スレスフルな社会生活に果敢に立ち向かっている現代人は誰もがメゲたり、凹んだりします。その理由もメカニズムもさまざまです。 「エゴ・レジリエンス」とは、日々のストレスをうまく調整して元気な自分を維持する力、誰もが持っているパーソナリティの弾力的な力です。「エゴ・レジリエンス」を高めることで自我のバランスをとる力が強化され、メゲても凹んでも、すぐに立ち直ることができるのです。 エゴレジ研究所の小野寺と畑が、「エゴ・レジリエンス」関連のお役立ち情報を提供し、あなたの元気をサポートします。 |
「元気?」と聞かれたら「元気です」と返すのが普通でした。けれどもここ数年、コロナ禍を経験してからは、そう答えないほうが一般的になってきています。「いやぁ、疲れちゃって」とか「もう、くたくた」という答えが増えているようです。あなたはどうでしょう。そこで今回は、疲れを解消する休養についてのお話です。
休養とは何か
「休養」の定義は次のようになります。
厚生労働省「休養・こころの健康」では・・・ 「休養」は疲労やストレスと関連があり、2つの側面がある。 1つは「休む」こと、つまり仕事や活動によって生じた心身の疲労を回復し、元の活力ある状態にもどすという側面であり、2つ目は「養う」こと、つまり明日に向かっての鋭気を養い、身体的、精神的、社会的な健康能力を高めるという側面である。 |
健康日本21では・・・ 『休養の時間を取っても、単にごろ寝をして過ごすだけでは真の「休養」とはならず、リラックスしたり、自分を見つめたりする時間を一日の中につくること、趣味やスポーツ、ボランティア活動などで週休を積極的に過ごすこと、長い休暇で、家族の関係や心身を調整し、将来への準備をすることなどが真の休養につながる』とし、このような休養のとり方を「積極的休養」としています。 |
つまり、休養は「休む」の部分だけでなく「養う」要素もあるということです。
横になって過ごすことだけが、休養ではありません。また、運動や旅行などの活動的な休養法や、意識的に休みをとることだけが積極的休養ではありません。計画的に休養の時間をつくり、その中で健康の潜在能力を高め、豊かな人生を築くという休養のとり方を意味します。静かに自分を見つめ直す時間をとったり、運動をしたりすることも休養になります。
休養の7タイプ
Ideas.TEDで「The 7 types of rest that every person needs(誰にでも必要な7タイプの休養)」という記事を書いたダルトン=スミス博士は、自身の研究の中で、人間の心と体が必要とする休息には、明確に7つのタイプがあることを突き止めました。
ダルトン=スミス博士は、医師であり、研究者であり、『Sacred Rest: Recover Your Life, Renew Your Energy, Restore Your Sanity(神聖なる休息:生活をとり戻し、エネルギーを補充し、健康を回復しよう)』(邦訳なし)の著者でもあります。
休息の7つのタイプは以下のとおりです。博士によると、自分が必要とするタイプの休息を得るには、まずは自分に欠けている休息のタイプを見極め、そこを出発点とすることが大切だそうです。
1. 身体的な休養/睡眠をとって体を休めるか、休憩してリラックスする
博士は、身体的な休養には、受動的なものと能動的なものがあると言います。受動的な休養は、睡眠や昼寝。ヨガやストレッチ、マッサージが能動的なものとして挙げられています。人によっては、散歩や瞑想もこのカテゴリーに入るかもしれません。
2. メンタル面の休養/脳を休ませる
博士の提案には、仕事中にも定期的に休むことが挙げられています。また、博士は、心配事などで夜眠れない時には、枕元にメモ帳を置いて心配事を書き出してから寝ることも勧めています。
3. 感覚面の休養/外部からの刺激を減らし、感覚を休ませる時間をもつ
現状では、デバイス使用による疲労感はなかなか解消できません。デジタルデトックスまではいかなくても、デバイスの使用時間を減らす、Zoomの後はかならず休憩を入れるなど、何らかのルールを決めて実行する重要性は高まっています。博士は、ときどき1分間目を閉じる、1日の最後にデバイスをオフにするなどを提案しています。
4. 感情面の休養/気持ちを抑えこまずにすむよう感情を処理し、本当の自分でいられるようにする
