スレスフルな社会生活に果敢に立ち向かっている現代人は誰もがメゲたり、凹んだりします。その理由もメカニズムもさまざまです。 「エゴ・レジリエンス」とは、日々のストレスをうまく調整して元気な自分を維持する力、誰もが持っているパーソナリティの弾力的な力です。「エゴ・レジリエンス」を高めることで自我のバランスをとる力が強化され、メゲても凹んでも、すぐに立ち直ることができるのです。 エゴレジ研究所の小野寺と畑が、「エゴ・レジリエンス」関連のお役立ち情報を提供し、あなたの元気をサポートします。 |
無理に感情を抑え込むことで消耗したり、将来不安が広がったりと、働く人たちは心の疲れを手放せずに抱え込んでしまいがちです。心の疲れを放置したままだと肩や首のコリと同じように、心の中に根強い「コリ」が生じてしまうようです。そこで今回は、心の「コリ」についてのお話です。
目次
心が疲れた時の症状
心が疲れると人はどうなってしまうのでしょう。次のような症状が表れます。
- 不安になる
- イライラする
- 心が落ち着かなくなる
- 他人を疑ってしまう
- 攻撃的になる
- マイナス思考になる
- 憂鬱な気分になる
- 物事に集中できない
- ミスが多くなる
- 眠れなくなる
- 朝起きた瞬間から疲れを感じる
言い換えれば、こうした症状に当てはまる場合は「心が疲れている」と言えるでしょう。
心が疲れていると視野が狭くなります。また、集中力が欠けるのでミスが多くなり、生産性も下がるでしょう。
そんな自分の状態を見て、さらに気分が憂鬱になりマイナス思考になる…心が疲れると、マイナスのループから抜け出せなくなってしまいます。
心の「コリ」の正体
禅僧で神奈川県横浜市にある建功寺住職の枡野俊明氏は、
ストレスを受けて感情が揺れるのは自然なこと。生きている証拠です。ネガティブな感情は、受け流したり手放したりできれば“増殖”することはありません。しかし、ためこむと、次第に心に焼き付いてしまい、疲れを通りこして、心の「コリ」となってしまいます。この心のコリが、「イライラして人に当たる」「いつも不安を抱えている」といった、人それぞれの“疲れグセ”となって表に出てくると説いておられます。
それゆえ枡野住職は、日々の生活で所作(動き)や言葉遣いを変えていくことを提案されています。「心に余裕がなくなると、所作も言葉も雑になる。仏教では、心と言葉と所作は三位一体と考えます。靴をそろえたり、丁寧な言葉遣いを心がけたりすれば、自然に心が整うのです」と。
また時には「逃げ場」をつくることも大切なのだそうです。「階段の踊り場で一休みするように、旅行に出たり、自然観察を楽しんだりして、意識して心を休めましょう。
『隠れネガティブ』を解消する本』(三笠書房) の著者で心理学博士の山口まみ氏は、「ネガティブな感情が翌朝になっても消えないのは、疲れが“コリ化”している証拠」と指摘されています。
そして、ネガティブな感情を上手に解消するには「嫌な感情から目を背けないこと」だと。
例えば「怒り」。「不当に扱われたと感じると、怒りが湧くのは自然なこと。『怒り』のおかげで問題に気づき、対策を講じることができるのです。当然、怒りを人にぶつけるのは、正しい解消法ではなく、まずは怒りの正体を知り、受け止めること。「なぜ、自分は怒っているか」を紙に書き出したり、声に出してみたりするといい。「さらに、怒ることのメリットとデメリットを挙げてみる—感情を客観的に見られて、それだけでも、凝り固まった感情が緩むはずです」と。
心の疲れをリセット
心が疲れると、ネガティブになってしまいがちです。そのネガティブがさらにストレスを招き、自分自身を追い込んでしまいます。そんなネガティブ感情のスパイラルに陥る前に早めのリセットが必要です。
日常生活の小さな工夫でストレスを軽くし、ネガティブな考えにとらわれないようにしましょう。ストレスに振り回されないための日常生活のポイントをあげてみます。
