スレスフルな社会生活に果敢に立ち向かっている現代人は誰もがメゲたり、凹んだりします。その理由もメカニズムもさまざまです。 「エゴ・レジリエンス」とは、日々のストレスをうまく調整して元気な自分を維持する力、誰もが持っているパーソナリティの弾力的な力です。「エゴ・レジリエンス」を高めることで自我のバランスをとる力が強化され、メゲても凹んでも、すぐに立ち直ることができるのです。 エゴレジ研究所の小野寺と畑が、「エゴ・レジリエンス」関連のお役立ち情報を提供し、あなたの元気をサポートします。 |
10月に入り、ようやく秋到来!食欲の秋といわれるように、秋の味覚が旬を迎える時期です。その一方で、秋は心や体に変化を感じやすい時期。季節の変わり目により、メンタル不調が増えるのもこの時期なのです。そこで今回は、食欲の秋とメンタルケアについてのお話です。
秋はなぜ食欲が増すのか?
この季節は、「ついつい食べ過ぎてしまう」という声をよく聞きます。「秋には食欲が増す」と昔から言われていますが、秋に限ったことなの?と疑問に思う方もいらっしゃるかもしれません。日本成人病予防協会のサイトによると、 “秋”だからなのだそうです。
それには大きく2つの理由が関係しているといわれています。
①基礎代謝量
暑い季節、私たちの体は汗をかき、体の外に熱を放って体温を下げようとします。体の内側から手足にむかって血液が流れますが、胃腸への血流量が減り、発汗によって塩分が失われます。このとき胃酸の量が少なくなり、食欲が落ちてしまうのです。 また、夏の暑さによって自律神経が乱れ、食欲が落ちることもあります。
秋になると過ごしやすくなるため、体温が安定して胃酸の量が落ち着き、自律神経も整いやすくなることで、食欲が回復するのです。さらに、気温が低くなっていくため、体温を維持しようとして基礎代謝量が高まります。その結果、必要なエネルギー量が増えて、それを補うためにも食欲が増してしまうのです。つまり、体がエネルギーを欲するために、自然と食欲が増すのです。
②日照時間とセロトニン
鍵を握るのが「日照時間」です。私たちは、太陽の光に浴びると神経伝達物質のセロトニンが分泌されます。セロトニンには、不安をやわらげ、メンタルを安定させる働きがあることは有名ですが、満腹感を感じさせて食欲をコントロールする働きもあります。
ところが、夏至を過ぎると徐々に日照時間が短くなっていきます。それに伴って、セロトニンの分泌量も低下し、食欲が抑えにくくなったり、ネガティブな感情からの影響を受けやすくなり、ストレス対処能力が一時的に弱まっているとも言えるそうです。そのため、イライラしたり悲しいことがあったりすると、手軽に甘いものを欲したり、食べてストレスを解消しよう!になることも—。
秋に食欲が増すのは、季節の変化に対応しようとする体の働きで、とても自然なことですが、減量中の方や食べ過ぎが気になる方は、ちょっと工夫が必要かもしれません。
秋のメンタルケア
食欲の秋とメンタルケアを掛け合わせ、秋の食材を使って、美味しくメンタルヘルスを行ってほしいところです。
ポイントとしては、セロトニンは腸内細菌の種類である善玉菌の働きによってトリプトファンとビタミンB6を合成することで作られるので、腸内環境を整える必要があります。
1)トリプトファン(必須アミノ酸)
活力ホルモンと言われるセロトニンを生成する材料になります。トリプトファン含有量が多い食品は「肉類、魚貝、豆類、卵、チーズ、パスタ」です。これらは100gあたりの含まれるトリプトファン量は130mg〜330mgの間になります。他の食材と合わせなくても、1日の摂取量としては十分な量を摂取できます。
秋の食材なら、イワシ、アジ、枝豆、ほうれん草、しいたけなどです。
2)ビタミンB6
セロトニンを合成するために必要なのが「ビタミンB6」。ビタミンB6の含有量が多い食品は、「バナナ、プルーン、アボカド、大豆、ニンニク、 肉類(特にレバー、胸肉)、ビーフジャーキー、まぐろ、かつお、いわし、さけ、海苔、唐辛子、ピスタチオ、抹茶、酒粕、ごまなど」です。
秋の食材なら、マグロなどの赤身魚、海藻類、ラッカセイ、にんにくなどです。
3)食物繊維
セロトニンを作るための環境を整えることも大事で、良好な腸内環境を作ってくれる「食物繊維」も大事です。食物繊維には水溶性や不溶性の2種類あります。
