代表 小野寺敦子/ 心理学博士
目白大学 人間学部心理カウンセリング学科教授 |
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GM 畑 潮/心理学博士 |
40代以降は日々の暮らしのいろいろなことをちょっとずつ楽しめるチャンス。なんでも「ほどほど」だからこそ、毎日が気持ちいい。自分なりのハッピー・バランスで、もっと幸せになる暮らし方を考えてみませんか。近年、デンマークの「居心地のよい雰囲気や時間」を指す「ヒュッゲ」が注目されていますが、お隣の国スウェーデンにも「ラーゴム」と呼ばれる、心地よく幸せな人生を過ごすための概念があます。今回は、ライフスタイルメディア「キナリノ」掲載記事から、ライフスタイルのハッピィ・バランスの参考となるスウェーデンの「ラーゴム」についてご紹介します。
目次
生活の中の「ラーゴム」
「ラーゴム」とは「多すぎず少なすぎず、ちょうどよい」という意味で、スウェーデンでは生活において何よりも重んじられている概念です。
スウェーデンには、「日々の生活の中で他人と比べず、自分自身にとってバランスのとれた生活をする」という考え方があります。その考えを表す言葉としてラーゴムが生まれたと言われています。日本にも「知足(足るを知る)」や「中庸」という言葉がありますが、それに似た考え方で物質主義や消費主義とは対局の「ちょうどいい量がいちばん、ほどほどが大事」ということです。
「ラーゴム」を日々の暮らしに取り入れているスウェーデンならではのライフスタイルをいくつかご紹介します。
◆日に一度は、お茶の時間(フィーカ)
「ラーゴム」で一番大事なのは、頑張り過ぎない日々を過ごすこと。スウェーデンには、ラーゴムの概念を形にした癒しの休み時間「フィーカ」があります。直訳するとお茶をすることです。仕事がどんなに忙しくてもフィーカの時間をとり、休むときはしっかり休む、自分にとって物事がちょうど良い具合であることを大切にして、休むときと頑張るときのメリハリをつけるライフスタイルです。またフィーカの時間に談笑するなど、フィーカがコミュニケーションツールの1つにもなっているそうです。
「一日中、仕事のことで頭がいっぱい」なんて生活は、体にも心にもよくありません。もちろん、重要で時間的な制約のある仕事を任されているときは、仕事のことしか考えられない日もあるでしょう。でも、それは特別なケース。それを当たり前だと思って毎日続けていたら、ストレスがたまって、ゆとりのない人になってしまうかもしれません。
スウェーデンでは自宅でもカフェでもはたまた公園のベンチでも場所や時間を問わず、一日に何度もフィーカをします。誰かとお喋りをしながら甘いお菓子と飲み物を楽しむことでストレスや緊張が解れ、日常を穏やかな気持ちで過ごせるようになるのだそうです。
日本では、一日に何度もお茶をするのは現実的に厳しい人が多いと思いますが、1~2回なら取り入れることができるかもしれません。例えば、夕食の後、家族と一杯のお茶を楽しむ習慣を取り入れ、その日あったことを話したり……、職場だったら一人でランチに出かけても、食後のお茶を会社の休憩室などで同僚たちと楽しむなど、ちょっと行動を変えるだけで取り入れることができます。
◆自分にとっての「ちょうどよい」
スウェーデンには「土曜日のおやつ」という意味の「ローダースグーディス」という言葉があります。つまり、土曜日は一週間に一度のおやつの日ということ。スーパーマーケットのお菓子売り場はどこも子供たちでいっぱいになります。
多すぎず、少なすぎず。甘いお菓子を週に一度に限定することによってちょうどよいバランスが保て、心身ともに健康でいられるのです。
このように、仕事でも人間関係でも、自分にとっての「ほどほど」「ちょうどいい」基準を設けて、普段から意識するようにすると必要以上のものを欲しがることがいかに無意味か、ということに気づかせてくれ、心にゆとりをもたらしてくれます。
自分にとっての「ちょうどいい」を考えてみてください。食欲だけなく、物欲や周りの人に求める期待など、すべてを思い返して「本当に必要なものなのか」「無かったら、とても困ってしまうものなのか」ということを考え、自分が自分のことを理解するところからはじめてみましょう。過剰にストイックになることはありませんので、無理のない範囲で無くても我慢できるものを考えてみてください。
自分にとって本当に必要なものがわかったら、それを大切にして、それ以外のものは「無くても大丈夫」と自分から解き放ってあげましょう。心が軽くなるかもしれません。
◆オープンマインド
