ストレスフルな社会生活に果敢に立ち向かっている現代人は誰もがメゲたり、凹んだりするものです。その理由もメカニズムもさまざまです。でも、誰もが持っている力「エゴレジ力」を高めることで、それぞれの状況に応じて自我のバランスをとる力を強化し、メゲたり凹んだりしても、すぐに立ち直る力を養うことが可能なのです。
エゴレジ研究所の小野寺と畑が、お手伝いします。
わたしたちの日常生活の状態と、カラダに備わる免疫機能の状態は密接に関係しています。日々のストレス、栄養バランスの偏りなどにより、日常生活のバランスが崩れると、免疫機能の低下へと直結します。免疫力が低下すると、感染症やアレルギー、疾患などを発症するリスクが高まるため、日常生活のバランスを正常に保ち、普段から免疫力を高めることで、感染リスクを低下させることができるのです。
🔴「免疫力」のメカニズム
スポーツ科学学術院の鈴木克彦教授によれば、「免疫力」とは、自分の体を守ったり、病気を治そうとする働きや仕組みのことです。普段から私たちは、目に見えない病原体からの攻撃にさらされています。しかし、この力が体に備わり、正常に働いているため、健康を維持することができているのです。
インフルエンザなど外部からの病原体に感染してしまうかどうかは、この免疫力と病原体の力関係が左右します。端的に言うと、免疫力よりも病原体の力が強いと病気になり、免疫力の方が強ければ病気は発症しない、ということです。
★免疫の仕組み: 免疫は、生まれながらに備わっている「自然免疫」と、予防接種などで後天的につける「獲得免疫」の2系統があります。主に血液中の白血球がその役割を担っています。 |
免疫力が低下してしまう大きな要因は、過労や栄養不足による「ストレス」です。体にストレスがかかると、アドレナリンやコルチゾールといった、いわゆる「ストレスホルモン」が発生します。覚醒作用のあるアドレナリンは、短期的には体に良い影響を及ぼす場合もあります。その一方で、ストレスホルモンには免疫の抑制作用があり、長くストレスが続くと免疫力は低下し、病原体に対抗できなくなってしまうのです。
🔴免疫力を維持する習慣
①質の高い睡眠をとろう
あるラットの実験で、断眠によってサイトカインは増加しましたが、脾細胞のTリンパ球マイトーゲンに対する反応性や、NK細胞の活性は低下し、好中球の貪食は、低下傾向にあることが認められました。快眠は大事です。たとえ心労があって眠れなくても、体を横にして休めているだけで、免疫力は高まると言われています。
睡眠には疲労の回復と「体内時計を整える」という重要な役目があります。夜の時間帯にしっかり睡眠時間を確保し、朝、太陽の光を浴びて体内時計をリセットして調整することが、ストレス低減につながるのです。質の高い睡眠を心掛けてみましょう。
②バランスの良い食事をとろう
免疫力を大きく左右するのが食事であり、「6つの基礎食品―1群は肉・魚、2群は牛乳・乳製品、3群は緑黄色野菜、4群は淡色野菜・果実、5群は穀類・いも類、6群は油脂製品」からバランスよく栄養をとることがその基本です。
また、栄養素別にみると、炭水化物(糖質)・タンパク質・脂質が主にエネルギー源となる3大栄養素、これに体の機能維持や調整・抵抗力をつけるビタミン・ミネラルを加えて5大栄養素、そして第6の栄養素に食物繊維、第7栄養素にスカベンジャー(抗酸化食品)となっています。
ビタミンや亜鉛、ミネラルといった栄養素は、欠乏すると体の抵抗力が下がり、病気にかかりやすくなってしまいます。ただ、これらの栄養素を一つの食品から摂取するのは困難です。そのためには、バランスの良い食事を心掛け、1日に30種類以上の食品を摂取することが理想的です。特に緑黄色野菜には多くのビタミンが含まれます。栄養素をサプリメントで補うことは、ある特定の栄養素だけに偏ってしまう恐れがあり、お勧めできません。不足しがちな野菜を野菜ジュースで補うなど、できる範囲からでいいので、食生活を見直してみましょう。
