「未来適応力」とエゴ・レジリエンス

スレスフルな社会生活に果敢に立ち向かっている現代人は誰もがメゲたり、凹んだりします。その理由もメカニズムもさまざまです。 「エゴ・レジリエンス」とは、日々のストレスをうまく調整して元気な自分を維持する力、誰もが持っているパーソナリティの弾力的な力です。「エゴ・レジリエンス」を高めることで自我のバランスをとる力が強化され、メゲても凹んでも、すぐに立ち直ることができるのです。
エゴレジ研究所の小野寺と畑が、「エゴ・レジリエンス」関連のお役立ち情報を提供し、あなたの元気をサポートします。

AIが急速に進化し、仕事・学習・人間関係の形が変わり続ける今、ポジティブ心理学は新しい問いに向き合い始めています。それは、「変化の激しい未来を、人はどう生き抜くのか」という問いです。その答えとして提示されたのが、未来適応力です。そこで今回は、ポジティブ心理学の新潮流「未来適応力」についてのお話です。

変化の時代をしなやかに生きるための「未来適応力」

「未来適応力」は、ポジティブ心理学の創設者セリグマン教授とケラーマン医学博士によるベストセラーの日本語版『これからの生き方――揺らぐ世界で何度でも立ち直る力』で提示されました。
※原題:『Tomorrowmind: Thriving at Work with Resilience, Creativity, and Connection—Now and in an Uncertain Future』

PRISMという心理スキルを軸に、レジリエンス・創造性・つながり・意味をどう育てるかを体系化しています。興味深いのは、このPRISMの中核にある「レジリエンス」が、エゴ・レジリエンス と深くつながっている点です。両者を結びつけることで、未来適応力の理解がより立体的になります。

未来適応力を構成する5つの力(PRISM)

本書の核は PRISM と呼ばれる心理的能力モデル。それぞれが「未来に適応しながら成長するための心の免疫力」を構成します。ここでは、5つのPRISMとエゴ・レジリエンスの共通する点をご紹介します。

1. Prospection:未来予想力
未来予想力とは、「望む未来を自分で描き、その未来に向けて行動を選び取る力」です。
AIが膨大な情報を提供してくれる時代だからこそ、“自分はどう生きたいか”を主体的に描く力が価値を持ちます。
🔗 エゴ・レジリエンスと共通する点
エゴ・レジリエンスは「状況に応じて将来像を描き、その都度行動を調整する力」。未来予想力は「未来に応じて行動を選び直す力」。どちらも「選択の柔軟性」を核にしています。

2. Resilience(認知的敏捷性を含む):回復しながら成長する力
PRISMのレジリエンスは、単に逆境から回復するだけでなく、状況に応じて思考を切り替えながら成長する力。「元に戻る」ではなく「しなやかに形を変えて機能し続ける」ことが重要。
変化に強い人は「打たれ強い」のではなく、打たれる前に姿勢を変えている人だ、と本書では述べています。
🔗 エゴ・レジリエンスと共通する点
エゴ・レジリエンスが「今の状況に柔軟に適応する力」だとすれば、PRISMレジリエンスは「未来に向けて柔軟に選び直す力」。

3. Innovation:創造性
AIは既存データから最適解を導くことは得意ですが、「どんな問いを立てるか」「何を価値あるものと考えるか」は、依然として人間の役割です。創造性は生得的能力だけで決まるものではなく、好奇心や試行錯誤、心理的安全性などの環境要因によって育まれることが、多くの研究で示されています。AI時代には知識量よりも、変化に応じて学び続け、自分の価値観を更新していく力が重要になります
🔗 エゴ・レジリエンスと共通する点
創造性は「柔軟な発想」が前提。エゴ・レジリエンスの中心も「固定観念を手放して新しい発想を生む柔軟性」。柔軟性が高いほど、創造性は発揮されやすいとされています。

4. Social Connection:つながり
未来適応力の中核。孤立は判断力・創造性・幸福感を下げるため、“つながりの質”が未来への適応力を左右します。
🔗 エゴ・レジリエンスと共通する点
エゴ・レジリエンスが高い人は、対人関係の調整が上手く、社会的状況に柔軟に適応できます。その相手や状況に応じて関係性を調整する柔軟が、PRISMの「つながり」を支える基盤になります。

5. Mattering:重要感
「自分は誰かにとって重要である」という感覚。重要感が高い人ほど、ストレス耐性・幸福感・挑戦行動が高いことが示されています。
🔗 エゴ・レジリエンスと共通する点
エゴ・レジリエンスが高い人は、自分を大切に思える感覚が安定しており、他者との関係も柔軟に築けます。その“自分は誰かにとって意味のある存在だ”という感覚が、Mattering(重要感)の基盤になります。

PRISMの5つの力は、未来を創るための心理的スキル。エゴ・レジリエンスは、そのスキルを支える“柔軟性の基盤”と言えるでしょう。

変化が辛いのは「弱さ」ではなく、脳の進化的ミスマッチ

本書のメッセージを要約します。
人間の脳は変化の少ない環境で進化してきました。そのため、現代のように変化が絶えない社会では、脳は本来想定していない負荷を受けます。変化がつらいのは個人の弱さではなく、脳の進化的仕様と現代環境とのミスマッチによるものです。
だからこそ、未来を生き抜くにはスキル以上に「心の構造」への投資が必要になります。変化が激しい時代には、単に新しいスキルを身につけるだけでは十分ではありません。なぜなら、スキルは環境が変わればすぐに陳腐化してしまうからです。必要なのは、思考・感情・行動の土台となる「心の構造」そのものをアップデートすることです。PRISMは、この“心の構造”を未来に向けてしなやかに保つための心理的フレームワークとして設計されています。
不確実性(Volatility)、不安定性(Uncertainty)、複雑性(Complexity)、曖昧性(Ambiguity)が高まるVUCA時代では、従来の「正解を知っていること」よりも、状況に応じて柔軟に選び直す力が求められます。
未来適応力を構成する5つの力(PRISM)は、こうした環境で人が折れずに前進するための、そして、心の免疫力を科学的に鍛えるための心理的サバイバルツールキットとして機能します。

以上、エゴレジ研究所から、ポジティブ心理学の新潮流「未来適応力」についてご紹介しました。AIがどれほど進化しても、人間が未来を選び続けるためには、心の柔軟性が欠かせません。未来適応力とは、変化に振り回されないための力ではなく、変化を学びに変えながら、自分らしい未来を選び続ける力です。その土台となるのが、状況に応じてしなやかに対応できるエゴ・レジリエンスなのです。

 

エゴレジ研究所は,生涯発達心理学,パーソナリティ心理学,ポジティブ心理学の領域からの調査研究の成果を活かし,「エゴ・レジリエンス」をキー・コンセプトとして,いきいきと人生を楽しむことができる社会の実現に貢献することを目指しています。

あなたの元気のアドバイザー「エゴレジ研究所」
https://egoresilabo.com/

<プロフィール>

代表 小野寺敦子/ 心理学博士

目白大学 人間学部心理カウンセリング学科教授
・・・・同校 心理学研究科大学院修士課程教授
・・・・同校 心理学研究科博士後期課程教授
臨床発達心理士・三越伊勢丹アポセカリー顧問
NPO法人フレンズスクエア 代表理事

GM 畑 潮/心理学博士
GCDFキャリアカウンセラー
健康リズムカウンセラー

 

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