スレスフルな社会生活に果敢に立ち向かっている現代人は誰もがメゲたり、凹んだりします。その理由もメカニズムもさまざまです。 「エゴ・レジリエンス」とは、日々のストレスをうまく調整して元気な自分を維持する力、誰もが持っているパーソナリティの弾力的な力です。「エゴ・レジリエンス」を高めることで自我のバランスをとる力が強化され、メゲても凹んでも、すぐに立ち直ることができるのです。 エゴレジ研究所の小野寺と畑が、「エゴ・レジリエンス」関連のお役立ち情報を提供し、あなたの元気をサポートします。 |
休日、休んだつもりなのにあまりリフレッシュできていない…、休日の過ごし方にイマイチ充実感がない…、せっかくの休日なのに、何をすればいいのかわからない…そんな「休み下手」な人はいませんか。昨今、働き方改革と並んで「休み方改革」という言葉も叫ばれています。そこで今回は、上手な休み方についてのお話です。
休み方改革
人材育成トレーナーの佐藤政樹氏によれば、休み方改革とは、セルフマネジメントの観点から「自ら休むを選ぶ」能力を高めることです。この主体性が、健康と仕事のパフォーマンスを向上させる鍵なのです。
研究によると、十分な休憩と睡眠がないと、脳は集中力を維持することができないとされています。具体的には、睡眠不足や休憩の少なさが続くと、判断や思考を司る脳の部分機能が低下します。まるでスマホのバッテリーが減っていくようなものです。バッテリーが低い状態で、どれだけ性能のいいスマホでも、その能力は十分に発揮できません。
このように、十分な休憩や睡眠がないと、脳も「バッテリー切れ」を起こしてしまいます。その結果、仕事の効率は落ち、ミスも増えてしまいます。さらには、長時間の労働と少ない休憩時間が続くと、ストレスも溜まり、心の健康まで脅かすことになる可能性があります。
そのため、メンタルヘルスを保ち、高いパフォーマンスを維持するためには、休むことが非常に重要です。そして、その「休む」とは、単に怠けるわけではなく、次の活動へのエネルギーを充電するという意味も含まれています。
疲れた心と体に充分な休憩と睡眠を与えることで、脳の機能は回復し、集中力やクリエイティビティも向上します。そう考えると、休むことは仕事をより効率よく、より高い品質で行うための重要なステップと言えるでしょう。
働き上手は「休み上手」
平日に高い生産性を発揮できる人は、休みの日を賢く活用し、心身を休息させるのがうまいようです。
そんな事実を示すデータのひとつが、厚生労働省が2019年に発表した資料『令和元年版労働経済の分析』にあります。この資料では、アンケートで「仕事と余暇時間の境目のマネジメントが『出来ている』と自己評価」した人たちにおいて「ワーク・エンゲイジメントが高い」人の割合が大きかった、との結果が示されています。
「ワーク・エンゲイジメントが高い」状態とは、「仕事に誇りとやりがいを感じ、熱心に取り組み、仕事から活力を得て、いきいきとしている状態」のことを指すそうです。つまり仕事のオン/オフを切り替え、休日にしっかり休めている人ほど、平日の仕事にも高いモチベーションで臨めるようになると考えられるのです。
逆に、リフレッシュにつながりにくい「間違った休み方」とはどんなものなのでしょうか。人材育成事業を展開するゼルバナの創立者、マット・プラマー氏は「休暇を誤用する人」として以下の3タイプを挙げています。
※DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー|休暇で心からリフレッシュして仕事に戻る4つの方法
カウチポテト派 ……家にこもってテレビを観るなど、とにかく何もせず休日を過ごすタイプ。 偽りの休暇派 休暇版ワーカホリック |
もし上記3タイプのいずれかに当てはまるなら、休日の過ごし方を見直すべきかもしれません。
4つの「休み方」を知る
休みを上手にとることは、現代人にとって必須のスキルと言っても過言ではありません。メンタルコーチの田代 真理さんによれば、身体と心や頭を効果的に休ませるには「休み方」を知る必要があるそうです。
田代さんは、ストレスの予防や緩和に役立つ方法の頭文字をとった「4つのR」といわれる方法を以下のように紹介されています。
レスト(Rest)
1つ目は「レスト」です。身体的な休息のことで、睡眠やなにもしないで家でゆっくりするなどです。お風呂で体を温めたり、マッサージで体の疲れをとるのもそうです。
日本人が想像しやすい「休み方」では「消極的な休み方」ともいえます。