③腸内の善玉菌を増やそう
バランスの良い食事を取ることが大前提ですが、膨大な細菌または腸内細菌を保有している腸の中の環境を整えるためには、発酵食品(味噌、納豆、キムチ、チーズ、ヨーグルトなど)の摂取がお勧めです。発酵食品には腸炎などの病気を引き起こす原因となる悪玉菌の増殖を抑制する効果があります。特にヨーグルトなどに含まれる乳酸菌には、整腸作用のある善玉菌(プロバイオティクス)が数多く含まれているのが特徴です。ただ、ヨーグルトの種類や摂取時間によって、または個人によりその効果・効能には差があるため、自分に合った発酵食品を見つけて摂取してみましょう。
④適度な運動を心掛けよう
免疫力を高めるには、適度な運動がとても効果的です。なぜなら、体内にウイルスが侵入してきたときに戦う免疫細胞(特にNK細胞)が、運動することによってより活発に働くようになるからです。運動習慣のある人は、そうでない人に比べ、NK細胞の働きが活発であることがわかります。ウォーキングやジョギングなど軽めの有酸素運動の継続が免疫力を高めます。適度な運動習慣も免疫力を高める上では有効です。
あえてスポーツジムなどに通わなくても、ひと駅手前で降りて歩くだけで有効です。大事なのは、1日の身体活動量を増やしていくこと。洗濯や掃除などの家事を通して体を動かすだけでも、何もしないでいるよりは血流が良くなります。ただし、長時間の運動や激しい運動はかえってストレスになる場合がありますので、日頃から少しずつ体を動かすライフスタイルで体力を付けていきましょう。
⑤お風呂で体を温めよう
運動が苦手な方や、けがなどの理由でなかなか体を動かす習慣をつくることができない場合もあるでしょう。その場合は、お風呂で体を温めて血流を良くするだけでも有効です。血流が良くなると、血液中の免疫細胞が体中を巡回し、病原体を撃退します。リフレッシュすることで、ストレスを軽減するという効果も期待できます。
⑥笑いましょう
笑うと身体の免疫力がアップします。笑うとNK細胞の活性化につながるからです。笑うと、生命活動を維持するために必要な神経、主に内蔵器官の働きを私たちの意識とは無関係にコントロールしている自律神経(交感神経と副交感神経)に変化をもたらし、身体中の様々な器官に刺激が与えられます。この時、笑いによる脳への刺激が、神経ペプチドという免疫機能活性化ホルモンの分泌を促し、このホルモンの影響でNK細胞はたちまち活性化され、さらに強力な戦士としてガン細胞などを攻撃します。
作り笑顔の場合でも、NK細胞の働きが活発になるそうですので、とにかく笑うことです。「笑い」(快・充足)が免疫力を活性化させ、逆にストレス(不快・非充足)が免疫力を低下させるのは事実です。「ストレスを感じた時は、NK細胞の活性は低下する。ガンの芽が出やすい。」(星 恵子助教授/聖マリアンナ医科大学)このようにストレスの積み重ねがガンにまで大きく影響します。
あなたがエゴレジさんなら、日々のストレスにうまく対処し、日常生活のバランスを保っていると思います。それでも普段から、自身の免疫力を高めることを意識して生活していれば、病気にかかるリスクは小さくなるでしょう。予防医学の基本は、今の生活を見直すことからです。ご紹介した習慣の一つでも採り入れて、免疫力を維持しましょう。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
次回はまたエゴレジ関連の話題をご紹介します。
小野寺敦子
エゴレジ研究所代表。心理学博士。目白大学人間学部心理カウンセリング学科教授。同校心理学研究科大学院修士課程教授。同校心理学研究科博士後期課程教授。臨床発達心理士・三越伊勢丹アポセカリー顧問。
NPO法人こどものくに代表理事。
畑 潮
エゴレジ研究所GM。GCDFキャリアカウンセラー
この記事へのコメントはありません。