好奇心は「魔法の薬」?!

スレスフルな社会生活に果敢に立ち向かっている現代人は誰もがメゲたり、凹んだりします。その理由もメカニズムもさまざまです。 「エゴ・レジリエンス」とは、日々のストレスをうまく調整して元気な自分を維持する力、誰もが持っているパーソナリティの弾力的な力です。「エゴ・レジリエンス」を高めることで自我のバランスをとる力が強化され、メゲても凹んでも、すぐに立ち直ることができるのです。
エゴレジ研究所の小野寺と畑が、「エゴ・レジリエンス」関連のお役立ち情報を提供し、あなたの元気をサポートします。

40代半ば頃から、多くの人が、記憶力や認知機能の低下を意識するようになります。もちろん現実問題として、加齢に伴う「脳の老化のサイン」の可能性も否定できませんが、左脳感情を抑えつけ、「好奇心」を失ってしまったために脳が衰え、その結果、起こっている可能性があるようです。そこで今回は、中高年の好奇心についてのお話です。

中高年世代の共通の問題

「好奇心」とは文字どおり、「珍しいものや、今まで出会ったことのない人や物に刺激を受けて、興味を持ち、探求しようとする心」です。

『1万人の脳を見た名医が教える 好奇心脳』(プレジデント社)の著者、加藤俊徳先生(加藤プラチナクリニック院長、脳内科医・医学博士)は、これまで1万人を超える人の脳を診断してきた中で、中高年世代が「ある共通の問題」を抱えていることが判明したと述べています。以下、著書より引用してご紹介します。

私は「脳の機能低下」や「老化」以前に、多くの方に共通する問題点を発見しました。それが、今回著わした『好奇心脳』のテーマである「失われた好奇心」の復活です。

クリニックを訪れる人の多くが、「これをしているときはワクワクする」とか「次はあれをやってみたい」という気持ちがない、つまり、物事に対する「好奇心」をなくしてしまっている。しかもそのことに本人がまったく気づいていないのです。

なぜ、中高年の多くが「好奇心の欠如」状態に陥おちいっているのか。それは、その世代の人たちが、知らず知らずのうちに「自分の感情を閉じ込めてきた」からです。中でも、女性よりも男性の方が深刻で、私は彼らの脳の問題を「自分よりも社会や仕事の価値観を優先させすぎた代償ではないか」と分析しています。

空気は読めるけれど、自分(の感情)がない

脳には右脳と左脳がありますが、8つの脳番地も左右それぞれに配置されています。

「右脳」は主に五感から取り入れた「非言語情報(イメージや感覚など言語化されていない情報)を処理する」役割、「左脳」は主に「言語処理を行う」役割を担っています。右脳でキャッチしたぼんやりとしたイメージが、左脳によって言語処理され、自分の感情(言葉)として表現されます。

「好奇心」に関係するのが、喜怒哀楽などの感情表現をする際に働く「感情系脳番地」です。

感情系脳番地では、「右脳感情系脳番地」は周りの空気を読む能力「左脳感情系脳番地」は自分を表現する能力にそれぞれ関係しています。「右脳感情」は「他人感情」、「左脳感情」は「自己感情」と言い換えると、分かりやすいかもしれません。

MRI脳画像を診てみると、中高年の患者さんの多くが「右脳(他人)感情系脳番地」が発達している一方で、「左脳(自己)感情系脳番地」が育っていない、あるいは衰えてしまっていることがわかります。

「左脳(自己)感情」が発達しないまま、人生の後半を過ぎてしまっている――。「空気は読めるけれど、自分(の感情)がない」状態がずっと続いている人が多いということです。

 もちろん、社会に出て企業で働くなど、仕事をしていくうえでは、左脳感情を抑えつけ、右脳感情に付帯することは、ある意味避けられないことかもしれません。会社員にとっては、右脳感情(会社の方針や上司のやり方)に従うことによって、自分自身の成功(出世や高収入)が得られるからです。

中高年の多くが長きにわたり、無意識のうちに、左脳感情を抑えつけてきました。その結果、抑えつけてきたことさえ忘れて、自分でなにかをしたい、やってみたいという、左脳感情から生まれる「好奇心」を失ってしまっているのです。

ところが現実には、この「左脳感情」の悲鳴すら抑えつけてしまう人も少なくありません。企業で働く人の多くは、定年を迎えて初めて、人生のセカンドステージを考えることを強いられます。60代になって、外からの圧力によって、右脳感情から解き放たれ、左脳感情を取り戻す必要性に迫られるわけです。