最近は暗いニュースが蔓延しているので、つい「ドゥーム・スクローリング」にはまっていませんか。ドゥーム・スクローリングとは、気が滅入るニュースを続けざまにサーフしたり、スクロールしたりしてしまう傾向です。それに気づいたらデバイスを手放す勇気が、感情面の休養につながります。ドゥーム・スクローリングに対抗する手段としては、「ジョイ・スクローリング」があります。こちらは、その名のとおり、楽しく、気持ちがアップするものを見る行為です(ただしデバイスの使いすぎは感覚面での刺激になってしまうので、バランスが必要です)。
5. 社会的な休養/人付き合いに疲れたら、1人になる時間をもつ
また、博士は、なんでも抱え込んでしまいがちな人には、対人関係から距離を置くこの休養が重要だと述べています。
つまり、自分の感情を安心して表現でき、他人の言いなりになることを減らす時間と空間を持つことです。感情面の休養のためにも勇気と自分らしさを持たなければなりません。この休養が取れている人は、元気かと尋ねられても単に「元気」と返すのではなく、自分の感じていることをシェアできるでしょう。
もし、この休養が必要なら、おそらく社会的な休養が足りていないのです。人間関係には、元気になれるものと疲れさせられるものがあります。その区別がつけられない時に休養不足になります。
社会的な休養を取るには、ポジティブで自分を支えてくれる人たちと接するべきです。バーチャルであったとしても、カメラの向こうの人とポジティブなやりとりは可能です。
6. 創造面の休養/新しいアイデアを出し続けるのを一旦やめ、創造性を育むようなことをする
AmazonのCEOジェフ・ベゾス氏は、朝の10時前には会議などを入れずに、子どもたちとゆっくり過ごしているそうです。そして、そのような何もしない時間こそがもっとも価値があると述べています。この記事によると、何もしない時間をつくることで、仕事と私生活の境界線ができ、生活に余白が生まれ、より良い意思決定ができるメリットがあるのだとか。このような時間は、感情や創造面での休養にもなります。
インプットが多すぎて頭がパンクしそうになった経験はありませんか。そんな時は、インプットを減らすと、その分インスピレーションや創造力が流れこんでくるかもしれません。
博士のおすすめは、自然を楽しんだりアート活動に従事すること。やらなければならないからやるのではなく、自分にとってリフレッシュと活力の源になるなら、絵画、手芸、日曜大工など、いろいろできることはありそうです。
7. スピリチュアル面の休養/身体的、メンタル的なものを超えた何かとつながりをもつ
博士は、瞑想や祈りやコミュニティに関与することなどを挙げています。寺社、公園、庭園、山や海など、自分にとってエネルギーが得られるスポットに身を置くこともスピリチュアルな休養になります。
「あなたはどのような毎日を過ごしていますか」と、博士は問いかけます。
普通の人は1日の中で7つの領域すべてを使っていますが、どの領域に最もエネルギーを費やしているかを割り出す必要があるのです。エネルギー的に1番うまく行っていないと思われる領域を改善すると、大きな効果があるようです。特に、自分の立場や仕事にとって、『回復すること』がどんな状態であるかをこれまで考えたことがなかった場合には、大きな効果が期待できるでしょう。
以上、エゴレジ研究所から疲れを解消する「7つの休養」についてご紹介しました。休養は時間の長さによって休息から休暇に分けられます。それぞれで養うことができる内容が異なるため、各自の生活に合わせて、①時間を確保し、②その中で何を養うかを選択することが大切です。休養が足りなくなると、疲労が蓄積され心身の不調を引き起こします。心身の疲れに合わせて適切な休養をとることが大切です。しっかり休養をとって、自分をいたわりましょう。
エゴレジ研究所は,生涯発達心理学,パーソナリティ心理学,ポジティブ心理学の領域からの調査研究の成果を活かし,「エゴ・レジリエンス」をキー・コンセプトとして,いきいきと人生を楽しむことができる社会の実現に貢献することを目指しています。
あなたの元気のアドバイザー「エゴレジ研究所」
https://egoresilabo.com/
<プロフィール>
代表 小野寺敦子/ 心理学博士
目白大学 人間学部心理カウンセリング学科教授 |
|
GM 畑 潮/心理学博士 GCDFキャリアカウンセラー 健康リズムカウンセラー |
この記事へのコメントはありません。