水溶性食物繊維は、水分を含みゲル状に変化する特性があります。ゲル状になった水溶性食物繊維は粘着性を持っており、消化器内をゆっくりと移動するので腹持ちがよいことと、血糖の吸収を緩やかにしてくれる効果があります。
一方、不溶性食物繊維は腸でほとんど吸収されず、ほとんどエネルギーにならないため、エネルギーはそのままに、食事量を増やすことができます。また、腸を通過する際に物理的な刺激を起こし、お通じの改善に効果的という特徴があります。
腸内環境を整えるには、野菜に多く含まれる不溶性食物繊維を摂取して腸内をキレイに保ち、水溶性食物繊維を摂取して善玉菌の餌を増やすことが大事です。
4)乳酸菌
また、善玉菌といえば乳酸菌ですが、その乳酸菌飲料やヨーグルト、チーズ、漬物、味噌、醤油などの発酵食品を積極的に摂取すると善玉菌が増えます。
ちょっと意識して食事を行うことで、体内メンテナンスからメンタルヘルス不調を予防できます。
ホルモンリズムを整える
セロトニンは、睡眠ホルモンのメラトニンの材料ですが、朝太陽の光を浴びて、15時間ほどするとメラトニンに変化し眠気を感じるようになるというリズムがあります。
ところが、秋は材料となるはずのセロトニンの分泌が減り、メラトニンの分泌が上手くされず、しっかりと寝ているはずなのに睡眠の質は落ちやすくなります。秋に起こりやすい日中ダルさや眠さはこのことが影響していると考えられます。さらに、睡眠の質が低下すると食欲を調整するホルモンであるレプチンの分泌が減り、食欲が増すという悪循環が起こりやすいのです。問題となるのが睡眠を左右する「メラトニンの分泌のタイミング」です。
秋は暗くなるのが早くなり、メラトニンの分泌も早く始まります。早く始まることで、睡眠が誘発され、おのずと睡眠時間も長くなり睡眠の質が高まりやすい!・・・はずなのですが、ここが秋の夜長の落とし穴です。過ごしやすい気候となり、夜の時間も長いため、ついつい夜更かししがちになってしまうのです。その結果、睡眠リズムが乱れ食欲をコントロールしにくくなってしまうのです。
ここでは、メラトニンの材料となるセロトニンの分泌を促す対策をおさえましょう。
✓朝はしっかりと太陽の光を
朝太陽の光を浴びると体内時計がリセットされて、メラトニンの分泌を抑え、代わりにセロトニンの分泌を増加させるスイッチを押してくれます。
✓ウォーキングやジョギングなどのリズム運動
一定のリズムを刻み筋肉の緊張と弛緩を繰り返すことでセロトニンの分泌が促されます。その他、咀嚼もリズム運動の1つです。気温が低下すると基礎代謝も落ちやすくなるので、体を動かして脂肪を燃焼させましょう。
✓ぬるめのお湯で入浴
38~40℃のぬるめのお湯でゆったりと湯舟に浸かりましょう。湯船に浸かると、水圧や浮力が足に加わり、血液やリンパの流れがよくなり、疲れも取れやすくなります。10~20分程度入ることで、体の深部まで温まり、筋肉の緊張が緩み、副交感神経が優位となってリラックス状態に導いてくれます。さらに、入浴後はすぐに布団に入らず、体のほてりを取りながらゆったりと過ごすことで自然とよい眠りにつきやすくなります。
以上、エゴレジ研究所から食欲の秋とメンタルケアについてご紹介しました。秋を健康に過ごすためには、バランスの取れた生活が最も重要です。食事、運動、休養のバランスを保ちながら、季節に応じた健康習慣を取り入れることで、風邪やインフルエンザにかかりにくい体を作ることができます。また、体調に異変を感じたら早めに対処し、無理をしないことも大切です。これらの習慣を意識して、健やかな秋を楽しんでください。
エゴレジ研究所は,生涯発達心理学,パーソナリティ心理学,ポジティブ心理学の領域からの調査研究の成果を活かし,「エゴ・レジリエンス」をキー・コンセプトとして,いきいきと人生を楽しむことができる社会の実現に貢献することを目指しています。
あなたの元気のアドバイザー「エゴレジ研究所」
https://egoresilabo.com/
<プロフィール>
代表 小野寺敦子/ 心理学博士
目白大学 人間学部心理カウンセリング学科教授 |
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GM 畑 潮/心理学博士 GCDFキャリアカウンセラー 健康リズムカウンセラー |
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