時間だけでは癒されない「心の傷」

スレスフルな社会生活に果敢に立ち向かっている現代人は誰もがメゲたり、凹んだりします。その理由もメカニズムもさまざまです。 「エゴ・レジリエンス」とは、日々のストレスをうまく調整して元気な自分を維持する力、誰もが持っているパーソナリティの弾力的な力です。「エゴ・レジリエンス」を高めることで自我のバランスをとる力が強化され、メゲても凹んでも、すぐに立ち直ることができるのです。
エゴレジ研究所の小野寺と畑が、「エゴ・レジリエンス」関連のお役立ち情報を提供し、あなたの元気をサポートします。

風邪を引いたら温かくしてたっぷり眠る、転んで擦り傷を作ったら傷口を洗って絆創膏を貼る――といった手当てを誰もが当たり前のようにやっています。では、心の傷にはどうのように手当てしていますか。傷ついた心はケアしなければならいことは知っていますが、多くの場合「時間が解決する」と時の流れにまかせていませんか。そこで今回は、心の手当てについてのお話です。

日にち薬

日にち薬(ひにちぐすり)という言葉をご存じでしょうか。「身体に負った怪我も、心の傷も、時の経過によって次第に癒えていく」といった意味です。
確かに時の流れで心の傷は少しずつ治癒し、記憶は曖昧になっていくでしょう。深く傷ついてしまったときに、そんな風に慰められたことや、誰かを慰めた経験もあるかもしれません。
しかし、心理学の研究では必ずしも「時間は心の傷を癒さない」という結果も示されています。

米心理科学会誌「Perspectives of Psychological Science」に掲載された最新の研究結果によると、時間が人を癒す効果はないことが確認されました。アリゾナ州立大学の研究チームによれば、一般的に人には、それほどの自然治癒力はなく、時間が「薬」になるという考え方は、よくある誤解だというのです。

研究者らは、「自然災害や長期の失業など、人生を変えるような出来事を経験した場合、回復するまでに予想以上の時間がかかる可能性も十分にある。人生にストレスをもたらす要因は健康状態を大幅に悪化させることがあり、その状態は数年にわたって続くこともあり得る」とし、これまで「ほとんどの人には回復力がある」と信じられてきたことこそが、多くの人がより効率的な回復を図るために必要な支援を受けることを妨げてきた可能性があると警告しています。

なかなか回復しなければ、本人が自分自身を厳しく批判してしまう可能性が非常に高いだけでなく、他の人が長期にわたって苦しんでいることに対し、共感できなくなってしまう危険性もあり、ただ時間が過ぎるのを待っていることは、最善の選択肢とはいえないということです。

感情にも手当てが必要

2014年11月の「TEDトーク」において、「感情にも応急手当てが必要」と題した心理学者ガイ・ウィンチさんのプレゼンテーションが430万回以上再生されており、彼の著書「NYの人気セラピストが教える 自分で心を手当てする方法(原題:EMOTIONAL FIRST AID)」は世界20カ国で翻訳されています。

ガイ・ウィンチさんは「私たちは、体の不調はうまく手当てができるのに、どうして心の不調になるとお手上げになってしまうのか」と問いかけ、その答えは「私たちは心の手当てを学んでこなかったからだ」と述べています。

2017年に来日されたガイ・ウィンチさんへのインタビュー(NIKKEI STYLE)記事があります。(以下、一部引用・編集)

身近な人を亡くす、解雇される、といった大きなダメージの場合は、誰もが「なんらかの心のケアが必要」と感じるはずです。しかし、私たちは普段の生活で、もっと小さな、「失敗」「孤独感」「罪悪感」といった、いわば擦り傷や切り傷を繰り返しています。そして、そのような「心の傷」を見ようとせずに放置することによって、あたかも傷が化膿するように、心の傷がじわじわと私たちの精神状態をむしばむことがある、とガイさんは指摘しています。
彼の著書では、7つの「心の傷」を取り上げ、それぞれの傷の症状、特徴、そしてすぐに実践できる気持ちの切り替え方などの「手当ての方法」が解説されています。

〈著書で取り上げている7つの心の傷〉

  1.  「自分を受け入れてもらえなかったとき」――失恋、いじめ、拒絶体験
  2.  「誰ともつながっていないと感じるとき」――孤独
  3. 「大切なものを失ったとき」――喪失、トラウマ
  4. 「自分が許せなくなったとき」――罪悪感
  5. 「悩みが頭から離れないとき」――とらわれ、抑うつ的反芻
  6. 「何もうまくいかないとき」――失敗、挫折
  7. 「自分が嫌いになったとき」――自信のなさ、自己肯定感の低下