ラーゴムは、一つのことに執着していると実現することが難しくなります。ライフスタイルに取り入れるためには、オープンマインドであることが、とても重要です。
とはいえ、何事にも執着せず自分にも人にも優しく正直に生きることは、かなり難しいことです。まずは先入観を捨て、心を開いて、様々な人の様々な声に耳を傾けてみましょう。ちょっと苦手だったことも、思い込みを忘れて一度だけチャレンジしてみましょう。その上で、自分にとって不要なことは取り入れなければいいのですから。
オープンマインドでいることによって何かに固執することがなくなると、肩の力もほどよく抜けて日々の生活を穏やかに過ごせるようになるかもしれません。「いいな」と思うもの、「面白そうだな」と思うアンテナを大きく広げ、いろんなものに目を向けましょう。そうすることよって、息抜きはもちろん、新しいアイディアが生まれることもあるでしょう。
◆自然を愛する
スウェーデンの人は冬が厳しく長いからこそ、緑と光が溢れる季節の美しさを知っています。スウェーデンの人たちは自然を暮らしの中に取り入れるのがとても上手です。太陽の光と風を家の中に取り入れたり、どこかに緑色の物が目に入るようにしたり、木材など自然の物が使われている家具を取り入れたりしています。そんな自然に寄り添うことで日常の疲れがリセットされ、新たな活力が湧いてくるのだそうです。
日本でも、まったく同じようにはいかないものの、観葉植物を部屋に置いたり、草花を育てたり、ちょっとした工夫で自然に寄り添う生活ができます。緩やかなお日様の光とフレッシュな風は、おうちの中を快適にしてくれる大切な要素です。自然光はわたしたちをふんわりと癒してくれます。季節によっても移り変わるお日様の光を大切に、敏感に感じ取ってみましょう。
人間関係から生じたストレスは、自然の力で癒してもらう、という考え方も素敵だと思いませんか。
「ラーゴム」というライフスタイル
「ちょうどいい」という感覚は人によって違います。でも、みんなが自分の「ちょうどいい」を感じ取りながら、必要以上に欲しいと思わないようになれば、ストレスを感じることはすこし減っていくのかもしれません。ラーゴムな暮らしで、心地よい毎日を送ってみてはどうでしょう。
日本とスウェーデン、とても離れたところにある二つの国は、実は多くの共通点を持っています。四季があること、時間通りが当たり前なこと、靴を脱ぐ文化、穏やかで控えめな装飾を好む、周りの人との緩やかな協調性など日本とよく似ていることが多々あります。環境的には違うことも多いので、ただ真似をすればいいというわけではありませんが、幸福度ランキングで常に上位に位置するスウェーデンのライフスタイルは、日常生活を心地よいバランスにする参考になるのではないでしょうか。一番大切なことは自分を見失わず、そして自分に正直であることです。そうすれば自分に合った「ラーゴム」というライフスタイルがきっと見つかり、もっと沢山の幸せな時間が増えてくると思います。
以上、エゴレジ研究所から、「ほどほど」のススメとして、スウェーデンの「ラーゴム」についてご紹介しました。
以前はバリバリ働くのがビジネスマンのイメージでしたが、最近では仕事をほどほどに頑張る、「プライベート重視派」が増えています。バリバリ働いて得る贅沢な暮らしよりも、仕事をほどほどに頑張って趣味や自分の時間に費やす時間を大切にしたいという「ほどほど」派が男女ともに増えているようです。日々の暮しでどこかに少しでも無理を感じたら、「ほどほど」と呟きましょう。「ほどほど」とは手を抜くことではなく、ちょうど良い加減にものごとを行う、ということです。自分なりのハッピー・バランスで、もっとハッピィになる暮らし方をも見つけてください。
エゴレジ研究所は,生涯発達心理学,パーソナリティ心理学,ポジティブ心理学の領域からの調査研究の成果を活かし,「エゴ・レジリエンス」をキー・コンセプトとして,いきいきと人生を楽しむことができる社会の実現に貢献することを目指しています。
あなたの元気のアドバイザー「エゴレジ研究所」
https://egoresilabo.com/
<プロフィール>
代表 小野寺敦子/ 心理学博士
目白大学 人間学部心理カウンセリング学科教授
・・・・同校 心理学研究科大学院修士課程教授
・・・・同校 心理学研究科博士後期課程教授
臨床発達心理士・三越伊勢丹アポセカリー顧問
NPO法人フレンズスクエア 代表理事
GM 畑 潮/心理学博士
GCDFキャリアカウンセラー
健康リズムカウンセラー
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