しかし脳科学的には、左脳感情が目覚める45歳前後が、右脳感情から左脳感情へ切り替え、自分の「好奇心」を見つめ直すベストタイミングです。

他人への付帯に重きを置いた感情から、もう一度、本来の自分の気持ちに正直になるこのタイミングを逃すことは、定年前の約20年を無駄に過ごしてしまうことにほかなりません

「失われた好奇心」の復活

 子どもの頃には誰もが、大小さまざまなことに「好奇心」を持ち、ワクワク・ドキドキした日々を送っていたはずです。

左脳感情から生まれる「好奇心」は、強力かつサステナブルで、持続性があります。この自分自身の「好奇心」でつかんだ記憶は、いくつになっても忘れることはありません。忘れてしまうのは、右脳感情(他人の基準)に付帯することで得た記憶で、左脳感情(自分自身)で選んだ記憶ではないからです。

多くの人が誤解しているのですが、脳はいくつになっても成長する器官です。そして「好奇心」は、衰えてきた脳にとっては成長の起爆剤であり、記憶力や認知機能を高める「魔法の薬」となるのです。

「好奇心」の復活にはお金もかからないし、「脳トレ」も「脳活」も必要ありません。「好奇心」は自分自身で、際限なく、いつでもいくつでも、つくり出すことができるものです。

年齢制限もありません。脳はいくつになっても成長する器官ですから、「もう歳だから」とあきらめる必要はないのです。

いつまでも若々しく、人生で成功を収めている人の多くは、「左脳感情」に忠実で、「自分がやりたいからやるんだ」という、自分の「好奇心」を貫き通している人たち、最強の「好奇心脳」を手に入れた人たちなのです。このことをぜひ覚えておいてください。

今からでも遅くありません。好奇心が湧きだす脳になる為に、左脳の感情系脳番地を育てていきましょう。まず、脳番地トレーニングの前に生活基盤を整えることが大事です。

特にこの3つは必須です。
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①1日8時間の睡眠
②運動不足を防ぐ
③必要な栄養を取る
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いくら脳番地トレーニングを頑張っても、寝不足など、疲弊した脳の状態では効果は半分以下なんてことも当然起こります。生活基盤を整え、脳が快適に働く準備ができたら、次は、過去自分がどんなことに、ドキドキ・ワクワクしたか思い出してみましょう。

例えば、私は子どもの頃ハゼ釣りが楽しくてしかたなく、今思い出してもワクワクが止まりません。ハゼ釣りがしたいと思うと、えさの準備、天候の観察、海岸までの移動など全く疲れを感じずに行動できました。こんな日常のちょっとした楽しかったことでいいのです。

「あの時は楽しかったな」「今思い出しても興奮するな」など、昔のワクワク・ドキドキが蘇ってきたら、それは「好奇心の種」が、あなたに眠っている証拠。その種を育てていくのです。ワクワク、ドキドキする経験を増やすことで、左脳の感情系脳番地が刺激され、少しずつ脳が成長していきます。脳は今からでも成長します。失った好奇心を取り戻し、いくつになっても、イキイキとした人生を過ごしましょう。

以上、エゴレジ研究所から中高年の好奇心についてご紹介しました。脳がヨボヨボになる原因は「老化」ではなく、「失われた好奇心」だという指摘です。今やりたいと思っていることがスイスイと10個以上あげられるなら好奇心有りですが、やりたいこがすぐ思いつかず、頭がフリーズしてしまった方は要注意、好奇心不足が疑われます。脳はあなた次第でいくつになっても成長します。さぁ、好奇心を取り戻しましょう。

エゴレジ研究所は,生涯発達心理学,パーソナリティ心理学,ポジティブ心理学の領域からの調査研究の成果を活かし,「エゴ・レジリエンス」をキー・コンセプトとして,いきいきと人生を楽しむことができる社会の実現に貢献することを目指しています。

あなたの元気のアドバイザー「エゴレジ研究所」
https://egoresilabo.com/

<プロフィール>

代表 小野寺敦子/ 心理学博士

目白大学 人間学部心理カウンセリング学科教授
・・・・同校 心理学研究科大学院修士課程教授
・・・・同校 心理学研究科博士後期課程教授
臨床発達心理士・三越伊勢丹アポセカリー顧問
NPO法人フレンズスクエア 代表理事

GM 畑 潮/心理学博士
GCDFキャリアカウンセラー
健康リズムカウンセラー

 

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