✓物事に優先順位をつけ、同時にいくつものことに手を出さないようにする ✓「ゆっくり休める場所」と「一人になれる場所」をつくる ✓今の自分の状態を認めて、疲れたときには心身をしっかりと労わる ✓家族や友人、パートナーなど、信頼できる人と過ごす時間を大切にする ✓休日には、心から好きなことをして過ごす ✓わずらわしい人間関係から適度に距離をとり、他人に気を使わないようにする |
『自分を休ませる練習』(文響社)の著者で東京大学名誉教授の矢作直樹先生は、「今に意識を向け、感謝やワクワクの気持ちを大切にすると、心が疲れません。不安、後悔、孤独感、妬みなどのマイナスの感情は、過去や未来を考える際に生じます。今に意識を集中すれば、こうした感情を意識せず、心の疲れを減らせます」と話されています。
1. 頑張りすぎる人は少し「適当」になる
真面目な人は、「こうすべき」「こうしなきゃ」と頑張りがち。でも「頑張りすぎだと、心身を壊す場合も。また、『こうすべき』を他人に強いるようになると厄介です。多様な価値観を認めて、いい意味で『適当』になりましょう」
2. 誰に対しても期待しない。求めない
イライラやストレスの原因は、自分の考え方に根差すもの。「どんなに親しい人に対しても、期待しない。求めない。何かしてくれたときには感謝する。これで互いがラクになります」
3. パソコンやスマホに振り回されない
「スマホやパソコンに依存しすぎると、自分で考えなくなってしまいます」。週末は極力見ない、寝る前数時間はシャットアウトする、などのルールを決めましょう。
4. ぼーっとする時間をつくる
何もせず、ぼーっとする。そのための時間をつくってみましょう。「最初はいろいろと雑念が浮かぶかもしれませんが、そのままでいいのです。今、この瞬間に生きる自分に集中することで、心と体がリラックスします」
5. 好きなことを見つける
好きなことを夢中でしている時間は、あっという間に過ぎるものです。「仕事の時間もそんなふうに過ごせると理想的です。今、この瞬間を生きている奇跡に感謝できれば、何事にも前向きに取り組めるようになります」
6. 五感を磨き、体の声に耳を澄ませる
「心身の不調に気づかず無理をしてしまう人が多いのは、顔色や表情など、体が発しているメッセージに気づかないから。鏡を見るときに、チェックしましょう。また、味覚や嗅覚などの五感を磨くと、不調に気づきやすくなります」
7. 日帰りの旅にふらっと出る
気になったところへ、思い立ったらぱっと行ってみる。「スマホなどで情報を見るのではなく、実際に体験することで五感が磨かれ、判断力も研ぎ澄まされます。車の運転は疲れるので、電車やバス、自転車がおすすめ」
8. しんどい気遣いは今すぐやめる
心配りができる人ほど、相手の心変わりや約束を守らないことに、振り回されて傷つきます。「付き合うのがしんどい人には、近づきすぎず距離を保ち、ほどほどに話を聞く。人の気持ちや意見は変わるもの、と割り切るとラクです」
以上、エゴレジ研究所から、心の「コリ」についてご紹介しました。ストレスを受けて感情が揺れるのは自然なことですが、心の「コリ」は心の疲れをため込んでしまうことから生じるようです。心の疲れからくるネガティブな感情は、受け流したり手放したりできれば「増殖」することはないと言います。だからこそ、日常生活の中に小さな工夫をいろいろ取り入れ、感情の揺れに上手に付き合い、心の「コリ」を生じさせないことが大切です。
エゴレジ研究所は,生涯発達心理学,パーソナリティ心理学,ポジティブ心理学の領域からの調査研究の成果を活かし,「エゴ・レジリエンス」をキー・コンセプトとして,いきいきと人生を楽しむことができる社会の実現に貢献することを目指しています。
あなたの元気のアドバイザー「エゴレジ研究所」
https://egoresilabo.com/
<プロフィール>
代表 小野寺敦子/ 心理学博士
目白大学 人間学部心理カウンセリング学科教授 |
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GM 畑 潮/心理学博士 GCDFキャリアカウンセラー 健康リズムカウンセラー |
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