夏に向けた“心の衣替え”

スレスフルな社会生活に果敢に立ち向かっている現代人は誰もがメゲたり、凹んだりします。その理由もメカニズムもさまざまです。 「エゴ・レジリエンス」とは、日々のストレスをうまく調整して元気な自分を維持する力、誰もが持っているパーソナリティの弾力的な力です。「エゴ・レジリエンス」を高めることで自我のバランスをとる力が強化され、メゲても凹んでも、すぐに立ち直ることができるのです。
エゴレジ研究所の小野寺と畑が、「エゴ・レジリエンス」関連のお役立ち情報を提供し、あなたの元気をサポートします。

気づけばもう一年の折り返し地点。このタイミングで、心の「棚卸し」や「衣替え」をしてみませんか。この半年を振り返り、今の自分に必要なものと不要なものを見極めることは、エゴ・レジリエンスのしなやかな適応力を育む大切な機会になります。そこで今回は、夏に向けた“心の衣替え”についてのお話です。

棚卸しは、反省ではなく“観察”

当初に立てた目標を思い浮かべると、「思うようにできていない」と感じる人もいるかもしれません。しかし、心の棚卸しで大切なのは、評価をすることではなく、自分を理解することです。

心理学では、自分の経験を客観的に振り返る自己省察(self-reflection)が、感情調整や心理的成長につながることが知られています。一方で、「なぜできなかったのだろう」と自分を責め続ける反すうは、ストレスや抑うつを高める要因になります。
そこでおすすめしたいのが、「感情」「行動」「人間関係」という3つの視点から振り返る方法です。

●感情の変化を観察する
この半年、あなたはどのような気持ちで過ごしていたでしょうか。
喜びや達成感を感じた場面はもちろん、不安や焦り、怒り、落胆などが強く残った出来事にも目を向けてみます。
ネガティブな感情は避けるべきものではなく、自分にとって大切な価値観や満たされていないニーズを教えてくれるサインでもあるのです。

●行動の変化を観察する
次に、自分がどのような行動をとっていたかを振り返ります。
新しく始めたこと、継続できたこと、途中でやめたことはあったでしょうか。また、疲れたときにどのように休んでいたか、ストレスを感じたときにどのように対処していたかも大切な観察ポイントです。
うまくいった行動だけでなく、「できなかったこと」も含めて振り返ることで、自分らしい対処パターンが見えてきます。

●人間関係の変化を観察する
最後に、人とのつながりに目を向けてみましょう。
一緒にいて安心できる人は誰だったでしょうか。逆に、負担や緊張を感じる関係はなかったでしょうか。また、自分は周囲に助けを求めることができていたでしょうか。

心のクローゼットを見直す

クローゼットの中に、もう着なくなった服があるように、心にも今の自分には合わなくなった考え方が残っていることがあります。
「失敗してはいけない」「もっと頑張らなければならない」「人に迷惑をかけてはいけない」など・・・
これらは決して悪い考え方ではありません。しかし、状況によっては自分を縛り、苦しめる原因にもなります。今の自分には合わなくなったものは手放しましょう。

近年注目されている心理的柔軟性(psychological flexibility)は、状況に応じて考え方や行動を切り替えながら、自分にとって大切な方向へ進んでいく力です。心理的柔軟性が高い人ほど、ストレスへの適応力や幸福感が高いことが報告されています。
エゴ・レジリエンスもまた、「変わるべき時には変わり、守るべきものは守る」という柔軟性に支えられています。

夏に向けて新しい心の装いを選ぶ

不要なものを手放したら、次は新しい装いを選ぶ番です。例えば、

・完璧を目指すより、まずはやってみる
・できなかったことより、できたことに目を向ける
・一人で抱え込まず、周囲を頼る
・頑張ることと同じくらい休むことを大切にする

こうした考え方は、これからの季節を心地よく過ごすための「心の衣替え」といえるかもしれません。
ポジティブ心理学の研究では、自分の強みや、うまくいった経験の中で発揮されていた資源に目を向けることは、自己効力感やウェルビーイングを支える手がかりになります。また、休息や睡眠を整えることは、ストレスに向き合うための心身の回復力を支える助けになる可能性があります。

経験を「心の資源」に変える

エゴ・レジリエンスの観点で大切なのは、失敗しないことではありません。経験を次に活かせる形に変えていくことです。

心理学者ジョージ・ボナーノらのレジリエンス研究では、厳しい出来事のあとでも健やかな機能を保つには、その場に応じた柔軟な対処が大切だと考えられています。また、ポジティブ心理学の研究においても、経験そのものより「経験をどのように解釈するか」が、その後の適応や幸福感に大きく影響すると考えられています。

例えば、うまくいかなかった出来事を振り返るとき、「失敗だった」で終わらせるのではなく、
「何を学んだのか」
「次に活かせることは何か」
「その経験によって身についた力は何か」  など、と問い直してみます。

同様に、うまくいった出来事についても、
「自分のどんな強みが発揮されたのか」
「なぜうまくいったのか」  などを振り返ることで、自分の持っている資源に気づくことができます。

研究では、このような経験の意味づけを通して得られる自己理解や自己効力感が、その後のストレス対処や適応を支える重要な要因であることが示されています。
たとえ思い通りにならなかった経験であっても、そこで得た気づきや学びは、次の困難に向き合う際の支えになります。逆に、順調だった経験は、自分の強みや価値観を再確認する機会になります。
いろいろの出来事を単なる過去として終わらせるのではなく、「今の自分を支える材料」として捉え直す。その作業こそが、経験を心の資源へと変えるプロセスなのです。

以上、エゴレジ研究所から、夏に向けた“心の衣替え”についてご紹介しました。季節の変わり目に、心のクローゼットを開いてみてはいかがでしょう。心を整えることは、自分を大切に扱うということ。季節は移ろいますが、あなたのペースで、この先の日々をより健やかに過ごすヒントが見つかるかもしれません。

エゴレジ研究所は,生涯発達心理学,パーソナリティ心理学,ポジティブ心理学の領域からの調査研究の成果を活かし,「エゴ・レジリエンス」をキー・コンセプトとして,いきいきと人生を楽しむことができる社会の実現に貢献することを目指しています。

あなたの元気のアドバイザー「エゴレジ研究所」
https://egoresilabo.com/

<プロフィール>

代表 小野寺敦子/ 心理学博士

目白大学 人間学部心理カウンセリング学科教授
・・・・同校 心理学研究科大学院修士課程教授
・・・・同校 心理学研究科博士後期課程教授
臨床発達心理士・三越伊勢丹アポセカリー顧問
NPO法人フレンズスクエア 代表理事

GM 畑 潮/心理学博士
GCDFキャリアカウンセラー
健康リズムカウンセラー

 

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