もしこれをやっても疲れが抜けないというときは「心」を休ませることを考えたほうが良いです。「心」を休ませるには、以下にご紹介する残りのR、「積極的な休み方」が必要になります。
リラクゼーション(Relaxation)
2つ目は「リラクゼーション」です。自律神経を休め、心と体のバランスを整えることで、腹式呼吸、アロマセラピー、瞑想・マインドフルネスなどが当てはまります。女性が大好きなアロママッサージは「レスト」とこの「リラクゼーション」の2つの側面があることになります。犬やネコなどの動物と触れ合うことも、リラクゼーション効果があります。
リラクゼーションで注目すべきは、自律神経です。自律神経は、内臓の働きや代謝、体温などの機能をコントロールしています。昼間や活動しているときに活発になる「交感神経」と、夜間やリラックスしているときに活発になる「副交感神経」の2種類があります。
この交感神経と副交感神経がバランス良く働いていれば問題なのですが、精神的なストレスや肉体的疲労で、このバランスが崩れることにより、さまざまな不調を引き起こします。
「リラクゼーション」を意識的に定期的に取り入れ、自律神経のバランスを整えましょう。
レクリエーション(Recreation)
3つ目の「レクリエーション」は、趣味や遊びを楽しみ、笑ったり泣いたりして感情を解放することで、心身をリフレッシュすることです。
スポーツ、釣り、キャンプ、映画、カラオケ、読書、音楽鑑賞、楽器演奏など、自分が心から楽しめることです。スポーツなど体を動かすことは、自律神経を整える働きもありますから、「リラクゼーション」の側面も持っていることになります。「本を読む人」と「まったく読まない人」では、「本を読む人」の方が2年近く寿命が長かったという研究結果もあります。
会社や家庭では、いろいろと我慢をしているもの。感情を抑え込みすぎると、感情を感じることができなくなり、いろいろな問題を引き起こします。最近、笑っていない、感動した覚えがないなどという場合は要注意。体を動かすこと以上に、心を動かすことに注目してみましょう。
リトリート(Retreat)
4つ目は「リトリート」。ほかの3つに比べ、耳馴染みがない言葉ですが、日常から離れた空間に身を置き、じっくりと静養することになります。
旅行、リゾート地での保養、森林浴など、欧州型のヴァカンスを思い描くとわかりやすいかもしれません。とかく日本人は、旅行といってもやれ観光だ、なんだと忙しく動いてしまい、逆に疲れてしまうなんてこともありがちですし、そもそも長期休暇が取れないといった事情もあり、なかなか実行が難しいかもしれません。
ここで注目したいのは「非日常感」です。人間の脳は同じことを繰り返していると、どんどん怠けていくという性質があります。「非日常感」を味わうことは、脳を活性化させ、活力が生まれます。普段、都市に住んでいるのなら自然に触れる、人とあまり話さないなら他人と会話してみる、馴染みの店ではなく新しい店を開発してみる…。そういった「非日常感」を手軽に取り入れることで、「リトリート」の効果を実感できるでしょう。
以上、エゴレジ研究所から上手な休み方についてご紹介しました。年末年始でゆっくり休めるはずなのに、「仕事のことが気になって仕方がない」「せっかくの休みなのに気分が晴れない」。そんな人は「休日うつ」かもしれない、と精神科医の西多 昌規先生はその著書「休む技術 かしこくコスパを上げる大人のオン・オフ術」(大和書房)で指摘されています。年末年始に仕事モードをオフにして、休みを楽しみ、心も体もリフレッシュできる上手な休み方を考えてみませんか。
エゴレジ研究所は,生涯発達心理学,パーソナリティ心理学,ポジティブ心理学の領域からの調査研究の成果を活かし,「エゴ・レジリエンス」をキー・コンセプトとして,いきいきと人生を楽しむことができる社会の実現に貢献することを目指しています。
あなたの元気のアドバイザー「エゴレジ研究所」
https://egoresilabo.com/
<プロフィール>
代表 小野寺敦子/ 心理学博士
目白大学 人間学部心理カウンセリング学科教授 |
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GM 畑 潮/心理学博士 GCDFキャリアカウンセラー 健康リズムカウンセラー |
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