ガイさんは「これらの心の傷は、誰もが日常で遭遇しうる傷です。早めの応急処置は、痛みを和らげ、悪化を防ぎ、傷が深刻になるのを防いでくれる。このことを多くの人に知っていただきたいと思うのです」と結んでいます。
心の傷は、正しいやり方を学び、それを実践し積極的に手当てしたほうが良いようです。
※詳しくは著書を参照ください。

日々の心のケア

ここでは、みさきじゅり先生(HSP専門キャリアコンサルタント)の著書『とても傷つきやすい人が無神経な人に悩まされずに生きる方法』(ダイヤモンド社)から、簡単すぎるけど意外に効く、ふだんの生活に簡単に取り入れられる心の傷のケアをご紹介します。

ホッとする(安心・安全)空間をつくる
=ひとりになる
トイレの個室でホッとする方は多いと思います。ひとりになるとホッとするのは、物理的距離がとれている証拠。あなたの心の陣地に戻る大切な一歩です。

=やわらかいものに包まれる
やわらかいものを持ち歩くとよいでしょう。ホッとする手触りのハンカチや文具をそろえましょう。自宅では、ホッとできる感触の寝具や部屋着ですごし、肌触りのよいものに囲まれていましょう。

自分で自分を抱きしめる
=体に意識を向ける
たとえば、自分で自分を抱きしめてみてください。恥ずかしくてできない、という方は、手のひらをもう片方の手の甲や太ももに置くだけでもかまいません。
グッズを使う方法もあります。ビーチタオル、厚手の毛布など重みのある布で体を覆います。重みを感じる毛(weighted blanket)やシルクの毛布もよいでしょう。それらで体を覆ったとき、包まれるような感覚を味わいましょう。

喜怒哀楽を我慢しない
心のケアをして安心してくると、こらえていた感情がこみあげてくる場合もあります。楽しかったこと、嬉しかったことは、じっくりかみしめましょう。
怒りや悲しみ、さみしさがこみあげてきたら、怒ったり、泣いたりしてよいのです。
話を聞いてくれる人や、話を聞いてもらえる場があれば、話してみてよいのです。
喜怒哀楽をそのまま表現することも心のケアです。

悔しさを発散する
職場などで傷つくような目にあっているのに一人で抱えている人は、悔しさを表に出すと、相手や周りの人の立場を傷つけてしまうのでは、と心配してしまうことがあります。
本当は悔しい、けれど自分の悔しさが誰かを傷つける可能性があるのであれば、自分の心の中にとどめておくほうが、みんなが穏やかに過ごせると信じているのです。
悔しさが残っている時は、発散することがベストです。

=「一人でできる発散方法」
具体的には、湯船に浸かり、湯船の水面を思い切り叩き続けます。ポイントは、「思い切り叩く」です。水面を1回叩くと、水面が揺れて、叩きたいところも揺れます。
すると、そこを叩きにくくなるものですが、それでも狙った箇所を叩こうとしてみてください。場合によっては、イライラしてきたり、情けなくなったりしてくるかもしれません。

このように、あえて自分の力ではうまくコントロールができないことを行うことで、イライラを発散することができるのです。
思い切り叩き続けると、1分足らずで疲れてきて、3分もやると、ぐったりしてきます。
その後、涙が込み上げてくる時には、思い切り泣いてしまって大丈夫です。
どんなに叩いても、お湯を叩いているだけですから、自分も痛くはありませんし、誰かを傷つける心配もありません。思い切り、水面を叩いてみましょう。
叩き終わった後は、少し心が軽くなり、心地よい疲れも伴って、ぐっすり眠れるものです。

以上、エゴレジ研究所から心の手当てについてご紹介しました。心の救急箱は、心の健康を保つための必須ツール。心の痛みを緩和し、悪化を防ぐ方法を知ることで、こじらせる前に手当てできます。

エゴレジ研究所は,生涯発達心理学,パーソナリティ心理学,ポジティブ心理学の領域からの調査研究の成果を活かし,「エゴ・レジリエンス」をキー・コンセプトとして,いきいきと人生を楽しむことができる社会の実現に貢献することを目指しています。

あなたの元気のアドバイザー「エゴレジ研究所」
https://egoresilabo.com/

<プロフィール>

代表 小野寺敦子/ 心理学博士

目白大学 人間学部心理カウンセリング学科教授
・・・・同校 心理学研究科大学院修士課程教授
・・・・同校 心理学研究科博士後期課程教授
臨床発達心理士・三越伊勢丹アポセカリー顧問
NPO法人フレンズスクエア 代表理事

GM 畑 潮/心理学博士
GCDFキャリアカウンセラー
健康リズムカウンセラー

 

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