ご存じですか?大人の非認知能力

スレスフルな社会生活に果敢に立ち向かっている現代人は誰もがメゲたり、凹んだりします。その理由もメカニズムもさまざまです。 「エゴ・レジリエンス」とは、日々のストレスをうまく調整して元気な自分を維持する力、誰もが持っているパーソナリティの弾力的な力です。「エゴ・レジリエンス」を高めることで自我のバランスをとる力が強化され、メゲても凹んでも、すぐに立ち直ることができるのです。
エゴレジ研究所の小野寺と畑が、「エゴ・レジリエンス」関連のお役立ち情報を提供し、あなたの元気をサポートします。

「非認知能力」は主に幼児教育の場で重視されてきましたが、近年は、社会生活やビジネスの場で役立つ能力として、大人の間でも注目されています。とはいえ、言葉自体は聞いたことがあるけれど、詳しい内容までは知らないという方が多いのではないでしょうか?そこで今回は、大人の非認知能力についてのお話です。

非認知能力と認知能力

日本生涯学習総合研究所の定義では、

非認知能力(Non-cognitive skills)とは、

物事に対する考え方、取り組む姿勢、行動など、日常生活・社会活動において重要な影響を及ぼす能力

とされています。つまり、社会に生きていく上で必要な能力であり、言い換えれば「生き抜くための能力」とも言えます。非認知能力は認知能力と違って、定量測定することが難しいと言われる能力です。

非認知能力が注目を集める要因となったきっかけは、ノーベル経済学賞を受賞した経済学者のジェームズ・ヘックマンによる研究にあります。この研究によって、それまではIQなどの認知能力が高い年収や社会的地位と紐づきが強いと考えられていましたが、非認知能力とこれら成功因子との相関性が高いことが示され、注目を集めたのです。

非認知能力の対比として存在するのが認知能力です。認知能力は知識・技能、思考力等の要素から成り立つと考えられており、IQテストや知能テスト等で測ることができます。
「認知能力」と「非認知能力」は密接に関わりながら高まっていくものなので、切り離してどちらか一方が重要と言えるものではないのです。
「非認知能力が伸びていけば、認知能力にもプラスの影響を与える」という多くの研究結果もあり、言わば、認知能力の土台になるのが非認知能力と考えられます。非認知能力には、いくつかの特性が提示されていますが、「エゴ・レジリエンス」もその特性の一つです。

非認知能力の特性
  1. 誠実性/課題にしっかりと取り組むパーソナリティ
  2. グリット/困難な目標への情熱と粘り強さ
  3. 自己制御・自己コントロール/目標達成に向けて自分を律する力
  4. 好奇心/新たな知識や経験を探求する原動力
  5. 批判的思考/情報を適切に読み解き活用する思考力
  6. 楽観性/将来をポジティブにみて柔軟に対処する能力
  7. 時間的展望/過去・現在・未来を関連づけてとらえるスキル
  8. 情動知能(EQ)/情動を賢く活用する力
  9. 感情調整/感情にうまく対処する力
  10. 共感性/他者の気持ちを共有し、理解する心理特性
  11. 自尊感情/自分自身を価値ある存在だと思う心
  12. セルフ・コンパッション/自分自身を受け入れて優しい気持ちを向ける力
  13. マインドフルネス/“今ここ”に注意を向けて受け入れる力
  14. レジリエンス逆境をしなやかに生き延びる力
  15. エゴ・レジリエンス/日常生活のストレスに柔軟に対応する力
※非認知能力(小塩真司 北大路書房)より引用

大人でも向上できる! 3つの要素

非認知能力は、大人でも向上できる能力であり、最近ではビジネスにおいても重要視されてきています。非認知能力を高めるためにヒントとなる3つの要素があります。

◆身体と精神の健康

非認知能力を大人が向上させたい場合、まずは身体的な健康に注目するべきでしょう。「体調を崩さない」「風邪をひかない」ためには、毎日の体調を記録して、調子が良い時や悪い時のパターンなど、自分の習性を知ることが重要です。
そして、ストレス社会と言われている現代では、精神的な健康を維持することも大切です。自分の感情や行動を記録し、それについて反省することで、自己管理能力を高めることができます。過去や感情にとらわれない心を育成するマインドフルネスや、ストレスを減らす方法について知り、精神的健康も目指しましょう。

◆社会的対応力

社会的対応力とは、コミュニケーション能力とも呼ばれますが、他者と交流したり、関係を構築するためのスキルのことで大人にとっても必要です。人との交流することによって、自分の行動パターンや、強みや弱みを理解できるはず。
ただの雑談をするだけでなく、相手の言っている内容を理解し、相手の気持ちがわかった上で仕事のやりとりができる能力で、性格や価値観の異なるチームメンバーをサポートしながら一つの目標に向かわせるリーダーポジションを務める人には、必須な能力でしょう。
また、他者の話を注意深く聞き、自分がその状況だったらどう感じるかを想像することで、共感力を鍛えることができます。共感力を鍛えるためには、他人の視点から物事を見る「視点転換」の練習もよく使われています。「視点転換」とは、自分自身の視点や感情を一旦置き去りにし、他人の立場や感情を考えることで、他人の視点を理解し、共感する能力を鍛えることができます。

◆セルフコントロール力

セルフコントロール力とは、ちょっとした誘惑に負けない思考や行動をコントロールするスキルのことで、「目標達成のために準備を怠らないこと」や「失敗しても引きずらずすぐに冷静になれること」などがあります。セルフコントロールは、自分自身を完璧に思い通りにすることではなく、適切かつバランスを保持するためのコントロール=制御・抑制です。セルフコントロールを身につけることは、自分を教育することにもなります。キレることの多かった自分や、イライラしたりする自分、楽な方に流される自分が良い方向へ変わっていくきっかけになります。
セルフコントロール力は、目標をスモールステップで達成するようにしたり、達成状況を見える化することで効果的に高めることができるでしょう。そして、ある程度セルフコントロールができるようになれば、自己評価を高めてみることをおすすめします。

非認知能力は、行動・実践することで大人でも向上させられます。自分の身体的・精神的健康について見直すことから始め、自己肯定感を高めることで行動できるようになり、セルフコントロール力やコミュニケーション能力も自然と身についていくでしょう。

以上、エゴレジ研究所から、大人の非認知能力についてご紹介しました。新しいスキルを学ぶことや、馴染みのないことに挑戦することで、自分の弱点、足りていない部分に気づき、興味関心の範囲を理解して、モチベーションなどの非認知能力を改善することもできます。大切なことは自分に合った方法を見つけることです。時間、努力、そして主体的に取り組むことで、大人は非認知能力を改善し、新しい能力を開発することができます。

エゴレジ研究所は,生涯発達心理学,パーソナリティ心理学,ポジティブ心理学の領域からの調査研究の成果を活かし,「エゴ・レジリエンス」をキー・コンセプトとして,いきいきと人生を楽しむことができる社会の実現に貢献することを目指しています。

あなたの元気のアドバイザー「エゴレジ研究所」
https://egoresilabo.com/

<プロフィール>

代表 小野寺敦子/ 心理学博士

目白大学 人間学部心理カウンセリング学科教授
・・・・同校 心理学研究科大学院修士課程教授
・・・・同校 心理学研究科博士後期課程教授
臨床発達心理士・三越伊勢丹アポセカリー顧問
NPO法人フレンズスクエア 代表理事

GM 畑 潮/心理学博士
GCDFキャリアカウンセラー
健康リズムカウンセラー

 

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

CAPTCHA


PAGE TOP