほど、入眠潜時(寝付く前の時間)が短い傾向
◇歩数が高いほど、離床回数も減少する傾向
◇睡眠時間(長さ)は歩数と相関関係はみられない
3)大分大学の研究
平均73歳の男女860人対象に調査
◇1日の歩数が多い方が睡眠効率がよい
◇1日の歩数が多い人は、夜中に目覚める回数が少ない
◇歩数が多ければ多いほど長く眠れるわけではない⇒時間の延長には相関がない
3つの結果を見ても、どうやら歩数と睡眠の質向上には十分関係がありそうです。
但し、ウォーキングもその人にとって過度な運動になると、足腰に負担がかかりすぎる原因にもなります。
自分の身体と相談しながら、例えば、
いつもよりバス停2つ分長く歩いてみるとか、
エスカレーターを止めて階段を昇ってみるとか、
朝&夕に散歩してみるとか、
スーパーへのお買い物に歩いていくとか、
出来そうなことから歩数を稼いでみてくださいね。
因みに、1キロは約1450歩です。
まとめ
歩くこと。多かれ少なかれ普段普通にしている事。でも、便利になった現代日本社会では、極端に減っているのかもしれません。もう少しゆっくり自分の足で過ごす時間を持っても良いのではないでしょうか?
そして、睡眠についていえば、カグジョ世代以降高齢者の皆さんに一つ忠告。意識を向ける「長さの延長」ではないのです。睡眠時間は年齢と共に短くなるのが当たり前。延ばそうとしてもそうそう延びるものではない。意識を向けるのは「質」です。
寝つきが良くなったら、起きる回数が減ったら、ぐっすり感が増えたら、ヤッター!ではありませんか?
ある歩くこと。無料で始められる睡眠の質改善効果がある運動です。
それでは、今夜も良い眠りを・・・☆
プロフィール
Sleep Performance Company (スリープ パフォーマンス カンパニー) 代表:小林 瑞穂 (こばやし みずほ) 薬剤師/睡眠改善インストラクター(H29年現在)薬科大学卒業後、営業職に従事。その後メンタル専門の薬剤師となり、延べ5万人以上の「眠りの悩み」に関わる。2011年独立。睡眠活用の専門家として、社会人が今よりもっと輝くための『ハイパフォーマンス睡眠法』や『生産性向上のためのセルフリーダーシップ睡眠研修』など、セミナーや講演、企業研修を実施。体感型ワークを多く取り入れた講座は、「すぐに実践できる」「スッキリ起きられるようになった」「仕事の効率化が計れた」「働き方改革に繋がった」など、好評を博している。 スリープ・パフォーマンス カンパニー https://sleep-perform.com/ 快眠サロン水月~mizuki~ https://mizuki-kaimin.com/ 新聞コラム連載・各種メディアでのコラム執筆や、TV出演等も行っている。 *著書:『できる大人の9割がやっている 得する睡眠法』(宝島社) |
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